ON  MY  WAY

60代を迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされ生きる日々を綴ります(コメント表示承認制です)

またまもなく学校がなくなる~ある学校の閉校~

2018-12-02 20:05:05 | 「育」業
このブログを始めた10年前は、県境の町に勤めていた。
単身赴任で勤めていたその学校が、来年3月で閉校するという。
あの頃には、在籍していた子どもの数が、72名いた。
ところが、現在は、29名。
10年で半減以上の急速な減り方である。

減っているのは、子どもの数だけではない。
来賓の県議が言っていた。

新潟県は、2009年から人口の減少が始まった。
毎年減少が続き、今は220数万人となっている。
平成22年と平成27年の国勢調査で比較してみると、
県の人口は、そのときから3%の減少だが、近くの市では5%の減。
この町では、12.5%の減少である。

…高齢化・少子化が進み、こんな現状となっているから、各地で学校の統合による閉校が進んでいる。

かつてこの地・この学校に勤務した職員は、皆言っていた。
「本当にいいところだ。」
と。

実際、そうだった、と私も思う。

職員が、教育活動に力を入れるほど、少人数であるがゆえに教育効果は上がり、子どもたちは力を伸ばしていった。
子どもの数は少ないが、子どもたち同士で助け合い、協力し合う心が育っていく姿をたくさん見せてもらった。

①保育園の頃、「Aにいじめられるから、行きたくない」と言っていた子Bは、小学校で学年が進むと、「〇〇の気持ちはわかる。
 オレが付き合ってやるよ。」というくらいに頼もしく成長していった。
反対に、少し乱暴なところがあったそのA児は、「B、いつもありがとな。」などと、周囲の子に素直に感謝できる人間として育っていった。
②算数の勉強時間中に、C児が「分からない~。」と声を上げて、困っていた。すると、D児が、「オレが教えてあげるよ。」と言って一生懸命に教えてあげ、C児はわかるようになり、「ありがとう」と礼を言っていた。
 数日後、再びC児が分からない様子を見せていたので、D児が近寄ると、「来なくていい。今日は、オレは一人でがんばってみたいんだ。」と言った。
 それを、D児は、苦笑しながら見て、「困ったらいつでも言えよ。」と言っていた。
…こういった姿が、本当の「学び合い」だと思えた。

今日の式典では、社会人として中堅を迎えたような卒業生がエピソードを紹介していた。

③算数の時間に、「Aさんが時速4kmで10km離れたところへ出発しました。その10分後、お父さんが時速60kmのスピードで出発しました。お父さんは、Aさんより何分早く到着しますか。」というような問題を解くときがあった。
珍しく私(その卒業生)は、手を挙げた。
先生は、私を指名して発表させた。
私は、「同時です。」と答えた。
周りの子たちは、「違う」と言ったけど、先生は、「どうしてそう思ったの?」と聞いてくれた。
私は、「お父さんだと、私が歩いているのを見て放っていかない。絶対車に乗せてくれるから、着くのは同時になります。」と、自信をもって答えた。
授業の終末、先生は、「今日は、算数の勉強のほかに、親子のつながりや優しさの勉強もできた。だから、彼に感謝しよう。」と言ってくれた。
そのことが忘れられない。


…こんなふうに、心を育てていた学校が、まもなくまた一つなくなる。
その寂しさを感じてきた今日でもあった。
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