柊サナカさんの「天国からの宅配便」シリーズ。
貸出中だったから、第3作→第2作→第1作という順番で読むことになった。
最初に出た第1作の「天国からの宅配便」をようやく借りて読むことができた。
他の作品同様、1話完結の4話構成で、エピローグがついて、都合5話の収録。
この第1作では、
第1話 わたしたちの小さなお家
第2話 オセロの女王
第3話 午後十時のかくれんぼ
第4話 最後の課外授業
エピローグ
ゴミ屋敷、がんこ婆ちゃん、かくれんぼ好きな幼なじみ、高校時代の部活顧問…。
そして、エピローグの「もう二度と会いたくない」の言葉。
いずれも、ひとひねりあって、最後は心が温かくなる話ばかり。
やっぱり面白かった。
「天国からの宅配便」シリーズ以外の柊さんの作品はどんなものがあるのだろう、と興味を持った。
そのうち、このシリーズ以外の本も読んでみたい。
ところで、この「天国からの宅配便」を借りるとき歩いていたら、違う書架で、偶然「柊」の文字を見つけた。
「野中 柊」。
それは著者の名前だった。
えっ、名前に柊をつけているの?こちらの柊さんは。
たまたま飾ってあった本が、この本、「猫をおくる」(野中柊著;新潮社)。
表紙カバー裏を見てみたら、
1964年生まれ。立教大学卒業後、渡米。
1991年、ニューヨーク州在住時に「ヨモギ・アイス」で海燕新人文学賞を受賞して作家デビュー。(以下略)
と、あった。
おやおや、大学は珍しく同窓ですか。
へえ、そうなのかと思いつつ、さらに近くで調べてみると、新潟県出身。
なんと新発田市出身と書いてあるものもあった。
今まで、野中柊さんのことは、全く知らなかった。
自分の目や耳に入ってきていなかったということですな。
おやおや、これは目にふれたのだから、読んでみなくちゃいけないなと思って借りてきた。
本書は、連作の短編が6編。
猫のお世話と葬儀を行うお寺、多くの猫が住み、猫寺と呼ばれている木蓮寺が舞台の話。
寺は、猫専門の霊園も行っている。
タイトルの「おくる」は、葬送の意味だった。
菜々さんと呼ばれる猫、黒白の猫、ヨーヨーという片目の猫、白い仔猫…etc。
いろいろな猫が登場するが、猫との出会いや別れを通して、登場人物たちの生い立ちや考え方を描いていく。
寺の住職真道、火葬担当の藤井、事務員の瑞季、近所のこどもの麦、寺によく現れる猫の飼い主希実子…等々それぞれの話と猫の話をからめていく。
さほど大きな事件が起こるわけでもないが、人は、人や猫とかかわりながら、癒されながら、生きていく。
火葬シーンで、猫の骨には星があるということを知った。
いずれにせよ、猫が好きでないと、本書のような小説は書けないだろうと思った。
野中柊さん、こちらの柊さんも、他の作品が気になった。
機会を見て、また借りてくることにしよう。
柊サナカ、野中柊。
それぞれの味があった、柊つながりの読書であった。
なお、当ブログ「ON MY WAY」は、次のところに引っ越し作業を終えました。
https://s50foxonmyway.hatenablog.com/
当分の間、ここと同じ記事を載せていますが、今後そちらの方を見ていただければと思います。