ON  MY  WAY

60代になっても、迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされながら、生きている日々を綴ります。

「私の金子みすゞ」(ちばてつや著;ちくま文庫)~私好みの1冊だった~

2022-11-14 19:29:25 | 読む
昨日書いたことに関連するが、面白い本を探していたとき、そのT書店の文庫本のコーナーに立てかけられてあったのが、この本だった。



「わたしの金子みすゞ」

著者名が、あの「あしたのジョー」のちばてつやさんだった。

彼が、金子みすゞの詩21編をカラーイラストと文章で表現し、1編ごとに解説を加えている本だった。
そのイラストには、ちばてつやが少年時代から見てきたり感じてきたりした風景や生活が描かれている。

大漁

朝焼け小焼けだ
大漁だ
大羽鰮の大漁だ。

浜は祭りの
やうだけど
海の中では
何万の
鰮のとむらひ
するだらう。


この詩に、ちばさんは、こんな絵をつけている。



よく想像できるのも、子ども時代、満州から引き揚げてきたときに海のそばに住んだことがあったからだろう。

そして、金子みすゞが女性だったから、イラストに登場するのは女の子ばかりだが、期待を裏切らない。
たとえば、「かるた」という詩には、かるたをしている子どもたちとその家の中の風景が描かれている。



ちばさんに描かれた世界は、幼いころの私もよく見てきた風景ばかりである。
ちばてつやさんと私との年の差は18歳もあるが、私の子ども時代の昭和30年代の景色や家の中の様子は、間違いなくここに描かれているようなものだった。
どのイラストを見ても、非常にノスタルジックな気分にもなってしまった。

わずか21編の詩とイラストにすぎないから、100ページくらいにしかならないから、あっという間に読み終わってしまう。
だが、非常にいとおしい1冊だ。

この企画を仕組んだのは、あとがきによると、同じ漫画家の里中満智子さんらしい。
2002年に出版された本の文庫化ということだが、この本と出合えたことはうれしい。
昨日のブログに絡めていえば、面白そうな本を探したかいがあったよ。

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