30代の頃は、仕事上必要があったとはいえ、2日もすれば30数人の子どもの名前も完璧に覚えたものだった。
それが、今は、「顔はわかるが名前が出ない」ということがちょくちょくあるようになった。
いささか不安な今日この頃。
つい、書店で手を伸ばして購入してしまった。
我が国の認知症の多くは、血管系障害によるものとして、予防策がいろいろわかるように書かれたのがこの本。
「名前記憶の低下」は、脳の老化から起こり、認知症の注意信号と書いてある。さすがにドキッとする・
記憶は、興味あるところにのみ生ずる。
興味を失うから記憶も生まれない。
なるほど、と思う。
昔に比べて、様々な経験を重ねてきた身には、新鮮な興味をしっかりもつということが少なくなっている。
そのうえ、人間の記憶は、目に見えないものは軽視するという。
名前は、たしかに目に見えない。
顔は見える。
だから、顔は覚えられても、名前を覚えられないということが起こる。
「名前が出なくなった」を防ぐには、「楽しい」ことと合わせるとよいのだそうだ。
例えば、「〇〇会社のAさん」のように付帯条件を付けて覚えるようにすると効果が高いようだ。
読み進んでいく。
名前忘れの防止には、脳そのものを活性化させる必要がある。
そのためには、まず脳を酸欠にしないことが大事。
酸素をしっかり取り込めるようにする。
そのためには、息の仕方も大切。
吐く息を、吸う息の2倍も3倍も時間をかけて、超ゆっくりにして、唇を口笛を吹くような形にして吐く。
脳の酸欠を防ぐために、毛細血管を増やす5分程度の軽い筋トレと15分のウオーキングを行う。
それができないのなら、簡単スクワット10回とつま先立ち10回を繰り返すことがよい。
食事も大切。
緑茶は効果がある。
1日3食食べるが、主食より副食を重視する。
体を動かしながら同時に脳も使うコグニサイズは、効果が大。
例えば、おしゃべりしながら歩くというように、身体を使いながら、脳も使う。
大切なのは「強い意思と意欲」
そして「実行と継続」
意欲を低下させたり、面倒だという気持ちをを排除する。
脳神経細胞の回復には、「面白い」「まあ面白い」が決め手。
「気を付け」の姿勢でしっかり立てば、緊張が脳を覚醒させる。
歩き方を、足の親指に力を入れて歩くように変える。「インターバル歩行」といって、速足で歩いたりゆっくり歩いたりすることがよい。
仕上げは笑顔、面白くなくても笑顔で過ごすのがよい。
…とまあ、いろいろと当たり前のようなことが並んでいた。
読者の対象は、私よりも上の人たちだったのかもしれない。
しかし、本の中にもあったのだが、知識をよく得てはいるが実行しないのが、一般人。
「身体活動の活発な人は認知症になりにくい」という表現も見かけた。
面倒と思ったり、まあいいやと妥協したりすることなく、この本で得たものを実践し、本物の認知症になることは避けたいものだ。