道を見失い、
水筒を落とし、
鈴を無くし、
いつになったら、知っている道に出られるのか。
幸い、まだ日は高い。
もう1,2時間のうちにこの状態から脱出したい。
ただし、徐々に体力が失われている。
二人とも、足が上がらなくなってきているし、何度も枝や茎につかまって力を出してきたため腕力や握力も失われてきている。
急ごう。
迷ってから3つ目の尾根下りをしていくと、長い雪渓の沢が見えてきた。
迷って入り込んだ沢かな、と思ったのだが、どうやら違っていた。
そしてまた尾根は行き止まりとなった。
東側が崖で下りられない。
仕方がない、西側の沢の方に下りることにしよう。
やむを得ず、下っていると、ふいに道に出た。
しかも、路上にはみ出した太い枝(幹?)には、赤いペンキで登山路を示す「○」が付いていた。
やったあ!助かった!!
思わず、夫婦で抱き合い…はしなかったけれど、生存を喜び合った。
気が付けば、二人とも、靴やズボンのあちこちに泥のあとや葉の緑のあとが付いていた。
あの無くしてしまった水筒や熊鈴が、われわれの身代わりになってくれたのだ、という話にもなった。
あとは、今度は間違えずにこのルートを歩いて下って行く。
途中で、
ミヤマカタバミや
シラネアオイなどを見かけ、しばらく撮影をやめていた妻も、花の写真撮りを再開した。
道を間違えた場所に出た。
迷った理由がわかった。
川の上の雪渓で、右に上がればよかったのに、そのまま左に折れて、雪渓を上がっていたのが悪かったのだ。
しかも、正規のルートの方に、細い木々が倒れていて、それがまるで「通行止め」を示唆しているように見えていたのだ。
だから、先を行った妻は、道を間違えたのだ。
私は、妻に追いつくことばかり考えて急いでいたので、右に道があることなど気付かなかったのだ。
雪の残る時の登山は、怖い。
こうして、道が見えなくなっていることがあるから。
前の年に行っていたとはいえ、迷ってしまった。
ともかく、二人で道に迷いながらも、励まし合って行けてよかった。
互いを責めて夫婦ゲンカ…などはなかったのである。
翌日、妻も私も、全身筋肉痛。
生きるために、必死で歩き回ったりつかまったりして、体じゅうを使ったためである。
日曜日は、おとなしくしていた。(体が痛くて、おとなしくするしかなかったのである。)
来週からは、土曜日が必ず仕事上の理由で休めなくなる。
だからこそ、ちょっと無理して出かけたのだが、なるべく思慮深く行動しなければ。
そんなことを教えてくれた「遭難騒ぎ」であった。
あとは、草かぶれに弱い私の顔や体に湿疹が出ないことを祈るのみである。
水筒を落とし、
鈴を無くし、
いつになったら、知っている道に出られるのか。
幸い、まだ日は高い。
もう1,2時間のうちにこの状態から脱出したい。
ただし、徐々に体力が失われている。
二人とも、足が上がらなくなってきているし、何度も枝や茎につかまって力を出してきたため腕力や握力も失われてきている。
急ごう。
迷ってから3つ目の尾根下りをしていくと、長い雪渓の沢が見えてきた。
迷って入り込んだ沢かな、と思ったのだが、どうやら違っていた。
そしてまた尾根は行き止まりとなった。
東側が崖で下りられない。
仕方がない、西側の沢の方に下りることにしよう。
やむを得ず、下っていると、ふいに道に出た。
しかも、路上にはみ出した太い枝(幹?)には、赤いペンキで登山路を示す「○」が付いていた。
やったあ!助かった!!
思わず、夫婦で抱き合い…はしなかったけれど、生存を喜び合った。
気が付けば、二人とも、靴やズボンのあちこちに泥のあとや葉の緑のあとが付いていた。
あの無くしてしまった水筒や熊鈴が、われわれの身代わりになってくれたのだ、という話にもなった。
あとは、今度は間違えずにこのルートを歩いて下って行く。
途中で、
ミヤマカタバミや
シラネアオイなどを見かけ、しばらく撮影をやめていた妻も、花の写真撮りを再開した。
道を間違えた場所に出た。
迷った理由がわかった。
川の上の雪渓で、右に上がればよかったのに、そのまま左に折れて、雪渓を上がっていたのが悪かったのだ。
しかも、正規のルートの方に、細い木々が倒れていて、それがまるで「通行止め」を示唆しているように見えていたのだ。
だから、先を行った妻は、道を間違えたのだ。
私は、妻に追いつくことばかり考えて急いでいたので、右に道があることなど気付かなかったのだ。
雪の残る時の登山は、怖い。
こうして、道が見えなくなっていることがあるから。
前の年に行っていたとはいえ、迷ってしまった。
ともかく、二人で道に迷いながらも、励まし合って行けてよかった。
互いを責めて夫婦ゲンカ…などはなかったのである。
翌日、妻も私も、全身筋肉痛。
生きるために、必死で歩き回ったりつかまったりして、体じゅうを使ったためである。
日曜日は、おとなしくしていた。(体が痛くて、おとなしくするしかなかったのである。)
来週からは、土曜日が必ず仕事上の理由で休めなくなる。
だからこそ、ちょっと無理して出かけたのだが、なるべく思慮深く行動しなければ。
そんなことを教えてくれた「遭難騒ぎ」であった。
あとは、草かぶれに弱い私の顔や体に湿疹が出ないことを祈るのみである。