癒し系獣医師の動物病院開業日誌

アニマルセラピー団体で活動している癒し系獣医師。農業団体職員から脱サラし、動物病院を開業しています!

先取り鎮痛

2009年09月03日 | 動物医療
いつも、この時期になると私はアレルギー症状がでます。どうも秋の雑草が原因であることは検査で分かっています。それで、本格的症状が出る前に「先取り」でアレルギーを抑える薬を服用して予防しています。

先取り鎮痛・・・・・聞きなれない言葉です。
術後疼痛においては、手術にともなう持続的な痛み刺激により中枢神経系の痛覚過敏状態(感作)が強く影響しています。全身麻酔は意識がないので、痛みを感じていないように思われがちですが、実は痛みの情報は脳に到達しているのです。つまり、脳は痛みを感じ、それを記憶しているのです。そこで、術前に鎮痛薬、局所麻酔、オピオイドなどを用いた鎮痛処置を施しておくことを先取り鎮痛といいます。
先取り鎮痛による末梢あるいは中枢神経系の感作を阻止することで、脳は痛みを感じることなく、術後の疼痛が軽減されるのです。この考え方は新しい考え方であり、実際に先取り鎮痛しておくことで術後の痛みがかなり抑制されます。これが「先取り鎮痛」です。

痛みの学習をしない方が痛みに対してより、過敏にならないのです。実際最近はCOX2阻害系の薬剤がでて痛みのコントロールが容易になってきました。
怪我、手術、病気などで痛みが起こると、痛みが脊髄や脳に記憶されます。この記憶が常に大脳を刺激するので、痛み刺激がなくとも脳はいつも痛いと感じつづけますので、怪我をした所はいつも痛い。これが自発痛として感じるのです。この記憶が脊髄においては痛覚過敏を起こすために、怪我をした所に少し触れるだけでも、風が吹いただけでも痛いのです。この現象は、傷害部位に更なる傷害が加わらないように生体に警告を発し、その部位を保護することを求めているのです。手術などでは、必要があって生体に傷害を加えるのですから、特に、「警告」の必要はないのです。逆に、手術後の痛みは出来る限り無い方が好ましい。この新しい理論に基づいた術後鎮痛方、すなわち「痛みの記憶を阻止する」ことが行われるようになって来た。これが先取り鎮痛です。
先取り鎮痛しておくと、重度の障害で脚を切断した場合でも、よく言われるないはずの脚の痛みを感じることもないそうです。
物事、先取りした方がいいのですね・・・