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日本男道記

ある日本男子の生き様

黒崎~箱の浦 2

2025年02月04日 | 土佐日記


【原文】 
このあひだに、今日は、箱の浦といふところより、綱手引きて行く。
かく行くあいだに、ある人のよめる歌、
たまくしげ箱の浦波立たぬ日は海を鏡とたれか見ざらむ
また、船君のいはく、「この月までなりぬること」と嘆きて、苦しきに堪へずして、人もいふこととて、心やりにいへる、
引く船の綱手の長き春の日を四十日五十日までわれは経にけり

【現代語訳】
ところで、今日は、箱の浦と言う所から綱をつけて引っ張って行く。
このようにして行くうちに、ある人が詠んだ歌は、
たまくしげ箱の…
(箱の浦の波の立たない日は、誰がいったい海を鏡のようだと見ないことがあろうか)
また、船君(貫之)が言うのに、「二月にまでなってしまった」と嘆いて、あまりの長い旅路の苦しさに堪えきれず、「まあ、ほかの人も言うことだから」と言い訳しながら、せめてもの気晴らしに歌を詠んだ。
引く船の…
(この船を引く綱のように長い春の日々を四十日、五十日と私たちは旅をしてきたんだなあ)

◆『土佐日記』(とさにっき)は、平安時代に成立した日本最古の日記文学のひとつ。紀貫之が土佐国から京に帰る最中に起きた出来事を諧謔を交えて綴った内容を持つ。成立時期は未詳だが、承平5年(934年)後半といわれる。古くは『土左日記』と表記され、「とさの日記」と読んだ。 

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