![]() | 信長の棺日本経済新聞社このアイテムの詳細を見る |
【一口紹介】
本能寺の変後、信長の遺骸はどこへ消えたか――。日本史最大の謎に挑んだ本格歴史ミステリー。光秀謀反にちらつく秀吉の陰謀。
阿弥陀寺の僧侶が握る秘密の鍵。そして、主人公・太田牛一が最後につかんだ驚愕の事実とは。時代を動かすベストセラー。
【読んだ理由】
話題の書。津本陽著「覇王の夢」と同じく小泉首相も感銘を受けたと。
【印象に残った一行】
『さよう、例えば高い山に、恐れ気もなく、無邪気に憧れる心地とでも申そうか。信長さまは、常人では律せられないお方でござる。好き嫌いや、事の善悪の彼岸で論じることのできぬ部分がありまする。武士ばかりでなく、何万人という無辜の民、女子供を殺された。比叡山や一向宗徒からは見れば、法敵、殺人鬼と罵られても仕方のない方じゃ。だが、そんな欠点という谷がいくら深くても、長所という山の高さが、ずば抜けていれば、その山の偉大さだけで許されてもよいのではないか。そこですな、拙者が信長さまという不出世のお方の生涯記を、後の世のために残しておきたかった気持ちは・・・。亡くなられてから、かれこれ十六年が経ち申すが、今も織田信長さまは、この国のためにはどうしても必要なお方だった。五十歳までに失うにはあまりにも惜しい人物だった。いや益々、時代は信長さまを必要としていると信じております。』
【コメント】
中小企業金融公庫や山一證券をへて経済評論家となり、六十五歳過ぎて小説を書きはじめた七十五才の新人作家加藤廣氏が書いた歴史ミステリーである。(この年齢には驚かされた。)本能寺の変後、消えた信長の棺を探して、元武士で著述家太田牛一を主人公に、謎を解く話になっている。
何処までが史実かは興味が尽きない。
著者あとがきにある、英国の歴史学者エドワード・H/カーの言葉。
『歴史とは、歴史家と事実との相互作用の不断の過程であり、現在と過去との尽きざる対話である。』

