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自然の中をロードバイクで走るのが大好き。現在の愛車ははPINARELLO GAN-RS(2016)。

MASTER TAPE -荒井由実“ひこうき雲”の秘密を探る-

2010-01-19 | 音楽

この番組はNHKBS‐2で16日(土)に放送。荒井由実のデビューアルバムである「ひこうき雲」(1973)に参加したミュージシャンたちが,そのマスターテープを聴きながら当時の様子や今聴きなおしての印象。録音にまつわる話などを語ってゆくという番組。

テレビでこの番組の予告を見たときから嬉しかった。よくぞ取り上げてくれた,という感じ。荒井由実については06年に一度
書いたけど,「ひこうき雲」は彼女の最高傑作だと思う。楽曲,演奏,アレンジ,録音すべてのレベルが高く,37年が経過した今でもまったく色褪せていない。

某スタジオの調整室に松任谷夫妻,細野晴臣,林立夫らのミュージシャンに加え,当時のレコーディングディレクターとエンジニアが集合。

再生された曲は「返事はいらない」,「ひこうき雲」,「きっと言える」,「紙ヒコーキ」,「曇り空」など。このアルバムは当時先駆的だった16チャンネルで録音されているが,本記事の写真にもあるとおり,トラックごとに何の楽器が使われているのか画面に表示されたのが嬉しかった。
主に正隆さんがその場をリードして,「ギターとボーカルだけ聴かせて下さい」とか,「次はボーカルだけで」。「ピアノだけで」とエンジニア氏へ注文してゆく。元の曲と大きく違った雰囲気が出てすごく面白かった。

あいだあいだには各ミュージシャンや関係者の証言も入り,これも聞きどころ。アルファスタジオの社長も出てきた。
久しぶりに揃ったメンバーが「ひこうき雲」を即興で演奏するという場面もあった。ドラムの林さんがすごく嬉しそうだった。ボーカルの由実さんは高音域で声がかすれてしまっていたが,「これを機会に純粋キャラメルママコンサートしましょうよ!」と,やはり嬉しそうだった。

僕が観ていて最も良かったのは,「きっと言える」のシーン。エンジニア氏の提案で,細野さんのガットギター&由実さんのボーカルの2チャンネルのみを再生。これがすごく良かった。演奏した本人たちも素の表情になって聴き入り,「いいねえ」。「いい音だわ~」。「すごい気持ちいい」。
とにかく音的に洗練されているのには驚き。細野さんのギターは氏が言うようにボサノバ的。非常に滑らかで心地良い。曲の後半はもう1チャンネル加わってサックスも入ってくる。これも良かった。
細野さんいわく,録音時の譜面にはコードしか書いてなかったとか。それであんなにカッコいい旋律を弾いてしまうとは…。

参加者たちの会話も盛り上がって,その場の和やかな幸福感が伝わってくるようだった。番組を観ている僕もとても嬉しかった。由実さんは,「これもみんなで聴くからこその愉しさですねー」と言っていた。みんな頷いていた。早くもこれは2010年最高の番組じゃないか。