コーンベルトは警告する
8/28 NHKラジオ 内橋克人さんの『ビジネス展望』の要約です
米国中西部には、広大な穀倉地帯(コーンベルト)が広がっているが、
ここが、今年の6月中旬から記録的な暑さと旱魃(かんばつ)に見舞われている。
旱魃は米国本土の6割以上を襲うほど広範囲にわたっている上、
8月以降は、事態はさらに急速に悪化しているようである。
これで、とうもろこしの生産量は前年比 17%、
大豆も 12%もの減少が予測されている。
これを反映して、穀物相場が急騰し、
シカゴの商品取引所の先物価格は、
とうもろこしは5割、大豆は3割も上昇している。
この旱魃は1958年以来56年ぶりの大旱魃だと言われ、
今なお、雨らしい雨が降らず、食料危機の再来を前にして、
日を追って世界に緊張が高まっている。
この所、食糧危機には、周期的に見舞われて来た。
最も記憶に新しいのは、2007~8年の時のものであるが、
その僅か2~3年前にも、食料価格が高騰して
FAO(国連食料農業機関)が、緊急に世界食料サミットを開いている。
その危機感が薄れ始めた2007年に、
再び穀物相場が高騰してしまったのである。
米国のコーンベルトで生産されている、とうもろこしや大豆は
いずれも世界生産高の4割を占めている。
これは、言わば穀物生産を独り占めしている状況であるので、
ここでの作付け状況が直ちに世界の食料事情に直結しているわけである。
また、米国以外に、
インドでも深刻な旱魃に見舞われており、米の作付けが減少している。
ただ、幸いな事には、一方で、ブラジルなど大豆が大豊作な所もあるので、
2007~8年の食料危機の時とは、やや様相が異なっている、とは言える。
さて、日本はこの事態を『コーンベルトからの警告』として、
深刻に受け止めなければいけない。
日本は先進国の中でも、食料自給率が異様に低い。
飼料用穀物……全量輸入(その99%が米国からの輸入)、
大豆……自給率 6%、輸入94%(その72%が米国からの輸入)
小麦……自給率 14%、輸入86%(その61%が米国からの輸入)
先進国と比較すると、
人口 国土面積 穀物生産高(年)
日本 1億3千万人 900万トン
英国 日本の1/2 日本の1/2 3,000万トン
独国 8千万人 日本の90% 5,500万トン
という状況で、
食料の過剰な他国依存を、平然とやり過ごして来たことに、愕然としてしまう。
辛うじて、これまで、米(コメ)だけは守ってこれたが、
TPPで崩されてしまう恐れが出て来ている。
日本の食料の安全保障に、
米国のコーンベルトから、厳しい警鐘が鳴らされている事に心すべきである。
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