ジョージ・いまさきもり の アンダンテ・カンタービレ

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活断層と電力会社経営問題~5/28 NHKラジオ 諸富 徹さんのお話

2013年05月28日 | ラジオ番組

『活断層と電力会社経営問題』   
              5/28 NHKラジオ 諸富 徹さんのお話の要約です。

原子力規制委員会が、5月22日、
日本原電敦賀原発2号機の真下を走る断層は、『活断層』だとする、
専門家会議の報告書を了承した。

原子力規制委員会という組織は、2012年9月19日に発足した。

それまでは、原発を推進する資源エネルギー庁、それを規制する原子力安全保安院が、
同じ経済産業省の中にあり、
どう見ても、推進側に引っ張られて、規制機関が充分にその役を果たせていなかった。

この、反省に基づいて、
新しいこの原子力規制委員会は、
委員の任命には、国会の同意を得なければならないとし、
また、組織自体は、国家行政組織法第3条2項に基づく委員会(俗称三条委員会)として、
内閣からも高い独立性が認められている。

こうした経過で設けられた委員会であるので、
今回、委員会が、政府や電力業界の意向等に左右されることなく、
純粋に科学的見地から判断を下せる組織であることを示した、と言えよう。

これは、原子力規制委員会に対する、国民の信頼を形成させて行くには、
重要な判断であったと思われるし、
今後、この規制委員会の判断に基づいて、各地の原発が選別されていく時代に入ったと言えよう。
 
日本経済新聞 電子版()5/25)によれば、

日本原子力発電が24日発表した2013年3月期の連結決算は、
営業利益が前の期比89.5%減の9億円だった。
保有する原子力発電所全てが停止中で、発電量はゼロだが、
販売先の電力会社から受け取る「基本料金」で収益を確保した。
ただ敦賀原発(福井県)2号機は活断層問題で再稼働の見通しが立たない状況。
廃炉を迫られれば、経営への打撃は大きく、先行き不透明感が増している。

13年3月期の売上高は、前の期比4.3%増の1524億円。
電気の販売先の東京電力や関西電力など5電力から、
原発の保守費用や人件費といった固定費を「基本料金」として1510億円受け取った。
合理化効果もあり、売電しなくても利益を確保した。
ただ最終損益は税負担が重かったことなどから、5億円の赤字(前の期は128億円の赤字)となった。

日本原電は沖縄電力を除く電力9社などが出資している原発専門の卸電力事業者。
東海第2原発(茨城県)と敦賀1、2号機の3つの発電可能な原発を保有しているが、現在は全て停止中だ。

記者会見した浜田康男社長は今期の基本料収入が1200億円程度になるとの見通しを示した。
原子力規制委員会が22日、敦賀2号機直下に活断層があるとする有識者会合の報告を了承したことについては
「6月末までの自主調査の結果を反映してほしい」と改めて主張。
ただ規制委の判断が覆る可能性は低いとみられる。

仮に敦賀2号機を廃炉にした場合は、廃炉費用と減損の発生で1千億円規模の特別損失が出る見込み。
日本原電の3月末時点の純資産は1650億円のため債務超過にはならないが大幅に減る。
敦賀2号機分の基本料収入が失われ、収益基盤は脆弱化する。
他の2原発についても、再稼働には7月に施行される原発の新規制基準に対応した設備の工事が必要。
すでに500億円の費用を見込んでおり、今後はさらに増える。

日本原電は、委員会の結論を現時点では受け容れず、独自の調査を進めている。
しかし、規制委員会の結論を覆すのは難しいだろう。
廃炉に追い込まれる可能性が高い。

また日本原電の他の2つの原発も、
敦賀1号機もまた、、直下に活断層の疑いがあるし、
東海第二原発は、地元が再稼動に強く反対しているので、いずれも再稼動が見通せない。
このまま推移すれば、日本原電の経営不安が顕在化する可能性が高い。

日本原電は、7月に自らの調査結果を公表する方針でいる。
それが、規制委員会に受け容れられなければ、訴訟も辞さない構えのようである。
しかし、それは、時間稼ぎにはなっても、問題の根本解決になることではない。

現時点で、収入が無いにも拘わらず、何故日本原電の経営がなりたっているのか?
その理由は、上述の日経の記事のように、
発電していなくても他の電力会社から1200億円の負担金が入って来るからである。
しかし、再稼動がずっと難しいとか、廃炉とかになれば、
他の電力会社がいつまでもそれを払えるか、という問題が起こってくる。

それと、日本原電は、いま銀行からの借金が1000億円あるが、
他の電力会社が債務保証をしているので、借り替えに応じてもらえている。
債務超過寸前の日本原電に、他の電力会社が、いつまで保証を続けられるというのか。

つまり、日本原電の経営危機は、他の電力会社にも大きな負担となる。
実際に敦賀第二号機が廃炉に決っても、
いくらの費用が掛かるかは、福島原発を見た通りで、膨大すぎて予測がつき難い。

まずは、日本原電が負担すべきとしても、
多分出来ないだろうから、出資している他の電力会社の負担となろう。
他の電力会社も、アップアップの状況だから、電気料金を上げるか、国に頼るしかない。
つまりは、国民が負担することになる。

いつかは、廃炉の時期が来る!、莫大な廃炉費用が必要になる時が来る!
これまでは、この事実を直視せず、先送りしてきたが、
今回の規制委員会の判断は、直視するきっかけを与えてくれた、と言える。

そして、原発を廃炉にすることは、原発会社の経営危機を産み、大きな負担が残る。
その負担をどのように、透明に、公平に、分担するのか、
そのルール作りにも目を向けて行かないといけない事も、教えてくれている。


  
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