『震災復興に欠かせない会社再建』
3/11 NHKラジオ 山口義行さんのお話の要約です。
『原発事故で被った損害が、どのくらい賠償されるのか』、という事は、
被災企業の経営者の再建意欲につながる事であり、
その見通しが金融機関からの新規融資を左右することにもなるので、
これは非常に重要である。
今朝、山口さんは、双葉郡浪江町の食材販売会社『伊藤商店』の伊藤社長さんから、
2011年6月に寄せられたメールを読むことからお話を始められた。
「原発から半径10kmもない距離に会社も自宅もあったために、
ほとんど総てを失ってしまった。
「社員も7つの県に避難中で、業務遂行はほとんどできない状態である。」
「地元の商工会加盟600社中、事業継続の意思を示したのは15社だけで、
このままでは原発により全滅させられてしまう。」
「国も東電も現場の現実をどのくらい理解しているのか甚だ疑問である。
「しかし、このような状況でも私はやり続ける意思は明確に持っているので、
会社を再建するためのアドバイスを欲しい。」
原発事故による放射能から避難するため、地域は丸ごと消失したようなもので、
伊藤商店は、事務所や倉庫だけでなく、顧客も失ってしまった。
売り上げや売掛金の回収が止まってしまい、
数千万円にのぼる買掛金の支払いが重くのしかかって来た。
意のある業者は支払い延期に応じてくれたが、
大手の仕入先からは、容赦のない矢のような催促が続き、困ってしまった。
東電からは仮払金が僅か250万円支払われただけで焼け石に水。
戴いた義損金や見舞金を使ってまでして、なんとか支払った。
この後、山口さんは、全力で伊藤商店の再建のための手助けをされた。
中小企業庁や資源エネルギー庁を訪ねて、
同社の利用可能な金融支援制度や、賠償の見通しの情報を得て、これを授けた。
そういうような情報を提供しながら、
伊藤社長の心が折れてしまわないように、連絡を取り合いつつ支えて来られた。
これで同社は、約9千万円の借入れができて、企業再建に向けてスタートできた。
現在は、南相馬市に倉庫と事務所を借りて営業している。
伊藤商店のサイトは⇒こちら
伊藤商店のような場合は、設備を失っただけでなく、顧客までも失っている。
従って、大胆な業態転換も含めて事業そのものを再構築して行く必要がある。
そのためには、的確な情報と人的ネットワークが必要である。
山口さんは、スモールサンという組織をお持ちで、そういう支援をされている。
しかし、原発事故の被災企業の再建に、決定的な役割という事になると、東電である。
まず一つには
放射能被害で仕事を失った企業に対して、東電は仕事を与えるという努力をすべきである。
東北地区で東電関係者は、まだ仕事をしているわけだから
原発被災企業を優先的に仕入先、購入先として、選ぶくらいのことは当然であろう。
しかし、それさえ、現状ではできていないようである。
もう一つは賠償金の支払いの問題である。
これが遅々として進んでいない。
これは補償の評価の両者の意見の隔たりが大きいことが理由であるが、
とにかく、支払いが遅れれば遅れるほど、東電が有利になる。
それは、原発被災企業が融資を受けた、政府系金融機関からの融資の返済猶予が
あと2年程度に迫っているからである。
その返済期限が迫ってくると、切羽詰った企業側は、
不本意でも東電案を受け入れて、賠償金を払ってもらわないといけなくなる。
東電側は、別に急ぐ理由はないから、
時間が経って企業側が折れてくるのをのんびり待っていれば良い、ということである。
これでは、対等な交渉とは言えないから、
安倍首相は東電に対して、早期に妥結するように勧告すべきである。
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