2月3日 今朝のNHK「ラジオ朝一番」から
(来週日曜からNHKのホームページで放送が聴けます。
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☆☆☆ビジネス展望☆☆☆
「金融危機と新たな銀行規制の導入」 中北 徹さん
2008年9月のリーマン・ショックでは、
支払い能力はあるが、市場で流動性が枯れてしまって、
巨大銀行や証券会社が倒産の危機に遭遇するという
想定外の事態に直面した。
米国政府は市場の規律を重視するとして、
当初は巨大な金融機関といえども救済しないと言っていたが、
結局AIGやシティーバンクに公的資金を投入せざるを得なかった。
その後、役員が巨額の報酬を得ていた事がわかり問題となった。
銀行経営の健全性を守るには、
自己資本規制は最重要である。
現在の銀行の自己資本規制は、
2004年に合意制定された”バーゼル2”と呼ばれるもの。
各銀行が自主的に正確なリスク量を計算して
自己資本を持つように決められていた。(自己資本比率は8%)
この”バーゼル2”の下で何故リーマンショックが起きたか、
あまり検証がされていない。
自主的な計算による自己資本が不足していたのではないか?
あるいは、”バーゼル2”の遵守導入が遅れていたのではないか?
日本はというと、2006年に規則化され、
遅くとも2008年3月迄にすべての金融機関に実施されたので
リーマンショックの影響は軽微に済んだと言われている。
検証がされないまま、今は”バーゼル3”の制定に動いている。
重点項目として
巨大銀行への対処
景気循環と自己資本比率規制とのバランス
役員の報酬の見直し
格付け機関のあり方
等々をあげている。
このうち自己資本規制については、
自己資本比率は従来通り8%だが、
自己資本の内訳として質を重視する方向になっていて、
普通株で持つ比率を現行の2%から4.5%へと2倍以上にしている。
普通株の比率を高めるには、
普通株の発行量を増やさねばならないが、
そうすれば株価が下がってしまうので
調達できる資本量に限りがでてしまう。
普通株の比率をあげることができないなら、
少ない自己資本量でも自己資本比率を8%に満たすため、
逆に貸し出し額を減らす、いわゆる”貸し剥がし”が起きてくる。
あるいは営業面では
一層リスクの高い分野の業務にも手を出さねばならなくなる。
堅固な経営基盤を築くため、自己資本の規制を強くし過ぎると、
再びバブルが形成され、金融の崩壊に繋がるという
悪循環を繰り返すのでないかと危惧している。