横浜市長選は、2017年7月30日に投開票され、現職の林文子氏が3選した。林氏は自民と公明(安倍政権)の推薦のほか、連合神奈川や経済界有志の支援も受けていた。安倍政権が検討を進めるカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致が争点の一つとなり、他の2人の候補者が「カジノはいらない」と訴えたのに対して、林氏は「導入を検討」する事を公約していた。ちなみに、7月31日、安倍政権の有識者会議が、カジノを含む統合型リゾート(IR)の制度設計の素案をまとめた。
落選した他の2氏については、民進党の不統一混乱が敗因と評されている。それも重要な事である。
しかし、自民公明安倍政権推薦の林氏が当選した状況について、さらに重要な問題を考えさせられた。それは、投票率が37%であったという事である。前回の29%よりも上がってはいるが。
林氏が当選したのは、自公や連合による組織票によってである事は言うまでもない。60%以上の投票しなかった者(棄権者)の意思はここには表れていない。もし、もっと投票率が高ければ(棄権者が少なければ)、結果は変わっていたかもしれない。しかし、現実の横浜の林市政は、安倍政権の意向に沿った行政策を実施していく事となる。
投票を棄権した横浜市民が、市政から逃れようとしても、市政はそのような市民も逃がしはしないのが現実である。
棄権者はその事の重要性をどれだけ考えて棄権したというのだろうか。選挙の結果はこれまでがすでにそうであるが、現市民のこれからの生活はもちろん、その子孫にも大きな影響を与える事となる。棄権者はその事をどれだけ真剣に考えたのだろうか。棄権者は自分自身はともかく自分の子孫に対しての責任を果たしていると言えるのだろうか。言うまでもないであろう。
自分の責任を曖昧にする人間にとっては、他人に意見を言ったり、他人を批判したりする事は自分にとって不利益で必要な事ではないと考える傾向があるが、そのような傾向を安倍政権は利用している事を読み取らなければ、安倍政権の思うつぼである事も知っておくべきであろう。そして、「棄権」は、永遠に権力者を、現在では安倍政権を利する事に力を貸す事につながっている事を知っておくべきであろう。安倍政権にがんじがらめ(国体を定める憲法改悪がとどめ)にされる前に。
自分を守るためには、他人任せではなく、自分自らが行動しなければ守れないというのが「歴史の教え」です。
(2017年8月2日投稿)