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育鵬社採択、大阪市、市民のためでなく橋下ワールドの地位、権力、殖富のため。フジ住宅と会長も社員に協力強要

2020-07-03 19:35:41 | おおさか維新の会

 A新聞報道によると、大阪市教育委員会は2015年8月5日、来年度から中学校で使用する「歴史」と「公民」教科書に「育鵬社」版を採択した。大阪市では初採択。教育委員による多数決で決定。2社に絞って多数決となり、いずれも4対2で「育鵬社」が多数に。ただ、採択後、大森不二雄委員長が「採択された教科書がすべての生徒、保護者に納得のいくものであると信ずべき根拠はない」として次点で採択されなかった教科書の副教材化を提案。公費負担を前提に検討する事になった。大森委員長は「それぞれを知る事によって、より深い社会認識につながる」と語った、とある。

育鵬社は07年に設立され、「新しい歴史教科書をつくる会」元会長の八木秀次・麗澤大教授らが編集した。内容は、歴史ではアジア太平洋戦争の記述で「植民地支配されたアジアの解放」を強調。東京裁判については「戦勝国の一方的な裁判」という視点から特設ページを設けている。公民では「個人が家族より優先されるようになると、家族の一体感は失われていくおそれがあります」と記述するなど、敗戦までの大日本帝国憲法下の家族観を重視する内容も盛り込む。

 さて、採択の真相はどのようなものだったのか、「グループZAZA」の傍聴報告をもとに簡潔に紹介しよう。

1、密室で採択……7月31日の時点で、場所も傍聴人数も決まっていなかった。市教委は場所の公表は早くても8月3日になるとしていた。当日、傍聴者を採択会議場に入れず、別会場で音声映像の生中継を視聴させた。発言は聞き取りにくい上に中継は頻繁に中断した。高尾委員は、育鵬社と同じフジサンケイグループの重職を歴任し、育鵬社教科書の共同事業者である日本教育再生機構の機関紙『教育再生』に何度も寄稿し、育鵬社の利害関係者にあたるとの指摘に対して、市教委は誠意ある回答をしてこなかっただけでなく、寄稿について「軽率とは思わない」と回答。

2、論議なしの採択

「歴史」……内容についての審議はほとんどなし。高尾委員と大森委員長が教育観や歴史観についての持論を演説したあと、育鵬社と帝国書院に絞り、それぞれどれを一位にするかを表明したあと、挙手で採択決定。結果は育鵬社4名(高尾、帯野、林、山本)、帝国書院2名(大森、西村)。山本教育長は一切意見表明しなかったが育鵬社に挙手。

「公民」……高尾委員が育鵬社を強く推薦。「育鵬社が人権記述が最も充実している。なかでも異文化理解が良い」と称賛。大森委員長は、各社の採点表を出した。育鵬社と日本文教出版がともに14点で最高、東京書籍はマイナス19点で最低。これは安保、防衛に重点をおいて採点したもので極めて恣意的なもの。大森委員長は歴史とのつながりを理由に育鵬社を第一位に挙げた。挙手による採択結果は育鵬社4名(高尾、大森、帯野、山本)、日本文教出版2名(林、西村)。「公民」でも山本教育長は一切意見表明しなかったが育鵬社に挙手。

3、大森委員長が複数教科書使用の提案

 最後に突然大森委員長は多面的な学習を理由に、教科書の複数使用を提案。八重山教科書採択事件の時、下村文科相と朝日新聞社説が、竹富町に東京書籍と育鵬社の複数使用を提案した事がある事、熊本県では中高一貫中学校で副教材として育鵬社を使用している例を挙げ、歴史は帝国書院、公民は日本文教出版を補助教材として採用するという付帯決議を提案。帯野委員以外が賛成し、複数使用が決定。費用は2倍かかる。提案は、傍聴者にも印刷されて配布された事から、大森委員長の思い付きではなく、橋下市長の了解を得ていると考えられる。

4、教科書展示会の市民アンケート

市教委事務局によると、育鵬社に肯定的な意見が67.6%(779件)、否定的な意見が32.4%(374件)との事。今年の特徴は、日本教育再生会議だけでなく、ヘイトスピーチ集団も市民アンケートを呼びかけていた。                        

                                                以上

「歴史」「公民」で育鵬社採択に至った原因は何か。そこにはここ数年間かけての橋下ワールドによる小中高校採択制度を改悪するための周到な準備が着々となされてきた事があった。

1、採択地区を全市1地区へ……2013年の市立高校の教科書採択で、次年度から各学校の「選定」を事実上認めず、教育委員会の独断採択を制度化する事を決めていたが、13年12月3日、市立小中学校の採択地区をこれまでの8地区から全市統一1地区へ方針転換。大阪市教委はその理由として、

➀採択地区がなくなる事で、市内での転出入を行った児童・生徒が必ず同一の教科書を使用する事が可能となるため。②市内全体を校区とする小中一貫校へ進学や編入した場合にも、すべての児童や生徒が同一の教科書を使用する事が可能となるため。③教材研究の成果を共有する事が容易となり教員の資質向上が期待できるため。④採択地区を1区に設定する事で、採択権者が1つの地区の採択を適切に行う事が可能となるとともに、業務の効率化も期待できるため。

としている。しかし、ここに見られる考え方は、教科書が「同一」である事は最良という短絡したものである。「無償措置法」第16条と閣議決定「将来的には学校単位の採択の実現に向けて検討していく必要があるとの観点に立ち、当面の措置として、教科書研究により多くの教員の意向が反映されるよう、現行の採択地区の小規模化や採択方法の工夫改善についての都道府県の取り組みを促す」(「規制緩和推進計画の再改定について」1997年3月28日)に意図的に反するものであり、育鵬社の採択数の大量増加を狙ったとしか思えない。

2、選定委員の人選に橋下市長が介入できる根拠を制度化……小学校教科書採択前の2014年5月の教育委員会議において「選定委員会規則」を定め、その第2条2項で「次に掲げる者のうちから教育委員会が市長の意見を聴いて任命」と規定し、市長の支持者を選ぶ事を可能にした。「次に掲げる者」には「「区担当理事」「教育に関し学識経験を有する者」「学校協議会の委員」「その他教育委員会が適当と認める者」などを挙げている。「区担当理事」は橋下市長が選んだ公募区長も含まれるが高野西区区長がどのようして選ばれたのかは不明。「学識経験者」3名の中に、神戸大学経済経営研究所所長と関西生産性本部事務局長が入っているが、どのようにして選んだのかも不明。

3、教科書の調査研究の観点(調査の観点)が、14年の小学校教科書採択時から、橋下ワールドの作った大阪市教育行政基本条例、大阪市教育振興基本計画に示された基本的な目標に基づいたものとされた。「愛国心」が追加されたのに対して、前回まで入っていた「人間尊重の精神に基づいて作成されているか」という項目は削除された。

4、14年の小学校教科書採択時から、学校調査会を完全に空洞化……前回まで学校調査は採択資料の中でも重視されてきたが、その方法を改悪し、今回からは学校調査会を設置するが全教員が参加する必要がなく、全教科について調査する必要もなくなった(学校調査会の人数は示されていない)。しかも、各教科書会社ごとに文章で「特に優れている点」「特に工夫・配慮を要する点」を報告するだけで優劣をつけず、学校としての採択希望が分からない報告となった。学校調査会の空洞化は、ILO・ユネスコの「教員の地位に関する勧告」に反している。

※ILO・ユネスコの勧告「教育職は専門職としての職務の遂行にあたって学問上の自由を享受すべきである。教員は生徒に最も適した教材および方法を判断するための格別な資格を認められたものであるから、承認された枠内で、教育当局の援助を受けて教材の選択と採用、教科書の選択、教育方法の適用などについて不可欠な役割を与えられるべきである」

5、14年の小学校教科書採択時から、選定委員会「答申」も、候補の教科書を絞ったり推薦順位付けする事をやめた。15年の中学校教科書採択に際しては、4月7日付けで文科省が通知を出し、「採択教科書の決定に当たっては、教職員の投票によって決定されるような事はもとより、十分な審議や調査研究を経ずこれまでの慣例のみによって決定されるなどにより、採択権者の責任が不明確になる事がないよう、採択手続きの適正化に強める事」「調査員等が作成する資料においても、その資料及び評定について十分な審議を行う事が必要であり、必ず首位の教科書を採択・選定、又は上位の教科書の中から採択・選定する事とするなど、採択権者の責任が不明確になる事がないよう、当該評定に拘束力があるかのような取扱いはしない事」を要求していた。このようにさまざまな改悪を着々とすすめ教育委員会に権限を実質的に集中させ恣意的な独断採択への道を開いたのである。

6、橋下市長支持者で占められる教育委員会

○大森不二雄(委員長):元文部官僚で『「ゆとり教育」亡国論』の著者、教育政策ネットワークの代表幹事

○西村和雄:2000年当初から学力低下批判の急先鋒、『分数ができない大学生』の著者、教育政策ネットワークの代表幹事

○林園美:株式会社Z会で勤務経験、現在、日本公文教育研究会勤務

○山本晋次(教育長):市政改革室理事などを歴任

○帯野久美子:株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役(大阪府とも取引のある英語教材作成、翻訳・通訳の会社)、教育委員会制度改悪に関わる中央教育審議会の委員

○高尾元久」産経新聞社大阪本社嘱託業務アドバイザー、日本教育再生機構機関紙『教育再生』に何度も寄稿

※前回の中学校教科書採択でも、大阪維新の会は育鵬社を採択するように大阪市教委に要請をしていた。

※今年の採択では、東証1部上場の不動産大手・フジ住宅で、会長が社員に、育鵬社の採択運動に協力させていた事が新聞報道された。社内では、会長名で育鵬社の教科書を称賛する文書が配布されたり、また社員には各地の教育委員会が採択するよう社員の住所地の市長や教育長らに手紙を書かせたり、各教委の教科書展示会でアンケートに答えるよう促し、「勤務時間中にしていただいて結構です」と書き添えていた、という。社員が実際に手紙を送ったとみられる自治体は関西に40以上あるという。

※自民党も安倍首相に近い議員でつくる「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」が、育鵬社を採択してもらうために、パンフレット「より良い教科書を子どもたちに届けるために」を作成し、地方議員が採択権限を持つ市町村教委に働きかけたようだ。

このような行為は今年4月7日付けの文科省通知に抵触する。……通知抜粋「円滑な採択事務に支障をきたすような事態が生じた場合や違法な働きかけがあった場合には、各採択権者が警察等の関係機関と連携を図りながら」とか「外部からの働きかけについて…過当な宣伝行為その他外部から不当な影響等により採択の適正、公正の確保に関し問題があると考えられる場合には、……文科省教科書課宛てに報告する事」

国民は、自民党や公明党や大阪維新の党や「つくる会」などの体質をハッキリと知る必要がある。彼らは紳士面をして国民に法治主義の尊重を主張しながら、自らは狡猾で法やルールに反した手段をとり、自己の地位や権力、富を守ろうとしているだけである。無法者の集団である。彼らが政治行政の権力を掌握し続ければ国民は彼らに都合よく利用された揚句に使い捨てられ、生活は破壊され、立憲主義、国民主権、民主主義、基本的人権尊重の日本国は崩壊する。

(2016年2月24日投稿)

 

 


松井一郎市長(大阪維新の会代表)発言と神聖天皇主権大日本帝国陸軍佐藤賢了の「黙れ」発言との酷似と危険性

2020-04-21 21:43:49 | おおさか維新の会

 2020年4月7日、大阪市長・松井一郎氏の市役所での記者会見の発言は、主権者市民(国民)として、決して聞き流してはいけない内容である。それはあたかも、神聖天皇主権大日本帝国政府の下でしか通用しない発言に酷似しているからである。

 第1次近衛文麿政府時の1937年7月7日に盧溝橋事件が勃発(日中戦争)し、8月に第2次上海事変を引き起こした直後の8月15日、政府は「国民政府断固膺懲声明」を発表。12月13日には首都南京占領。38年1月16日には第1次近衛声明国民政府を対手とせず」と発表した。 

そして1938年3月、国家総動員法案(4月公布)の審議中、陸軍中佐・佐藤賢了が、質問した議員に対し「黙れ」と怒鳴って質問を妨害し問題となったのである。しかし、佐藤は1942年には陸軍省軍務局長に、45年には陸軍中将となり、順調に昇進したのである。

 ところで、松井一郎氏の発言は、「立憲民主党や国民民主党、共産党は今年の1、2月、新型コロナウイルスの危機迫る中で、桜を見る会や森友学園問題ばかりやっていた。もう、とにかく黙っていてもらいたい。彼らこそ、閉じこもっていてもらいたい。行政は新型コロナの被害に遭っている人をサポートするという実務の世界にいる。選挙目当てのパフォーマンスをしている人たちは閉じこもって、出てこないでと思う」というものである。

 上記からわかるように、松井一郎氏(大阪維新の会代表)は、国民主権を原則とする憲法の下にありながら、明らかに立憲民主党、国民民主党、共産党などの野党の政治活動を妨害するものであり、その事により、主権者国民の「知る権利」を圧殺するものであり許してはならないものである。それはまた安倍自公政権を補完する役割を担っているという面でも許してはならないものである。

(2020年4月21日投稿)


吉村大阪府知事「教委はいらない」発言:自己の責任を棚に上げて教委に転嫁するな

2019-06-19 10:53:33 | おおさか維新の会

 2019年6月14日、吉村大阪府知事が、吹田市の小学校での女児いじめ問題で、吹田市教委が1年半放置していたとして、「教育委員会制度は廃止した方がいい」「(いじめへの)感度が低い。どこまで本気でやっていたのか」「制度自体が今の時代にマッチしているのかをもう一度考えるべきだ」などと述べた。

 「いじめ」は人権侵害問題である。それを考えれば、これまでの大阪府知事(橋下、松井を含む大阪維新の会)の様々な政策や姿勢も人権を否定無視した内容でしかない。そして、現府知事の吉村氏もこれまで(市長時代)の自分を棚に上げた傲慢な発言だと言ってよい。

 2015年4月1日に施行された「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律」に基づけば、「いじめ」問題への対応は、「いじめ事件などが発生した場合は、まず、常勤の教育長(府知事が任命)第一義的な責任者として迅速に対応する事になっている。また、教育長の判断により、教育委員への迅速な情報提供や教育委員会会議の召集ができる。さらに、府知事の判断により、緊急に総合教育会議を開いて、講ずべき措置についての教育委員会と協議・調整を行う事ができる事になっている。

 上記法律の施行により、教育長やそれを含むすべての教育委員は議会の同意を得て府知事(首長)が任命できる事となり、教育長は教育委員会の会務を総理し、教育委員会を代表(会議の主催者、具体的な事務執行の責任者、事務局の指揮監督者)する地位となった。

 また、総合教育会議もすべての公共団体に設置する事となり、府知事(首長)が召集し、府知事と教育委員会で構成し、教育行政の大綱の策定、教育の条件整備など重点的に講ずべき施策、児童・生徒等の生命・身体の保護等緊急の場合に講ずべき措置などを協議・調整する事を定めている。

 大綱とは、教育の目標や施策の根本的な方針の事で、教育基本法第17条「教育振興基本計画」に規定する基本的な方針を参酌して定める。総合教育会議府知事(首長)と教育委員会が協議・調整し、府知事が策定するとしている。大綱は、府知事(首長)の権限に関わらない事項である教科書採択の方針や教職員の人事異動の基準等についても、教育委員会が適切と判断して、府知事(首長)が記載する事もあるとしている。

 以上の事から判断すれば、今回の「吹田いじめ問題」において、最も重い責任を問われるべきなのは吉村洋文・大阪府知事であるという事ではないのか。そういう意味で吉村洋文氏は傲慢で独善的人格の持ち主であり、府知事など「公職」に就く資格を有していないと考えて良いのである。また、かつては、「公職には適していない」とされた人物が、公職に就くようになっているのが現代の政治の世界であるという事なのである。

 吉村氏は、安倍自公政権が目指す、「首長が教育行政を独占する仕組み」をつくるための「露払い役」をつとめているのである。

(2019年6月19日投稿)

 

 


サムライ文化展示会(大阪城天守閣):武器武具を誇り殺し合いを美化する価値観の異常性に気づこう

2019-06-03 09:50:53 | おおさか維新の会

 2019年6月3日の新聞に、「サムライ文化を伝える展示会」が大阪城天守閣で開かれているという記事が載っていた。大阪府市の首長が大阪の経済を活性化させるためとして行った招致活動の結果、大阪で開催される事になった「主要20カ国・地域(G20 )首脳会議」に合わせたものであるという。ところで、「ピースおおさか」の展示変更の件でもそうであるがここでも大阪府市の首長(大阪維新の会)は自己の価値観を明確に暴露している。戦国時代に使用した武器武具を誇り、殺し合いを美化する価値観である。しかし、現代の世界の首長はそのような価値観を敬遠否定しているのであるがそれが理解できていないようだ。大阪維新の自己中心的独善的な価値観を明確に示すものである。ついでながら、「おもてなし」といわれるものも、独善的な「自己中」そのものである事を見抜いているであろうか。自己を客観的相対的に評価する事は重要な事である。しかし、昨今の令和フィーバー現象を見れば戦前まで日本人の多数派と変わらず難しい。

(2019年6月3日投稿)


松井氏、吉村氏(日本維新の会)たちは狡猾な金儲け第一主義、偏向した価値観を有し人権尊重意識は欠片もない

2018-05-24 01:15:02 | おおさか維新の会

 2018年4月28日、維新の会吉村洋文・大阪市長はツイッターに、フィリピン・マニラ市の慰安婦像撤去に関連して、以下の内容を掲載した。

「慰安婦像撤去。昨年建てられたマニラの慰安婦像が重機で撤去された。サンフランシスコ市の慰安婦像も重機で撤去してもらいたい日本の外務省には国民の税で莫大な予算がついているんだから同盟国アメリカの一自治体に設置された慰安婦像の撤去に努めて欲しい。」

 上記の内容にはご丁寧な事に、像を掘った後に残った荒々しい大きな穴を写した写真まで添付していた。ここには彼の人間性価値観がまざまざと表れていると言って良いと思う。ちなみにサンフランシスコ市の件については、大阪市議会は、維新の会が提案した「姉妹都市提携の解消を求める決議案」を2度にわたって否決した。しかし、吉村氏はこれらの声(その背景にある市民の声)を無視(民主主義を無視否定した独善的姿勢)し、像建設完了直後(2017年12月12日)に亡くなったリー市長の後任が今年の6月に決まった時点で、姉妹都市関係の解消を申し入れる事を、昨年12月に決定している事を付け加えておく。この点においても吉村氏は自らいかに偏向偏執した価値観の持ち主であり人権尊重の意識を持ち合わせていない人物である事を明かしている。

 2018年4月12日には吉村氏は、サンフランシスコ市の高校生らが姉妹都市関係の継続を願って投稿した「ユーチューブ」のメッセージに対しても、彼の価値観こそが正当であるとする姿勢を変えず「思いは分かったが、SF市が慰安婦像を設置する事の背景をよく考えてもらいたい」とSF市に責任転嫁する始末であり、世界の人々に対して改めて彼の偏向した独善的な価値観を表明し、恥の上塗りをしている。この事は吉村氏を市長に選んだ主権者大阪市民の価値観に問題が存在している事を映し出しているものでもある。

 このような人権尊重の意識を持ち合わせない価値観は維新の会に所属する人々はもちろんの事、支持する人たちにも共通してみられる特徴であると言って良い。松井大阪府知事も含めて(橋下徹氏ももちろんであるが)日本維新の会は金儲け第一主義拝金主義偏向偏執した価値観に基づいて物事を判断しているのである。

 その価値観は、「カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法」や一部の専門職を労働時間規制から完全に外す「高度プロフェッショナル制度」に対して安倍自公政権と結託し修正協議をして成立させようとする姿勢にも表れている。そこには、IRでの金儲けに大きな関心を有していても、ギャンブル依存症や国民意識に与える影響について真剣に責任を負う誠意は見られない。また、高プロ適用拒否した場合(同意しなかった場合)、弱い立場にある労働者が企業側から働く権利に対し差別的な処遇(人権侵害)を受け働く権利を奪われるのではないかという不安(同意せざるを得ない立場にある事)を理解しようとしていないし、適用に同意して不幸にも命を失う健康を損ね病気になる)結果を招いた場合、同意した者の自己責任とされる可能性が大であるにもかかわらず、彼らは働く者の人権を保障するという価値観に基づく判断をせず、働く者の側の価値観を尊重していない。それは維新の会の価値観が、働く者や主権者国民の価値観と異なるものであるからだ。金儲けにおける安倍自公政権との取引に過ぎないのである。

 2018年4月12日には、吉村氏は、市立の小中学校と高校の教員の大卒の初任給を2019年度採用分から引き上げ、全国で最高額にする事をめざすと発表したが、この判断の背景となっているのも同様の価値観である。札束を餌にちらつかせて人材を招きたいという事であるが、この価値観自体が教育界のあるべき常識から外れているというべきであるし、これまで採用してきた教員との間に軋轢を招き分断を引き起こそうとするものである。また、札束に心動かされる教師にろくな教師はいないだろうし、高額目当ての教師はそもそも教師になる資格はないであろう。吉村氏(彼だけでなく松井氏や維新の会)にとっての「優秀な教師」とは彼らにとっては都合が良いが、人権尊重の意識を有さない偏向した人格の持ち主である事を思わせる。

 それは例えば、大阪府教育庁が2018年4月17日に情報公開条例に基づいて明らかにした、学校法人・森友学園の小学校設置認可の申請書類(2014年10月提出)からも明らかである。申請書の「教育内容」には、「皇室・神ながらの道に沿った教育勅語」などを尊重したカリキュラムを標榜しており、「教育理念」を示す図には「日本人としての誇り・貢献」「五箇条の御誓文」「教育勅語」「歴史と伝統に基づいた教育」などの記載がある。総合的な学習の内容は「日本国論」「修身」「国史」「礼法」などを説明。国語と社会では「国家観の醸成」に向け「日本人としての確固たる背骨」を心に刻み、古事記と日本書紀を「しっかりと伝えていきたい」としている。つまり、神聖天皇主権大日本帝国下の教育内容である教育勅語の精神信奉する教員たちにより、生徒たちに教育勅語の精神を植え付ける事(教化)を目的とした学校だったのである。

 このような内容であるにもかかわらず、大阪府は「学習指導要領に沿って指導するという申請があり、そのような範囲内であれば問題はない」という意味不明の屁理屈をつけて受理していたのである。さらには、認可の審議会(2016年12月22日)で出席委員が「安倍首相の奥様が名誉校長になられたという(週刊誌の)記事について、その経緯の裏づけとかどういうバックでなったのか、府は把握しているのか」と指摘したが、事務局は「正式になったという報告はない」と無責任にも故意に虚偽の答弁をしていたのである。これは主権者大阪府民を欺瞞(権利の蹂躙)し大阪府政を私物化した行為であったのだ。

 また、松井氏や吉村氏など維新の会がいかに大阪府市の行政を私物化し、偏向した価値観に基づいて実施しているかについては、府教育庁や市教育委員会が教員に対して思想信条の自由を認めない憲法違反の条例を制定し、卒業式で国歌斉唱を強制し、起立しなかった教員を処分している事にも表れている。さらに、処分についての会議の議事録やメモを公文書として作成すると指針に定めていながら残していない事実が存在(実態は市人事監察委員会の部会、日時や出席者、議題を簡単に記した「会議要旨」だけしか作っていなかったため、情報公開請求に対し市は「存在しない」と非公開を決定していた)した事が明らかになっている。このような事では、そもそも処分自体不当であるが、処分決定の議論が説明責任を誠実に果たせるように行われていると考える事はできず、端に維新の会にとって価値観の異なる御しにくい存在とみなし、処分する事によって従わせようとする(又は辞めるようにする)とともに、他の教員に対する見懲らしにしているとしか考えられない。処分した教員には希望を認めず、定年退職後の再雇用はしないという姿勢で執拗である事にも表れている。

(2018年5月24日投稿)