昭和の全日本プロレス

全日の旗揚げからG馬場三回忌追悼興行までの記録です。当ブログの記事や画像を、ブログ等にそのまま転載する行為は禁止します。

'75オープン選手権大会・開催まで①

2011年09月10日 20時00分56秒 | '75全日本プロレス
9月29日午後3時から全日本プロレスは東京・銀座の東急ホテルで記者会見を行い、ジャイアント馬場代表が「全日本プロレス・オープン選手権大会」の開催についての声明文を読み上げ、日本の他団体にも参戦を呼び掛けた。

「全日本プロレス・オープン選手権大会開催に際して」 
 新しい希望に燃えて一致団結、我々が全日本プロレスを創設してからすでに満三年になりました。
 思い起こせば創設にあたっては我が国のプロレスの開祖である故力道山先生のご遺族から全面的協力をいただき先生ゆかりのチャンピオン・ベルトの寄贈を受けてPWFヘビー級選手権を設立、さらにその後世界最大のプロレス統轄組織NWAへの加盟、旧日本プロレス選手団との合流、世界最高峰NWA世界ヘビー級選手権の獲得など、発展の一途をたどりましたことは、ひとえに皆々様から寄せられました御支援、御指導、御鞭撻の賜物であると厚く感謝する次第です。
 激動する世の中、プロレス事業もまた多事多難ではありますが、我々は、力道山先生の遺志を体しつつ日本プロレス界のリーダーとして自覚を固め、その責任の大きさを痛感して一層の努力を誓っております。
 時あたかもNWA本部では、アメリカ合衆国建国二百年を迎えるにあたり組織の権威発揚のため、各メンバー占有地域において記念事業を企画開催することが決定いたしました。
 また本年十二月十五日は恩師力道山先生の十三回忌にあたるに鑑み、その正当なる後継者として私ジャイアント馬場は、本年こそ世界プロレス史を飾る最大の記念行事を開催するに、まさに有意義な年であると判断致しました。
 この千載一遇の好機をとらえ、私のプロレス生涯における最初にして最大の行事「全日本プロレス・オープン選手権大会」はNWA本部主催、管轄のもと、PWF並びに全日本プロレスが主管、実施するものとし、外へはNWA有力メンバーの協力を得て各地域を代表する強力レスラーの派遣を要請し、内には、オープン選手権大会の主旨を尊重しNWAの認可を得て、その傘下団体のみならず、広く門戸を開放し、各団体から代表主力参加選手の参加を求め広く対戦する機会を提供するものであります。
 申すまでもなく、このオープン選手権大会は、選び抜かれた者が正々堂々と持てる技倆で覇を競う場であります。追って私は各方面関係者にご協力を願い、本大会開催準備委員会を発足させ、大会の年内実現に向かって邁進する覚悟であります。
 ファン各位、関係各方面の御協力、御支援を重ねてお願いする次第であります。
昭和五十年九月二十九日
全日本プロレスリング株式会社  ジャイアント馬場

ジャイアント馬場のコメント
「この企画は私の最初にして最後の大行事。皆さんの協力なしでは実現できない話だから、各界からのバックアップをお願いしているわけです。新日本プロレス、国際プロレスに対しては、この発表によって参加を呼び掛けたものと受け取ってください。」
アントニオ猪木・新日本プロレス社長のコメント
「プランニングとしては賛成だ。筋としては私が前から言っていた事で異論はない。しかしこの発表の限りでは具体的なものが何もないので、今のところ趣旨には賛同としか言いようがない。具体的な話があれば、参加するという方向で検討してもいい。」
吉原功・国際プロレス社長のコメント
「思い切ったプランニングで、趣旨は大変結構な事だと思う。ウチはこうしたプランには以前から進めてきた話だし、反対する理由は何一つない。ただ具体的なものがないのだから、ウチの選手が参加するかどうかは即答できない。」

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10月3日全日本プロレスは六本木の事務所で記者会見を行い、オープン選手権大会開催準備委員を発表。あわせて準備委員会の事務局を全日本プロレス事務所に置く事も発表された。

オープン選手権大会開催準備委員
長谷川淳三(NWA委員)
八田一朗(日本アマレス協会会長)
高橋典義(東京スポーツ新聞社事業局長)
田鶴浜弘(プロレス評論家)
百田義浩(百田家ならびに全日本プロレス代表)
オープン選手権大会開催準備事務局長
米沢良蔵(全日本プロレス渉外部長)

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10月12日ヒロ・マツダの参加が決定。
又、NWA本部は準備委員会へ「NWA世界ヘビー級チャンピオンのジャック・ブリスコ、元チャンピオンのドリー・ファンク・ジュニア、ハーリー・レイスの3人のうち1人以上を派遣する」と通達。

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10月13日新日本プロレスのアントニオ猪木は「直接の参加要請が無い事と全日本のシリーズに自分の会社のスケジュールを犠牲にしてまで出るつもりはない。」という事で、オープン選手権大会への不参加を表明。

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10月17日オープン選手権大会開催準備委員会事務局は、大会参加資格を発表。
オープン選手権大会参加資格
①日本人選手
各団体の主力代表選手
②国外在住選手
(A)当該選手が契約中のプロモーター、またはNWA本部の推薦を必要とする。
(B)当該選手が契約中のテリトリー及び、その他のテリトリーにおいて最近1ヵ月以上にわたって現役活動を続けている事。
(C)最近1年間のうちにNWAが認める各テリトリー認定チャンピオンベルトを保持した者、及びそれに準じるもの。
以上、各項の条件を満たす選手で、参加希望のある者はNWA本部(アマリロ・オフィス代行)で参加申し込みを受け付けNWA、PWF、大会開催準備委員会で審査の上決定する。

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10月18日国際プロレスの吉原功代表は、長谷川淳三開催準備委員会委員長、ジャイアント馬場と会い参加の内意を伝えた。

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10月30日国際プロレスの吉原代表、ラッシャー木村、マイティ井上は、蔵前国技館のリング上からオープン選手権大会への参加を表明。

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11月4日午後2時から東京・銀座の東急ホテルでオープン選手権大会開催準備委員会事務局が記者会見を行い、大会日程(12月6日東京・足立区体育館~18日川崎市体育館まで全12戦)と参加外人選手が発表された。
参加外人選手
NWA本部・ハーマン・ガスト(テキサス州アマリロ)推薦
ドリー・ファンク・ジュニア
NWA本部・ボブ・ガイゲル(カンサス州)推薦
ハーリー・レイス
ジム・バーネットNWA第一副会長推薦
アブドーラ・ザ・ブッチャー
ジン・キニスキー(カナダ・バンクーバ)・ドン・オーエン(オレゴン州)推薦
ドン・レオ・ジョナサン
ジャック・アドキッセンNWA会長推薦
ディック・マードック
エディ・グラハム(フロリダ州)、バーン・ガニア(ミネソタ州)推薦
ダスティ・ローデス
ボブ・ルース(イリノイ州シカゴ)、グストフ・カイザー(西ドイツ)推薦
ホースト・ホフマン
ディック・ザ・ブルーザー(インジアナ州)、ブルーノ・サンマルチノ(ニューヨーク)推薦
バロン・フォン・ラシク
サム・マソニックNWA顧問推薦
パット・オコーナー
ジム・クロケット・ジュニア(ノースカロライナ州)推薦
ミスター・レスリング
リー・フィールズ(アラバマ州)推薦
ケン・マンテル
NWA本部・レロイ・マクガーク(オクラホマ州)推薦
ヒロ・マツダ
以上12選手

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11月5日東京・銀座の東急ホテルでオープン選手権大会開催準備委員会事務局が記者会見を行い、G馬場、J鶴田、ザ・デストロイヤー、R木村、M井上、G草津が出席し、開催準備委員会から日本側選手が発表された。
全日本プロレス
ジャイアント馬場、ジャンボ鶴田、ザ・デストロイヤー、アントン・ヘーシンク
国際プロレス
ラッシャー木村、グレート草津、マイティ井上
大韓プロレス
大木金太郎
以上8選手

日本テレビの倉持アナウンサーが代表して、会見に出席した6選手に戦いたい相手などコメントを求めた。
井上「外人レスラーではドリー、全日プロでは馬場さんと鶴田君と戦いたい。」
草津「NWA系の選手。特にドリー、レイスと手合わせしたいね。」
木村「鶴田、ブッチャーともやりたいが、自分の力を試す意味で馬場さんとやりたい。」
馬場「だれとあたったっていいよ。勝つとか優勝するとか大きな事は言えない。それだけ強いメンバーが揃っているからね。」
鶴田「ジュニアに勝って恩返ししたいし、この前ブッチャーに負けたのでケリをつけたい。それに木村さん、井上さんともやってみたいですね。」
デストロイヤー「(国際の選手に向かって)彼らが私と戦いたいと申し入れないのは、勝てる自信が無いからだ。彼らだけでなくても、私の4の字固めを破るレスラーがいれば100万円を進呈しよう。」
デストロイヤーの発言を受け草津が「俺に4の字固めをかける事ができたら、倍の200万円払ってやる。」と言い返した為、デストロイヤー対草津戦が実現すれば賞金マッチとなる事になった。

また長谷川淳三開催準備委員会委員長より、「これだけ大規模な大会はワールド戦にふさわしい」として、日本プロレスが持っていたワールド・大リーグ戦の大トロフィーがオープン選手権大会優勝者に贈られる事となった。

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