こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。
北寄りの風のせいか、昨日より随分涼しくなりました。相変わらず湿度は高いので少しムッとしますが、昨日に比べれば極楽です。昨日の夕方には雷が轟きました。梅雨明けも間もなくです。
さて、今回は2011年ジュニア数学オリンピック予選に出題された図形問題を取り上げます。
問題は、
「三角形ABCの内心を I、外心をOとする。AB=2、AC=3、∠AIO=90°が成立しているとき、三角形ABCの面積を求めよ。ただし、XYで線分XYの長さを表すものとする。」
です。
まず図1のように、問題の図を描きましょう。
▲図1.問題の図を描きました
この問題のポイントは、∠AIO=90°という条件の使途です。
90°で思い起こすのは、三平方の定理や半円に対する円周角などですが、ここでは図2のように、直線AIを延長して二等辺三角形を作り、その頂点から底辺に下ろした垂線の足が底辺を2等分することに利用してみましょう。
▲図2.直線AIを延長して二等辺三角形OADを作りました
図2で、直線AIと円Oの交点でAでないほうをDとすると、△OADは二等辺三角形になる(OA=OD)ので、I は線分ADの中点になります。
続いて図3のように、DとBおよびCを直線で結びます。
▲図3.DとBおよびCを直線で結びました
このとき、I は△ABCの内心なので、∠BAI=∠CAI、つまり、∠BAD=∠CADです。
したがって、弧BD=弧CD、つまり、BD=CDです。
さらに図4のように、Bと I を直線で結びます。
▲図4.BとIを直線で結びました
ここで、△DBIが二等辺三角形であることを示せば、AI=DI=DB=DCになります。
そこで、∠DBIと∠DIBが等しいことを示しましょう。
まず、
∠DBI=∠DBC+∠CBI
です。
∠DBCについては、弧CDに対する円周角は等しいので、
∠DBC=∠DAC=1/2∠A
です。
また、I は△ABCの内心なので、
∠CBI=1/2∠B
です。
したがって、
∠DBI=1/2∠A+1/2∠B
です。
次に、∠DIBは、△ABIの一つの外角なので、
∠DIB=∠IAB+∠IBA
=1/2∠A+1/2∠B
です。
以上から、∠DBI=∠DIBで、△DBIは二等辺三角形です。
したがって、AI=DI=DB=DCです。
ここまでで、円Oに内接する四角形ABDCの辺と対角線の情報がたくさん判りました。それらをまとめると、
AB=2
BD=a
DC=a
CA=3
AD=2a
BC=?
です。(AI=DI=DB=DC=aとしました)
そこで、トレミーの定理を利用しましょう。
円Oに内接する四角形ABDCにトレミーの定理を適用すると、
AB・DC+BD・CA=AD・BC
で、これに上記の値を代入すると、
2a+3a=2a・BD
BD=5/2
です。
これで△ABCの3辺の長さが判りました。
あとは面積を計算するだけです。
いろいろな方法がありますが、例えば図5のように、Aから辺BCに垂線を下ろし、その足をHとして、直角三角形ABHとACHに三平方の定理を適用すれば、高さAHを計算することができます。
▲図5.Aから辺BCに垂線を下ろし、その足をHとします
実際に計算してみましょう。
直角三角形ABHに三平方の定理を適用して、
AB^2=AH^2+BH^2
4=h^2+x^2 (1)
です。
直角三角形ACHに三平方の定理を適用して、
AC^2=AH^2+CH^2
9=h^2+(5/2-x)^2 (2)
です。
(2)を展開、整理して、
9=h^2+25/4-5x+x^2
5x=h^2+x^2+25/4-9
とし、これに(1)を代入して、
5x=4+25/4-9
=5/4
x=1/4
です。
これを(1)に代入して、
h^2=4-1/16
=63/16
で、h>0から
h=3√7/4
です。
したがって、△ABCの面積Sは、
S=BC・h・1/2
=5/2・3√7/4・1/2
=15√7/16
で、これが答えです。
他にもいろいろな解き方があると思うので、興味のある人は調べてみてください。
北寄りの風のせいか、昨日より随分涼しくなりました。相変わらず湿度は高いので少しムッとしますが、昨日に比べれば極楽です。昨日の夕方には雷が轟きました。梅雨明けも間もなくです。
さて、今回は2011年ジュニア数学オリンピック予選に出題された図形問題を取り上げます。
問題は、
「三角形ABCの内心を I、外心をOとする。AB=2、AC=3、∠AIO=90°が成立しているとき、三角形ABCの面積を求めよ。ただし、XYで線分XYの長さを表すものとする。」
です。
まず図1のように、問題の図を描きましょう。
▲図1.問題の図を描きました
この問題のポイントは、∠AIO=90°という条件の使途です。
90°で思い起こすのは、三平方の定理や半円に対する円周角などですが、ここでは図2のように、直線AIを延長して二等辺三角形を作り、その頂点から底辺に下ろした垂線の足が底辺を2等分することに利用してみましょう。
▲図2.直線AIを延長して二等辺三角形OADを作りました
図2で、直線AIと円Oの交点でAでないほうをDとすると、△OADは二等辺三角形になる(OA=OD)ので、I は線分ADの中点になります。
続いて図3のように、DとBおよびCを直線で結びます。
▲図3.DとBおよびCを直線で結びました
このとき、I は△ABCの内心なので、∠BAI=∠CAI、つまり、∠BAD=∠CADです。
したがって、弧BD=弧CD、つまり、BD=CDです。
さらに図4のように、Bと I を直線で結びます。
▲図4.BとIを直線で結びました
ここで、△DBIが二等辺三角形であることを示せば、AI=DI=DB=DCになります。
そこで、∠DBIと∠DIBが等しいことを示しましょう。
まず、
∠DBI=∠DBC+∠CBI
です。
∠DBCについては、弧CDに対する円周角は等しいので、
∠DBC=∠DAC=1/2∠A
です。
また、I は△ABCの内心なので、
∠CBI=1/2∠B
です。
したがって、
∠DBI=1/2∠A+1/2∠B
です。
次に、∠DIBは、△ABIの一つの外角なので、
∠DIB=∠IAB+∠IBA
=1/2∠A+1/2∠B
です。
以上から、∠DBI=∠DIBで、△DBIは二等辺三角形です。
したがって、AI=DI=DB=DCです。
ここまでで、円Oに内接する四角形ABDCの辺と対角線の情報がたくさん判りました。それらをまとめると、
AB=2
BD=a
DC=a
CA=3
AD=2a
BC=?
です。(AI=DI=DB=DC=aとしました)
そこで、トレミーの定理を利用しましょう。
円Oに内接する四角形ABDCにトレミーの定理を適用すると、
AB・DC+BD・CA=AD・BC
で、これに上記の値を代入すると、
2a+3a=2a・BD
BD=5/2
です。
これで△ABCの3辺の長さが判りました。
あとは面積を計算するだけです。
いろいろな方法がありますが、例えば図5のように、Aから辺BCに垂線を下ろし、その足をHとして、直角三角形ABHとACHに三平方の定理を適用すれば、高さAHを計算することができます。
▲図5.Aから辺BCに垂線を下ろし、その足をHとします
実際に計算してみましょう。
直角三角形ABHに三平方の定理を適用して、
AB^2=AH^2+BH^2
4=h^2+x^2 (1)
です。
直角三角形ACHに三平方の定理を適用して、
AC^2=AH^2+CH^2
9=h^2+(5/2-x)^2 (2)
です。
(2)を展開、整理して、
9=h^2+25/4-5x+x^2
5x=h^2+x^2+25/4-9
とし、これに(1)を代入して、
5x=4+25/4-9
=5/4
x=1/4
です。
これを(1)に代入して、
h^2=4-1/16
=63/16
で、h>0から
h=3√7/4
です。
したがって、△ABCの面積Sは、
S=BC・h・1/2
=5/2・3√7/4・1/2
=15√7/16
で、これが答えです。
他にもいろいろな解き方があると思うので、興味のある人は調べてみてください。
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