こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。
今回は、2021年日本数学オリンピック予選の問題です。
問題は、
「三角形ABCの辺BC上に点P、Qがあり、三角形ACPの垂心と三角形ABQの垂心は一致している。AB=10、AC=11、BP=5、CQ=6のとき、辺BCの長さを求めよ。
ただし、XYで線分XYの長さを表すものとする。」
です。
△ABCは、AB=10、AC=11、BC≧CQ=6なので、∠B,∠C<90°になり、このとき、Aから辺BCに下した垂線の足をDとすると、辺BC上のP、Q、Dの位置関係は、図1ー1のように、
B-P-Q-D-C
B-P-D-Q-C
B-D-P-Q-C
と並ぶ場合と、図1-2のように、
B-Q-P-D-C
B-Q-D-P-C
B-D-Q-P-C
と並ぶ場合があります。(図では、△ACP、△ABQの垂心をそれぞれHCとHBで表しました)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/f3/2928b67279181d0ae0e633a0119ede8b.jpg)
▲図1-1.PがQよりB側にある場合のB、P、Q、D、Cの考えられる位置関係
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/db/570959a4abda9ca0a66c59f0ba4b8d58.jpg)
▲図1-2.QがPよりB側にある場合のB、Q、P、D、Cの考えられる位置関係
これらの図1-1、2の両端の場合、2つの三角形の組合せが鋭角三角形と鈍角三角形になり、それぞれの垂心が三角形の内部と外部に存在することになります。
ここでは、△ACPの垂心HCと△ABQの垂心HBは、辺BCの上側と下側に分かれ、2つの垂心が一致することはありません。
これに対して、2つの図の中央の場合、2つの三角形の組合せが鋭角三角形同士または鈍角三角形同士になり、それぞれの垂心が三角形の内部と外部に存在することになります。
ここでは、HBとHCは、辺BCの上側または下側のどちらかになり、2つの垂心が一致する可能性があります。
つまり、図1ー1の中央のようにB-P-D-Q-Cと並んだ場合と、図1-2の中央のようにB-Q-D-P-Cと並んだ場合の2つの場合を調べる必要があることになるのですが、実は、これらの2つの場合の辺BCの長さは同じになります。
そこで、ここでは図1-1の中央のようにB-P-D-Q-Cと並んだ場合を調べていきます。(B-Q-D-P-Cの場合も以下の方法で解けます)
初めに図2のように、問題の図を描きました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/ce/5aa3b15274b2483ed970adbccbc34e2f.jpg)
▲図2.問題の図を描きました
ここで図3のように、Aから下した垂線の足をD、△ACPと△ABQの垂心をH、PHとACの交点をE、QHとABの交点をFとします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/b2/c957d0079b63ec5e66db04680c0e2715.jpg)
▲図3.D、H、E、F定めました
すると図4に示すように、∠ADB=∠QDH、∠BAD=90°-∠B=∠BQF=∠HQDから、△ABD∽△QHDです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/94/f841b957c4f1346b680578d866d44677.jpg)
▲図4.△ABD∽△QHDです
したがって、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/59/dc496c59b8a52bb455455b58abdbbf8e.jpg)
が成り立ちます。
一方、図5に示すように、∠ADC=∠PDH、∠CAD=90°-∠C=∠CPE=∠HPDから、△ACD∽△PHDです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/31/aabbf514ad8bcbd6fb2744018adb3f8c.jpg)
▲図5.△ACD∽△PHDです
したがって、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/41/90bf458eb1529dc0ae3bb4178d7687e2.jpg)
が成り立ちます。
すると(1)と(2)から
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/63/97b73431c6904815e00e017ac98560aa.jpg)
になります。
このとき、直角三角形ABDに三平方の定理を適用すると、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/98/decb81d0bfbe707d6e6a2d769884f758.jpg)
が成り立ち、これに、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/1c/faaeb08bf1f528828ec79518aa01a92e.jpg)
を代入し整理して、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/b1/8fd1ab4a3e247943ff46099325798502.jpg)
を得ます。
さらに、直角三角形ACDに三平方の定理を適用すると、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/7b/f5b072ea3fed4e8dc7e27c915db9fcba.jpg)
が成り立ち、これに、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/9b/a6ddb5efc7cace81cdb8e0e26f2d6cd8.jpg)
を代入し整理して、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/b8/9ab448d629e5cc6619895ecf4659b068.jpg)
を得ます。
ここで、(4)-(3)から
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/cc/f4988a40df748c47d0de6f3e787bec3e.jpg)
になり、したがって、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/d3/99194271039f0c668f6b95c1df350dc4.jpg)
で、これが答えです。
簡単な問題です。
今回は、2021年日本数学オリンピック予選の問題です。
問題は、
「三角形ABCの辺BC上に点P、Qがあり、三角形ACPの垂心と三角形ABQの垂心は一致している。AB=10、AC=11、BP=5、CQ=6のとき、辺BCの長さを求めよ。
ただし、XYで線分XYの長さを表すものとする。」
です。
△ABCは、AB=10、AC=11、BC≧CQ=6なので、∠B,∠C<90°になり、このとき、Aから辺BCに下した垂線の足をDとすると、辺BC上のP、Q、Dの位置関係は、図1ー1のように、
B-P-Q-D-C
B-P-D-Q-C
B-D-P-Q-C
と並ぶ場合と、図1-2のように、
B-Q-P-D-C
B-Q-D-P-C
B-D-Q-P-C
と並ぶ場合があります。(図では、△ACP、△ABQの垂心をそれぞれHCとHBで表しました)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/f3/2928b67279181d0ae0e633a0119ede8b.jpg)
▲図1-1.PがQよりB側にある場合のB、P、Q、D、Cの考えられる位置関係
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/db/570959a4abda9ca0a66c59f0ba4b8d58.jpg)
▲図1-2.QがPよりB側にある場合のB、Q、P、D、Cの考えられる位置関係
これらの図1-1、2の両端の場合、2つの三角形の組合せが鋭角三角形と鈍角三角形になり、それぞれの垂心が三角形の内部と外部に存在することになります。
ここでは、△ACPの垂心HCと△ABQの垂心HBは、辺BCの上側と下側に分かれ、2つの垂心が一致することはありません。
これに対して、2つの図の中央の場合、2つの三角形の組合せが鋭角三角形同士または鈍角三角形同士になり、それぞれの垂心が三角形の内部と外部に存在することになります。
ここでは、HBとHCは、辺BCの上側または下側のどちらかになり、2つの垂心が一致する可能性があります。
つまり、図1ー1の中央のようにB-P-D-Q-Cと並んだ場合と、図1-2の中央のようにB-Q-D-P-Cと並んだ場合の2つの場合を調べる必要があることになるのですが、実は、これらの2つの場合の辺BCの長さは同じになります。
そこで、ここでは図1-1の中央のようにB-P-D-Q-Cと並んだ場合を調べていきます。(B-Q-D-P-Cの場合も以下の方法で解けます)
初めに図2のように、問題の図を描きました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/ce/5aa3b15274b2483ed970adbccbc34e2f.jpg)
▲図2.問題の図を描きました
ここで図3のように、Aから下した垂線の足をD、△ACPと△ABQの垂心をH、PHとACの交点をE、QHとABの交点をFとします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/b2/c957d0079b63ec5e66db04680c0e2715.jpg)
▲図3.D、H、E、F定めました
すると図4に示すように、∠ADB=∠QDH、∠BAD=90°-∠B=∠BQF=∠HQDから、△ABD∽△QHDです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/94/f841b957c4f1346b680578d866d44677.jpg)
▲図4.△ABD∽△QHDです
したがって、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/59/dc496c59b8a52bb455455b58abdbbf8e.jpg)
が成り立ちます。
一方、図5に示すように、∠ADC=∠PDH、∠CAD=90°-∠C=∠CPE=∠HPDから、△ACD∽△PHDです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/31/aabbf514ad8bcbd6fb2744018adb3f8c.jpg)
▲図5.△ACD∽△PHDです
したがって、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/41/90bf458eb1529dc0ae3bb4178d7687e2.jpg)
が成り立ちます。
すると(1)と(2)から
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/63/97b73431c6904815e00e017ac98560aa.jpg)
になります。
このとき、直角三角形ABDに三平方の定理を適用すると、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/98/decb81d0bfbe707d6e6a2d769884f758.jpg)
が成り立ち、これに、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/1c/faaeb08bf1f528828ec79518aa01a92e.jpg)
を代入し整理して、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/b1/8fd1ab4a3e247943ff46099325798502.jpg)
を得ます。
さらに、直角三角形ACDに三平方の定理を適用すると、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/7b/f5b072ea3fed4e8dc7e27c915db9fcba.jpg)
が成り立ち、これに、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/9b/a6ddb5efc7cace81cdb8e0e26f2d6cd8.jpg)
を代入し整理して、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/b8/9ab448d629e5cc6619895ecf4659b068.jpg)
を得ます。
ここで、(4)-(3)から
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/cc/f4988a40df748c47d0de6f3e787bec3e.jpg)
になり、したがって、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/d3/99194271039f0c668f6b95c1df350dc4.jpg)
で、これが答えです。
簡単な問題です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます