東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

中学生でも手が届く京大入試問題(19)

2016-04-07 11:24:57 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

朝から雨が降っていますが、南風のおかげで暖かく、春の雨といった感じです。夜には曇りになって、明日以降は、暖かい好天が続くようです。

さて、今回は平成22年度京大入試問題(前期、文系)です。

問題は、
「点Oを中心とする正十角形において、A、Bを隣接する2つの頂点とする。線分OB上に OP^2=OB・PB を満たす点Pをとるとき、OP=ABが成立することを示せ。」
です。

まず、図を描きましょう。(図1)


▲図1.問題の図を描きました

図1は少し漠然としていて手掛かりが掴み難いので、取りあえず、与えられた条件を調べてみましょう。

そこで、
OP^2=OB・PB

PB=OB-OP
を代入すると、
OP^2=OB(OB-OP)
から
OP^2+OB・OP-OB^2=0                 (1)
と、OPの2次方程式を得ることができました。

ここで、(1)を解いてOPをOBで表し、一方、何らかの方法で、ABをOBで表して、OP=ABを示す方針を採ることもできますが、この解き方はあとで紹介します。

ここでは図2のように、∠Aの2等分線と線分OBとの交点をQとして、点Qが点Pと一致することを示すことにしましょう。


▲図2.∠Aの2等分線と線分OBとの交点をQとしました

図2で、△OAB∽△ABQなので、
AB/OB=QB/AB                      (2)
です。

また、角の二等分線定理により、
AB/AO=QB/OQ                      (3)
が成り立ちます。

ここで、(2)(3)からABを消去すると、
QB・OB=(QB・AO/OQ)^2
になり、さらにAO=OB、QB=OB-OQを代入して整理すると、
1=(OB-OQ)・OB/OQ^2
OQ^2+OB・OQ-OB^2=0                  (4)
を導くことができます。

ここで、(1)(4)を見比べると、OPとOQは、2次方程式
x^2+OB・x-OB^2=0                    (5)
の解であることが判ります。

そこで、(5)を解くと、
x=(-1±√5)・OB/2
で、OP、OQ>0なので、
OP=OQ=(-1+√5)・OB/2
です。

さらに、点Pも点Qも線分OB上にあるので、点Pと点Qは一致します。


一方、△QOAと△ABQはどちらも二等辺三角形なので、
OQ=AQ=AB
で、点Pと点Qは一致するので、
OP=AB
が成り立ちます。

続いて、先ほど述べたABをOBで表す方法を紹介します。

まず、(1)を解くと、
OP=(-1±√5)/2・OB
で、OP>0から
OP=(-1+√5)/2・OB                   (6)
です。

次に、△OABに正弦定理を利用すると、
AB/sin36°=OB/sin72°
が成り立ちます。

ここで、2倍角の公式(sin72°=2sin36°cos36°)を利用して、
AB/sin36°=OB/sin36°cos36°
AB=OB/2cos36°                      (7)
です。

つまり、cos36°の値を求めれば、ABをOBで表すことができます。

そこでcos36°の値を求めるため、まず2倍角の公式から
cos72°=2cos^2(36°)-1
です。

さらに、3倍角の公式から
cos108°=4cos^3(36°)-3cos36°
です。

ところが、cos72°=-cos108°なので、
2cos^2(36°)-1=cos108°=4cos^3(36°)-3cos36°
が成り立ちます。

これを整理して因数分解すると、
(cos36°+1)(4cos^2(36°)-2cos36°-1)=0
cos36°≠1より、cos36°=(1+√5)/4で、これを(7)に代入して、
AB=2OB/(1+√5)
  =(-1+√5)/2・OB                    (8)
になり、(6)(8)から、OP=ABです。


他にもいろいろな解き方がありそうです。興味のある人は調べてみてください。

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