こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。
天気予報によると梅雨前線が北上し奄美大島辺りに停滞するようです。暫くするとさらに北上してくるので梅雨の中休みも終わりです。
昨日の数列の話のなかで挙げたフィボナッチ数列について紹介します。フィボナッチは中世イタリアの数学者の名前で、彼は次のような「兎の問題」を提示しました。
「1つがいの兎は、生まれて2ヶ月後から毎月1つがいの兎を産むものとして、1つがいの兎は1年後に何つがいになるか」
という問題です。
最初の1つがいの兎が生まれた月を1月とすると、1月のつがい数は1、2月も1、3月は2、・・・と増えていきます。翌年の1月までのつがい数を示すと以下のようになります。
1月 1
2月 1
3月 2
4月 3
5月 5
6月 8
7月 13
8月 21
9月 34
10月 55
11月 89
12月 144
1月 233
ここで、つがい数を良く見てみると、ある月のつがい数は前月のつがい数と前々月のつがい数との和になっていることが分かります。これを数式で表すと、ある月のつがい数をF(n+2)、前月のつがい数をF(n+1)、前々月のつがい数をF(n)、とすると、
F(n+2)=F(n+1)+F(n) (1)
となります。
この(1)の漸化式で表される数列をフィボナッチ数列といいます。
このフィボナッチ数列に関連した問題は、「階段昇り問題」などで中学入試でも定番となっています。
次の問題は、2010年 本郷中学の入試問題です。
「階段を1段ずつと2段ずつ混ぜて昇るのぼり方を調べます。例えば3段の階段の場合、のぼり方は、(1段+1段+1段)、(1段+2段)、(2段+1段)の3通りになります。階段が8段のとき、のぼり方は何通りですか」
問題では、8段の階段を昇るのぼり方を問うていますが、n段の階段を昇るのぼり方を考えると漸化式を利用することができます。そこで、n段の階段ののぼり方をF(n)とすると、F(1)=1、F(2)=2 となります。
次に、n≧3のとき、
〈1〉初めの一歩が1段昇りなら、残りの(n-1)段ののぼり方は、F(n-1)通り
〈2〉初めの一歩が2段昇りなら、残りの(n-2)段ののぼり方は、F(n-2)通り
になるので、
F(n)=F(n-1)+F(n-2) (2)
(2)の漸化式を使って順次計算していくと、
F(3)=3
F(4)=5
F(5)=8
F(6)=13
F(7)=21
F(8)=34
となり、答えは34通りということになります。
類題として、2007年の慶応中の問題を示します。
「階段を昇るのに、1度に1段、2段、3段を昇る3種類の昇り方が可能であるとします。例えば、3段の階段を昇るには、次の〈1〉~〈4〉の4通りの昇り方があります。
〈1〉1度に3段昇る
〈2〉初めに1段、次に2段昇る
〈3〉初めに2段、次に1段昇る
〈4〉1段ずつ3度で昇る
問(1)略
問(2)10段の階段の昇り方は何通りか」
先ほどの問題との違いは、のぼり方が3種類あることですが解き方は同じです。
まず、n段の階段ののぼり方をF(n)とすると、F(1)=1、F(2)=2、F(3)=4 となります。
次に、n≧4のとき、
〈1〉初めの一歩が1段昇りなら、残りの(n-1)段ののぼり方は、F(n-1)通り
〈2〉初めの一歩が2段昇りなら、残りの(n-2)段ののぼり方は、F(n-2)通り
〈3〉初めの一歩が3段昇りなら、残りの(n-3)段ののぼり方は、F(n-3)通り
になるので、
F(n)=F(n-1)+F(n-2)+F(n-3) (3)
(3)の漸化式を使って順次計算していくと、
F(4)=7
F(5)=13
F(6)=24
F(7)=44
F(8)=81
F(9)=149
F(10)=274
となり、答えは274通りになります。のぼり方が3種類に増えたので(3)の漸化式の右辺の項が3つになりました。このような漸化式で表される数列を、トリボナッチ数列とも言います。
これらの「階段昇り問題」は中学入試ばかりでなく大学入試にも出題されます。次の問題は、2007年 京都大のものです。
「1歩で1段または2段のいづれかで階段を昇るとき、1歩で2段昇ることは連続しないものとする。15段の階段を昇る昇り方は何通りあるか」
漸化式を作って解くという基本戦略は同じですが、今までの問題と異なる条件、つまり、一歩で2段昇るのを続けてはいけないということをどのように漸化式に取り込むかがポイントになります。
少し長くなってしまったので、解答は後日。
天気予報によると梅雨前線が北上し奄美大島辺りに停滞するようです。暫くするとさらに北上してくるので梅雨の中休みも終わりです。
昨日の数列の話のなかで挙げたフィボナッチ数列について紹介します。フィボナッチは中世イタリアの数学者の名前で、彼は次のような「兎の問題」を提示しました。
「1つがいの兎は、生まれて2ヶ月後から毎月1つがいの兎を産むものとして、1つがいの兎は1年後に何つがいになるか」
という問題です。
最初の1つがいの兎が生まれた月を1月とすると、1月のつがい数は1、2月も1、3月は2、・・・と増えていきます。翌年の1月までのつがい数を示すと以下のようになります。
1月 1
2月 1
3月 2
4月 3
5月 5
6月 8
7月 13
8月 21
9月 34
10月 55
11月 89
12月 144
1月 233
ここで、つがい数を良く見てみると、ある月のつがい数は前月のつがい数と前々月のつがい数との和になっていることが分かります。これを数式で表すと、ある月のつがい数をF(n+2)、前月のつがい数をF(n+1)、前々月のつがい数をF(n)、とすると、
F(n+2)=F(n+1)+F(n) (1)
となります。
この(1)の漸化式で表される数列をフィボナッチ数列といいます。
このフィボナッチ数列に関連した問題は、「階段昇り問題」などで中学入試でも定番となっています。
次の問題は、2010年 本郷中学の入試問題です。
「階段を1段ずつと2段ずつ混ぜて昇るのぼり方を調べます。例えば3段の階段の場合、のぼり方は、(1段+1段+1段)、(1段+2段)、(2段+1段)の3通りになります。階段が8段のとき、のぼり方は何通りですか」
問題では、8段の階段を昇るのぼり方を問うていますが、n段の階段を昇るのぼり方を考えると漸化式を利用することができます。そこで、n段の階段ののぼり方をF(n)とすると、F(1)=1、F(2)=2 となります。
次に、n≧3のとき、
〈1〉初めの一歩が1段昇りなら、残りの(n-1)段ののぼり方は、F(n-1)通り
〈2〉初めの一歩が2段昇りなら、残りの(n-2)段ののぼり方は、F(n-2)通り
になるので、
F(n)=F(n-1)+F(n-2) (2)
(2)の漸化式を使って順次計算していくと、
F(3)=3
F(4)=5
F(5)=8
F(6)=13
F(7)=21
F(8)=34
となり、答えは34通りということになります。
類題として、2007年の慶応中の問題を示します。
「階段を昇るのに、1度に1段、2段、3段を昇る3種類の昇り方が可能であるとします。例えば、3段の階段を昇るには、次の〈1〉~〈4〉の4通りの昇り方があります。
〈1〉1度に3段昇る
〈2〉初めに1段、次に2段昇る
〈3〉初めに2段、次に1段昇る
〈4〉1段ずつ3度で昇る
問(1)略
問(2)10段の階段の昇り方は何通りか」
先ほどの問題との違いは、のぼり方が3種類あることですが解き方は同じです。
まず、n段の階段ののぼり方をF(n)とすると、F(1)=1、F(2)=2、F(3)=4 となります。
次に、n≧4のとき、
〈1〉初めの一歩が1段昇りなら、残りの(n-1)段ののぼり方は、F(n-1)通り
〈2〉初めの一歩が2段昇りなら、残りの(n-2)段ののぼり方は、F(n-2)通り
〈3〉初めの一歩が3段昇りなら、残りの(n-3)段ののぼり方は、F(n-3)通り
になるので、
F(n)=F(n-1)+F(n-2)+F(n-3) (3)
(3)の漸化式を使って順次計算していくと、
F(4)=7
F(5)=13
F(6)=24
F(7)=44
F(8)=81
F(9)=149
F(10)=274
となり、答えは274通りになります。のぼり方が3種類に増えたので(3)の漸化式の右辺の項が3つになりました。このような漸化式で表される数列を、トリボナッチ数列とも言います。
これらの「階段昇り問題」は中学入試ばかりでなく大学入試にも出題されます。次の問題は、2007年 京都大のものです。
「1歩で1段または2段のいづれかで階段を昇るとき、1歩で2段昇ることは連続しないものとする。15段の階段を昇る昇り方は何通りあるか」
漸化式を作って解くという基本戦略は同じですが、今までの問題と異なる条件、つまり、一歩で2段昇るのを続けてはいけないということをどのように漸化式に取り込むかがポイントになります。
少し長くなってしまったので、解答は後日。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます