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東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

図形問題の考え方(Tao教授の手順)

2014-01-23 13:13:50 | 勉強のやり方
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

暖かくなりました。明日、明後日はもっと暖かくなるようです。

数学の図形問題や文章題で解き方が分からず思考が止まってしまう人が多いようです。そこで、今まで何回か紹介した Terence Tao教授が、“solving mathematical problems” のなかで、図形問題の解法手順を、例題を用いて解説しているので、それを紹介したいと思います。

例題は、“ABC is a triangle that is inscribed in a circle.  The angle bisectors of A,B,C meet the circle at D,E,F, respectively. Show that AD is perpendicular to EF.” で、これは、1987年のAustralian Mathematics Competitionで出題されたものです。

訳すと、「三角形ABCは円に内接していて、角A、B、Cの二等分線が円と交わる点を、それぞれD、E、Fとします。そのとき、線分ADと線分EFが直交することを証明しなさい」 ということです。

まず、Tao教授は、「図を描きなさい」 と言っています。そのとき、「名前を付けなさい」 とも言っています。この場合、交点に名前をつけると言うことですが、全ての交点ではなく、重要そうな交点に名前を付けます。

角A、B、Cの角の二等分線は、三角形ABCの内心で交わるので、これは大切そうだということで、それを I とします。また、線分ADと線分EFとが直交することを証明するので、これらの交点は重要です。そこで、それを M とします。出来上がった図を下に示します。


▲例題

次に、Tao教授は、問題を 「∠AMF=90°を示す」 と言い換えます。この時点で、簡単に図が描けたし、結論は図から明白だから、上手く解けそうな問題と感じているようです。そして、直接的アプローチ(いろいろな角を組み合わせて∠AMF=90°を示す方法)で攻略できると考えます。なぜならば、使われることを待っている定理が山ほどあるからです。例えば、三角形の内角の和が180°、円周角、内心、などなど。

そこで、主たる三角形ABCの3つの角を中心に展開する戦略を採ります。つまり、角A=α、角B=β、角C=γ、とします。当然、α+β+γ=180°です。

すると、M を頂点とする角以外、実質的にすべての角がα、β、γを使って表せます。例えば、∠CAD=α/2のように。このとき、それらの角度を図に書き込みなさいとアドバイスしています。

ここで、M を頂点とする角を M と関係のない角を使って表すことを考えます。そこで、△MIFに注目して、
∠IMF=180°-∠MIF-∠IFM=180°-∠AIF-∠CFE
を導きます。Tao教授は、これは、前進だと言っています。なぜならば、∠AIFや∠CFEが M と関係ない角であり、これらは、α、β、γで表すことができそうだからです。実際に、∠AIF=180°-∠AIC=∠IAC+∠ICA=α/2+γ/2で、∠CFE=∠CBE=β/2です。

そして最終的に、
∠IMF=180°-α/2-β/2-γ/2=180°-180°/2=90°
(∠AMF=180°-∠IMF=90°)
で証明終わりです。

Tao教授は、感想として、“This is a lovely way to solve some geometrical questions : by simply working out angles.”(これは図形問題を解く愉快な方法です。角を計算するだけだし)と言っています。

最後に手順をまとめると、
(1)図を描く
(2)適当に名前を付ける
(3)頻繁に使いそうな角の角度を文字で与える
(4)(知っている定理を思い出して)、他の角を(3)で決めた文字で表して図に書き入れる
(5)(知っている定理を思い出して)、文字で表した角度を使って証明したい角を表す
となります。

初めの(1)から(3)はできることです。((3)については適切かわかりませんが)(4)も分かるものもあるかもしれません。(5)は、適切な定理を知っているかで決まるのでできなくても仕方ないです。つまり、(1)から(4)の途中までは、思考停止せず実行する努力をしましょう。そうしているうちに(5)もできるようになりますから。頑張ってください。

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