東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

中学入試問題(4)[筑波大付属駒場中]

2016-01-05 11:57:45 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

毎日晴れの日が続いて空気が乾燥し、東久留米の湿度は40%ちょっとと乾燥しています。特に受験生の皆さんは、手洗い・うがいなど風邪などの予防に心がけましょう。

さて、今回は平成27年度筑波大付属駒場中の入試問題です。

問題は、
「分母と分子がともに整数である真分数(分子が分母より小さい分数)に対し、次のような操作を考えます。

その逆数が、
ア 帯分数で表せるとき、その帯分数の整数部分を消して、真分数にする。
イ 整数のとき、0にする。

 上の操作を1回とかぞえ、操作の結果できた数に対して、この操作を0になるまでくり返し行います。

 たとえば、最初の数が3/10のときは、下のように、操作を2回行うと0になります。

最初の数       3/10
1回目の操作の結果  1/3
2回目の操作の結果   0

次の問いに答えなさい。

(1)最初の数が7/27のとき、操作を何回行うと0になりますか。
(2)7個の数 1/8、2/8、3/8、4/8、5/8、6/8、7/8のうち、0になるまでの操作の回数が最も多いものはどれですか。
(3)ある真分数に操作をくり返し行ったところ、0になるまでに6回かかりました。
   最初の数として考えられるもののうち、分母が最も小さいものを答えなさい。 」
です。

(1)と(2)は、操作を間違えなければ簡単な問題です。

まず(1)ですが、 [逆数にする→帯分数にする→帯分数の整数部を消す]と表すと、
最初の数      7/27
1回目の操作    27/7 → 3と6/7 → 6/7
2回目の操作    7/6  → 1と1/6 → 1/6
3回目の操作    6/1  → 6と0/1 →  0
なので、7/27が0になるまでの操作回数は3回で、これが答えです。

続いて(2)です。

1/8、2/8、4/8 は逆数にすると整数になるので、0になるまでの操作回数は1回です。

残りの3/8、5/8、6/8、7/8について調べていきます。

最初の数      3/8
1回目の操作    8/3  → 2と2/3 → 2/3
2回目の操作    3/2  → 1と1/2 → 1/2
3回目の操作    2/1  → 2と0/1 →  0

最初の数      5/8
1回目の操作    8/5  → 1と3/5 → 3/5
2回目の操作    5/3  → 1と2/3 → 2/3
3回目の操作    3/2  → 1と1/2 → 1/2
4回目の操作    2/1  → 2と0/1 →  0

最初の数      6/8
1回目の操作    8/6  → 1と2/6 → 2/6
2回目の操作    6/2  → 2と0/2 →  0

最初の数      7/8
1回目の操作    8/7  → 1と1/7 → 1/7
2回目の操作    7/1  → 7と0/1 →  0

となり、操作回数が最も多いものは5/8で、これが答えです。

それでは(3)に進みましょう。

問題文のなかの「分母が最も小さいもの」というところから、5回目の操作の結果が1/2、かつ、すべての操作における帯分数の整数部分を1と予想して逆の順に操作を6回くり返してみると、

6回目の操作    2/1  → 2と0/1  →  0
5回目の操作    3/2  → 1と1/2  → 1/2
4回目の操作    5/3  → 1と2/3  → 2/3         
3回目の操作    8/5  → 1と3/5  → 3/5
2回目の操作   13/8  → 1と5/8  → 5/8
1回目の操作   21/13 → 1と8/13 → 8/13
最初の数     13/21
で、最初の数は13/21になりそうです。そして、これは正解なので答えだけ書くならばこれでもよいのですが、ここではもう少し詳しく調べてみましょう。

まず、最初の数をB/Aとして6回操作をくり返すと、

最初の数      B/A  B<A
1回目の操作    A/B  → aとC/B  → C/B  A=aB+C,C<B,a≧1 aは整数 
2回目の操作    B/C  → bとD/C  → D/C  B=bC+D,D<C,b≧1 bは整数
3回目の操作    C/D  → cとE/D  → E/D  C=cD+E,E<D,c≧1 cは整数    
4回目の操作    D/E  → dとF/E  → F/E  D=dE+F,F<E,d≧1 dは整数
5回目の操作    E/F  → eとG/F  → G/F  E=eF+G,G<F,e≧1 eは整数
6回目の操作    F/G  → fとH/G  → H/G  F=fG+H,H<G,f≧2 fは整数
となります。

この6回目の操作の結果0になるので、
H=0
です。

そのとき注意しなければならないことは、6回目の操作に記した
F=fG+H
 =fG
と、5回目の操作に記した
G<F
から、
f≧2
となることです。

それでは、各操作に記した等式を下から順に上の式に代入していくと、
E=efG+G
 =(ef+1)G
D=defG+dG+fG
 =(def+d+f)G
C=cdefG+cdG+cfG+efG+G
 =(cdef+cd+cf+ef+1)G
B=bcdefG+bcdG+bcfG+befG+bG+defG+dG+fG
 =(bcdef+bcd+bcf+bef+b+def+d+f)G
A=abcdefG+abcdG+abcfG+abefG+abG+adefG+adG+afG
  +cdefG+cdG+cfG+efG+G
 =(abcdef+abcd+abcf+abef+ab+adef+ad+af+cdef+cd+cf+ef+1)G
となります。

ここで、Aが最も小さい数になるのは、
a=b=c=d=e=G=1
f=2
のときで、
A=2+1+2+2+1+2+1+2+2+1+2+2+1=21
です。

そのとき
B=2+1+2+2+1+2+1+2=13
となり、最初の数で分母が最も小さいものは、13/21になります。

折角、AとBを求めたので、これを利用して分母が2番目に小さい数を求めてみましょう。

先ほど求めたAとBのGの係数を、それぞれA’、B’とすると、
A’=abcdef+abcd+abcf+abef+ab+adef+ad+af+cdef+cd+cf+ef+1
B’=bcdef+bcd+bcf+bef+b+def+d+f
です。

そこで、a、b、c、d、e、fが、それぞれ1増加したとき、A’がいくつ増加するかを調べます。

まず、aは、A’の13項のうち8項に含まれ、かつ、fと積になっているものは5項なので、aが1増加すると、A’は13増加することになります。

同じように、b、c、d、e、fも計算して、まとめると、
aが1増加→A’は13増加
bが1増加→A’は 8増加
cが1増加→A’は10増加
dが1増加→A’は 9増加
eが1増加→A’は10増加
fが1増加→A’は 8増加
となります。

これから、2番目に分母が小さい数は、
・a=1、b=2、c=1、d=1、e=1、f=2

・a=1、b=1、c=1、d=1、e=1、f=3
の場合で、それぞれの場合の最初の数は、21/29および18/29になります。(実際に操作したら0になるのに6回かかりました)


結構おもしろい問題でした。興味がある人は実際に操作をして調べてみてください。