保健福祉の現場から

感じるままに

がんの標準治療

2017年11月30日 | Weblog
朝日新聞「がん標準治療率、平均72% 13年調査、4ポイント増」(http://www.asahi.com/articles/ASKCW6F5FKCWUBQU029.html?iref=com_apitop)。<以下一部引用>
<国立がん研究センターは29日、全国の病院でがんの標準治療を受けた患者は平均72%だったと発表した。標準治療は、科学的な根拠に基づく現時点で最良とされる治療。2013年にがんと診断された約45万人のうち、胃がんや肺がんなど9項目の治療・検査を調べた。同様の調査結果が初めて公表された12年分と比べて4ポイント増えた。全国のがん診療連携拠点病院など297施設が協力。がんの種類やステージなどを集めたがん登録と、その患者が受けた治療や検査のデータをもとに分析した。拠点病院の参加率は68%(前回55%)だった。最も高かったのは肝臓がんの手術前検査で92・3%。最も低かったのは乳房の切除手術後に再発リスクが高い患者が受ける放射線療法の36・9%。いずれも前回調査の最高と最低と同じだった。国立がん研究センター東病院乳腺・腫瘍(しゅよう)内科の向井博文医長は、放射線療法の実施率の低さについて「施設ごとに病理検査の手法が違い、再発の危険性が高い患者でも放射線療法を不要と考える医師がいるためではないか」と話す。>

国立がん研究センター「がん医療水準の「均てん化」を評価する体制構築に向けがん診療連携拠点病院などでの2013年治療実態を調査」(https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2017/1129/index.html)には目を通しておきたい。ところで、以前、東京新聞「高齢者の抗がん剤治療指針を作成 延命効果を調査 厚労省方針」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201704/CK2017042802000115.html)では「肺がんでは、七十五歳未満で抗がん剤治療による明らかな延命効果が見られたが、七十五歳以上は抗がん剤治療を受けた患者と受けていない患者の生存期間に大きな差はなかった。(中略)胃がん、大腸がん、乳がん、肝がんでも調べたが、統計的に意味のある結果は出なかった。」と出ていた。M3「高齢者のがん治療…本人の意思考慮し選択」(https://www.m3.com/news/general/567154)とあったが、病院側の意向だけで治療を行うべきではないように感じる。「がん対策加速化プラン」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000107743.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000107766.pdf)p11「診療ガイドラインに記載されている標準的治療は、一般的ながん患者に推奨できる治療法を示したものであり、高齢者や他疾患を持つ患者が増えている中、これらの患者に対して実施された場合の有効性・安全性等の検証は十分に実施されていない。」とあったが、「高齢者のがん診療指針」の普及徹底が不可欠と感じる。日本老年医学会「高齢者の定義と区分に関する、日本老年学会・日本老年医学会高齢者に関する定義検討ワーキンググループからの提言」(http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/proposal/pdf/definition_01.pdf)では、「75歳~89歳を高齢者」「90歳以上を超高齢者」と提言されているが、エビデンスがはっきりしない高額薬剤について、公的医療保険のあり方について検討されても良い感じがする。一方で、がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=355813)の「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会開催指針の改正について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000168738.pdf)p10「チーム医療の観点から、看護師、薬剤師等の医療従事者が受講可能となるよう、研修会の内容・体制を検討する。」、p11「専門的緩和ケアへの「つなぎ方」の追加• 意思決定支援(アドバンス・ケア・プランニングを含む)の充実• コミュニケーションスキル(対患者・家族、対医療従事者)に関するプログラムの充実• グリーフケアの追加• 医療用麻薬の使い方に関するプログラムの充実• 緩和的放射線療法の充実• がん以外の疾患に対する緩和ケアの追加」は注目であるが、p13「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会開催指針の改正に関する今後のスケジュール(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000168738.pdf)では、完全施行は平成31年度からである。昨年4月に「緩和ケア推進検討会報告書」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000168747.pdf)が出ていたが、もう少し早められないのであろうか。
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