保健福祉の現場から

感じるままに

産前・産後サポート事業、産後ケア事業の見える化を

2017年11月27日 | Weblog
保健指導リソースガイド「【健やか21】産後うつ予防リーフレット・動画公開(文京学院大学)」(http://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2017/006940.php)が目にとまった。厚労省「産前・産後サポート事業ガイドライン及び産後ケア事業ガイドラインについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11908000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Boshihokenka/sanzensangogaidorain.pdf)に基づく、市区町村別取り組み状況の「見える化」が不可欠と強く感じる。母子保健医療対策総合支援事業(国庫補助率1/2)の平成28年度補助金申請は産前・産後サポート事業182市町村、産後ケア事業で179市町村(保健衛生ニュース平成29年8月14日号)とのことであったが、自分たちの地域における取り組みはどれほど知られているであろうか。里帰り分娩も多く、広域的な調整も必要である。厚労省「妊婦健康診査の公費負担の状況にかかる調査結果について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000176691.html)が出ているが、産前・産後サポート事業、産後ケア事業に関する情報公開が必要と感じる。産前・産後サポート事業、産後ケア事業を本当に推進するのであれば、地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)や「保険者データヘルス全数調査」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/dhcs28/)のような、「見える化」が徹底されるべきかもしれない。「全世代型社会保障」がかけ声だけではいけない。厚労省「産前・産後サポート事業ガイドライン及び産後ケア事業ガイドライン」(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11908000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Boshihokenka/sanzensangogaidorain.pdf)がいくら出されても、自治体で取り組まれなければ全然意味がない。経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の資料「平成30年度予算の全体像に向けて」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/0714/shiryo_03-1.pdf)p2「医療・介護分野のサービス内容や受診行動等の地域差、地方行政サービスの地域差や地方単独事業の費用対効果、大学教育の質や成果などの「見える化」を一層促進し、課題認識の共有や行動の変容につなげる。さらに、先進・優良事例の全国展開の促進を図る。」とあったではないか。なお、「子育て世代包括支援センター業務ガイドライン」(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11908000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Boshihokenka/senta-gaidorain.pdf)に示す「主な業務;①妊産婦及び乳幼児等の実情を把握する、②妊娠・出産・子育てに関する各種の相談に応じ必要な情報提供・助言・保健指導を行う、③保健医療又は福祉の関係機関との連絡調整を行う」は従来から保健センターが行っているものである。平成28年度全国厚生労働関係部局長会議(http://www.mhlw.go.jp/topics/2017/01/tp0117-1.html)の雇用均等・児童家庭局資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2017/01/dl/tp0117-k02-01-01p.pdf)p37「母子保健法を改正し子育て世代包括支援センターを法定化(平成29年4月1日施行)(法律上は「母子健康包括支援センター」)。➢ 実施市町村数:296市区町村(720か所)(平成28年4月1日現在) ➢ おおむね平成32年度末までに全国展開を目指す。」とあったが、「平成32年度末まで」でなく、前倒しできないものであろうか。平成28年度全国児童福祉主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000152990.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000152978.pdf)p83「市区町村における児童等に対する必要な⽀援を⾏う体制の関係整理」にある「⼦育て世代包括⽀援センター(⺟⼦健康包括⽀援センター)」と「子ども家庭総合支援拠点」の一体的展開が不可欠であり、p97「子育て世代包括支援センターの法定化、市区町村子ども家庭総合支援拠点の整備(改正母子保健法第22条及び改正児童福祉法第10条の2)」もタテワリであってはならない。
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ひきこもり支援

2017年11月27日 | Weblog
朝日新聞「ひきこもり10年、警察頼った親恨み「心の内伝えたい」」(http://www.asahi.com/articles/ASKCM3FPDKCMUCLV002.html?iref=com_apitop)。<以下一部引用>
<10年間ひきこもった経験のある編集長を筆頭に、当事者と経験者だけでつくる「ひきこもり新聞」が今月、創刊1周年を迎えた。自分たちと思いがすれ違う親世代や支援者に、心の内を伝えたい。当事者をつなぎたい。そんな気持ちで紙面を作っている。編集長の木村ナオヒロさん(33)は、通算10年間ひきこもった経験がある。ひきこもって9年目。木村さんの一人暮らしの家に、突然警察官2人と保健所の職員2人が現れた。木村さんを心配した両親が連れてきたのだが、事前に何の話もなかった。警察官たちの姿に驚いた木村さんはパニック状態に陥り、その場で両親と怒鳴り合いになった。結局、誰も部屋に入れずに追い返した。「この出来事で親を恨むようになり、関係が悪化しました」  ひきこもる最初のきっかけは、大学受験に失敗したことだった。突然ベッドから起き上がるのがしんどくなった。調子が良ければ起き出すが、横になったまま天井を見て過ごす日も多かった。病院に行く気は起こらず、通販サイトのアマゾンで評価の高い心理学の本を買っては読みあさったり、サプリメントを50種類ほど試したりしたが改善しなかった。不調の理由が分からず、苦しかった。そういう状態でも、「自分がひきこもりだと思っていませんでした」と振り返る。9年目に警察官が来たときも、まだ自分をひきこもりだとは思っていなかった。「テレビに映っている、散らかった部屋でゲームをしているイメージと自分はほど遠く、絶対違うと思っていた」 自分とひきこもりを重ね合わせたのは、2年ほど前。精神科医の斎藤環(たまき)さんのカウンセリングを受けるようになってからだ。斎藤さんのひきこもりについての著書も読み、登場する当事者の状況や気持ちが自分と似ていると気づき、自覚したという。同じころ、自立や就労のためと称して支援団体が当事者の部屋に押し入り、意に反して寮などに連れ去る様子がテレビで肯定的に特集されているのを見た。自分の体験を思い出した。「当事者から親、支援者に現状や心の内を発信しなければ」 そんな思いに駆られた。斎藤さんのすすめで当事者の集まりにも出るようになっていた。集いで「発信したい気持ち」を話し、共感してくれた仲間とともに昨年11月、「ひきこもり新聞」を創刊。紙媒体の新聞を選んだのは、ネットが苦手な親世代にも届くと考えたからだ。新聞は隔月刊で毎号、「当事者発」の記事が紙面を埋める。>
 
生活困窮者自立支援及び生活保護部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=443308)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000164399.pdf)p14「内閣府関係調査;広義のひきこもり状態にある者54.1万人、狭義のひきこもり状態にある者17.6万人」「厚生労働省関係調査;ひきこもり状態にある世帯数約26万世帯」とあった。将来を見据えて、ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000006i6f.html)に基づく対応を推進する必要があるように感じる。自立支援業者に関する情報共有ネット」(http://bit.ly/johokyoyunet)を通じた情報公開も期待される。以前、キャリアブレイン「非正規雇用で生活保護20兆円-シンクタンク試算」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15814.html)も出ていた。第二次ベビーブーム世代の高齢化も意識したいところかもしれない。そういえば、NHK「ひきこもりの高年齢化 深刻な実態を報告」(http://www.nsoku.net/archives/12440)が報道されていた。
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地域医療構想の推進

2017年11月27日 | Weblog
メディウォッチ「7対1・10対1基本料を再編・統合し、新たな入院基本料を創設へ―中医協総会(1)」(http://www.medwatch.jp/?p=17094)。<以下引用>
<現行の7対1・10対1一般病棟入院基本料を大幅に組み替え、「看護配置などに応じた基本部分」と「診療実績に応じた段階的な評価」を組み合わせた報酬体系に組み替えてはどうか。また現在の7対1と10対1の「中間的な水準」の評価を設け、7対1から10対1への円滑な移行を支援してはどうか―。11月24日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、厚生労働省がこういった提案を行いました。看護配置などに基づく「基本部分」と、診療実績に応じた「段階的評価」を組み合わせ 高齢化に伴って疾病構造が変化し、今後「多くの医療資源投入が必要」な医療ニーズは減少し、「中程度の医療資源投入が必要」な医療ニーズが増加してくと考えられます。「医療ニーズに基づいて看護職員を配置し、これを診療報酬で評価する」という、現行の入院基本料の考え方に照らすと、もっぱら「前者は7対1、後者は10対1」と考えられ、つまり7対1ニーズが減少し、10対1ニーズが増加していくと考えることができそうです。翻って入院基本料の点数を見ると、7対1は1591点、10対1は1387点(看護必要度加算を含む)と設定されており、1日につき204点の差があります。これは、200床の病院で、稼働率が100%とした場合、年間で1億5000万円近い収益の格差が生まれることを意味し、病院経営という観点でみれば「ニーズが減少していくからといって、簡単に7対1から10対1への移行はできない」という考えにつながってきます。さらに、現在、7対1病院には「重症患者(一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者)割合25%以上」などの施設基準が設けられ、この基準をクリアできなければ7対1を届け出ることはできません。一方、10対1では「病棟ごとの重症患者割合に応じた加算」(看護必要度加算)が設定されており、7対1と10対1で「重症患者割合」の活用方法が大きく異なっています。中医協の下部組織である「入院医療等の調査・評価分科会」では、重症度、医療・看護必要度のA・B・C項目の性質などに遡った検討を行い、▼B項目は「入院による管理の必要性・患者の状態の変化を横断的に把握する」手法として優れている ▼看護必要度A・C項目は「変動的な要素」を評価する手法として優れている—との結論を得ました。こうした状況を踏まえ厚労省保険局医療課の迫井正深課長は、「7対1と10対1を組み替え、『看護配置などに応じた評価(基本部分)』と『診療実績に応じた段階的な評価』を組み合わせた、急性期の入院基本料を検討してはどうか」と、極めて大胆な提案を行っています。現時点では、まだイメージにとどまっていますが、次のような仕組みが考えられそうです。▼(1)看護職員配置や平均在院日数などを施設基準とする「急性期の入院基本料の基本部分」を設定する(例えば10対1看護など) ▼(2)重症患者割合などの診療実績に応じた「急性期の入院基本料の段階的評価部分」を設定する これら(1)と(2)を組み合わせた「急性期の入院基本料」を何種類か設定することが考えられ、迫井医療課長は「現在の7対1と10対1の中間的水準の評価を設定する」(7対1から10対1への円滑な移行を可能とするため)、「診療実績が最も高い病院では、現行報酬との整合性を考慮して、7対1看護配置を求める」、「評価の単位は『病院単位』が好ましいのではないか」といった考えも示しています。ここからメディ・ウォッチでは、例えば次のような報酬設定が考えられるのではないかと見通しました(数字や名称などを含め、すべてメディ・ウォッチ編集部の単なる「想像」です)。【急性期入院基本料1】7対1看護配置、平均在院日数18日以内、重症患者割合27%以上:1591点 【急性期入院基本料2】10対1看護配置、平均在院日数18日以内、重症患者割合25%:1489点 【急性期入院基本料3】10対1看護配置、平均在院日数18日以内、重症患者割合20%:1387点 この提案に真っ向から反対する意見は11月24日の中医協総会で示されておらず、今後、「どのような基準を設定するのか」(診療実績として何を指標とするのか)、「何段階の評価を設け、具体的な点数をどうするのか」といった論議が行われます。診療実績では「看護必要度評価票のA・C項目のみを勘案する」、「看護職だけでなく、リハビリ専門職など多職種の配置を勘案する」といった検討も行われるかもしれません。委員からは、さまざまな提案・注文が付いていますが、診療側委員はこぞって「大きな改革であり、(後述する)重症度、医療・看護必要度の見直しなどはせず、現行基準のまま報酬体系を見直すべき」と主張しました。看護必要度の内容や重症患者割合が見直されるだけでも対応に時間がかかり、同時に報酬体系の見直しまで行われては、医療現場は対応できず大混乱になる、と強く訴えています。これに対し、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「最も高い評価(メディ・ウォッチの想像した急性期入院基本料1)では、重症患者割合が30%程度となるように設定すべき」と述べ、診療側委員の主張とは真逆の「重症患者割合の厳格化」を要望しています。この点、診療側委員の主張にも頷けるところがあり、「まず報酬体系の見直しを行って、7対1と10対1の考え方を揃え、その後の病院の動向などを踏まえながら、2020年度以降の診療報酬改定で、重症患者割合など『診療実績に応じた評価』の見直しを段階的に行っていく」ことが病院側の理解を得る近道かもしれません。なお、この報酬体系の大幅見直しは、現在の「看護配置による評価」から「重症患者の受け入れ実績などに基づく評価」への転換にもつながると考えられます。米国では、患者の重症度や医療提供内容によって報酬が決まっており、「看護配置に基づく報酬設定」という概念が理解されません。診療報酬体系の面でも、近く「国際水準」が達成されそうです。C項目の開腹手術、該当日数を「5日間」より短縮してはどうか 前述したように、迫井医療課長は▼看護必要度評価項目の見直し ▼重症患者割合の計算における「診療報酬請求区分」の導入—も提案しています。前者は、2016年度の前回診療報酬改定の効果・影響を検証する中で「B項目の危険行動などに該当する場合、評価日のすべてでA項目1点以上に該当する患者が多い」「救急車やドクターヘリ以外での救急搬送される、状態の不安定な患者も一定程度いる」「開腹手術後の患者の2割近くは、C項目に該当する5日より前に退棟している」という状況が明らかになったことを踏まえたもので、具体的には次のような見直し案が提示されています。▼B項目の「診療・療養上の指示が通じる」「危険行動」に該当し、A項目1点以上の場合には「重症患者に該当する」こととする ▼A項目の救急搬送後入院(2日間)について、「救急医療管理加算(加算1・2の双方)の算定患者」(2日間)へ見直す ▼C項目の開腹手術(5日間)について、所定日数を短縮する これらの見直しには、診療側委員から「(上述の)報酬体系と同時に見直すことは、現場の混乱を招き、認められない」旨の主張が相次いでいます。とくに島弘志委員(日本病院会副会長)からは、「開腹患者もさまざまであり、見直すのであれば疾病別・術式別にC項目該当日数を設定する必要があるのではないか」、猪口雄二委員(全日本病院協会会長)からは「救急医療管理加算を算定していない患者であっても、救急搬送では手間がかかる」といった具体的な指摘がなされています。医療機関の選択で、DPCデータに基づく重症患者割合計算も可能としてはどうか 後者の重症患者割合の計算方法は、現在の「重症度、医療・看護必要度評価票に基づく測定」から、「診療報酬請求区分(DPCではEF統合ファイル)に基づく計算」への見直しを検討してはどうかというテーマです。▼看護必要度の測定をするためには、一定の研修を受けることなどが求められ、評価結果が測定者によって異なる ▼測定は毎日行わなければならず、看護現場からは負担が重いという声が出ている—といった課題の解消をも目指すものです。もちろん、両者は異なる性質のものであり、完全な置き換えはできませんが、入院医療等の調査・評価分科会で一定のロジックに基づいた分析を行ったところ、「バラつきはあるものの、相当程度の重なりがある」ことが判明しました。さらに、厚労省が追加ロジックを踏まえて行った検証では、「重なり」度合いがより大きくなることも分かっています。もっとも急激な置き換えは、現場の混乱を招くため迫井医療課長は「これまでの実績から一定の基準を満たす医療機関が希望する場合については、EF統合ファイルによる判定を用いてもよい」こととしてはどうか(医療機関による選択制)と提案しています。ただし、厚労省の追加ロジックに基づく検証では、EF統合ファイルを用いた場合「重症患者割合が低くなる」ことが分かっています(看護必要度評価票を用いると平均28.8%だが、EF統合ファイルを用いると23.3%となる)。このため、EF統合ファイルによる判定を選択する場合には、現行であれば25%以上の基準値を「低めに設定する」などの補正が行われることになるでしょう。この提案については、看護職の立場で参画している菊池令子専門委員(日本看護協会副会長)から「慎重に検討すべきで、2018年度の次期改定での導入は難しい」との見解が示されました。しかし、診療・支払双方の委員は「乖離がある項目もあり、慎重な検証をすべき」との注文を付けたものの、具体的な反対意見は述べていません。医療機関が選択するものゆえ、2018年度での導入を進めるべきではないでしょうか(医療機関が「否」と判断すれば、現行どおり、看護必要度評価票を用いればよい)。>
 
メディウォッチ「地域包括ケア病棟の評価を2分、救命救急1・3でも看護必要度を測定—中医協総会(2)」(http://www.medwatch.jp/?p=17105)。<以下引用>
<2018年度の次期診療報酬改定においては、地域包括ケア病棟について、より状態が不安定で濃厚な医療提供が求められる自宅などからの患者受け入れを評価するために【救急・在宅等支援病床初期加算】の評価を2分してはどうか。また「救命救急入院料1・3や脳卒中ケアユニット管理料の算定病室でも、看護必要度の『測定』を要件化」してはどうか―。11月24日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こういった点も議題に上がりました。地域包括ケア病棟の【救急・在宅等支援病床初期加算】、自宅等患者で評価を手厚く 地域包括ケア病棟については、中医協総会や下部組織である「入院医療等の調査・評価分科会」において、「自宅などから入棟する患者」(いわゆるsub acute患者)と「急性期病棟から入棟する患者」(いわゆるpost acute患者)とで評価を分けてはどうか、という議論が行われてきました。前者のほうが、医療の必要性が高く、状態が不安定なためです。この点について厚生労働省保険局医療課の迫井正深課長は【救急・在宅等支援病床初期加算】に着目し、前者(自宅などからの患者)と後者(急性期病棟からの患者)とを区別して評価する考えを明示しました。どのような評価とするかは今後の議論を待つ必要がありますが、幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「財政中立としてほしい」と注文を付けています。仮に「自宅などからの患者」の加算を引き上げるのであれば、それによる医療費増分を「急性期病棟からの患者」の加算引き下げで賄うよう求めるものです。ところで、両者を分けて評価する手法としては、例えば「自宅などからの入棟患者割合が高い地域包括ケア病棟で、基本報酬(入院料)を引き上げる」などの手法(病棟単位の評価)も考えられます。この点について迫井医療課長は、「自宅などからの入棟患者を数多く確保できる大都市などでは病棟単位の評価も可能であろうが、地方では難しい。運用の硬直化を避けるためには、初期加算に着目した患者単位の評価(上述)が良いのではないか」とコメントしています。また地域包括ケア病棟については、▼介護保険の「訪問系サービス」の提供も届け出要件の選択肢に加える ▼在宅医療、介護サービス提供など、地域包括ケアシステム構築により貢献できるよう、これらサービスの提供実績を評価する—考えも示されています。前者は、地域包括ケア病棟の届け出要件として、「▽在宅療養支援病院 ▽在宅療養後方支援病院 ▽二次救急医療施設 ▽救急告示病院—のいずれかであること」という選択要件の中に、「通所リハビリなどの訪問系サービスの併設」などを加えてはどうかという提案です。前者、後者ともに「地域包括ケア病棟が、より多様なサービスを提供し、地域包括ケアシステムの中心的な役割を担う」ことを期待するものです。今後の中小規模病院の地域での役割を指し示していると考えることもできそうです。なお、この点に関連して診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)は「200床未満の病院に限って評価すべき」と、同じく今村聡委員(日本医師会副会長)は「地域包括ケア病棟と、地域のかかりつけ医療機関(主に診療所)との連携を必須とすべき」といった注文を付けています。かねてより日医は「大規模急性期病院が地域包括ケア病棟を設置することは好ましくない」と主張し、2016年度の前回診療報酬改定で新設制限が設けられました。2018年度の次期改定でも新設制限がさらに強化される可能性もあり、今後の議論に注意が必要です。救命救急1・3と脳卒中ケアユニット、まず「看護必要度の測定」を求める 高度急性期医療を提供する特定集中治療室(ICU)やハイケアユニット(HCU)などには、より適切な患者の入室が求められます(医師や看護師などの医療資源が限られ、報酬も高額に設定されているため)。このため、各ユニットの特性に応じた「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)の評価票が作成され、この基準に該当する患者(重症患者)が一定割合以上でなければ高額な特定入院料を届け出ることができません(例えばICUでは8割、または7割以上が重症患者でなければならない)。しかし、救命救急入院料の1と3、SCU(脳卒中ケアユニット)では、看護必要度の測定が義務付けられておらず、当然、重症患者割合の施設基準も設定されていません。このためか、SCUなどでは「重症度患者割合が低い」ことが分かっています ただし、救命救急入院料1・3やSCUの7割程度では看護必要度測定が任意で行われており、迫井医療課長は、この状況を踏まえて「まず看護必要度の測定を義務化(要件化)してはどうか」と提案しています。例えば、▼救命救急入院料1・3ではICU用 ▼SCUではハイケアユニット用—などが考えられますが、厚労省保険局医療課の担当者は「影響が大きくならないよう」配慮する考えで、今後の検討を待つ必要があります。また2018年度には導入されませんが、近い将来「重症患者割合」の基準も設けられる可能性があります。迫井医療課長は、▼ICUではDPCデータの中に「入室時の患者の生理学的スコア」(APACHE IIや、SOFA:Sequential Organ Failure Assessmentなどのスコア)の記載を求める ▼安全性を確保した上で、ICU入室早期からの「離床に向けた取り組み」を評価する ▼ICUにおいて、「重症患者に対するケア」に関する研修を受けた看護師配置を義務化(要件化)する ▼ICUやHCUなどの設備・器具について、柔軟に保有できる(共有化できる)よう要件を見直す—考えも示しています。APACHE IIなどは、ICU入室患者について▼入室から24時間以内の生理学的指標(動脈圧やクレアチニン)▼年齢▼慢性併存疾患—を踏まえて「重症度を指数化」するもので、施設間の医療の質(標準化死亡比:予測死亡率に対して、実際にどれだけ死亡したのかの比率)をベンチマークすることが可能です。ただし、APACH IIとSOFAでは項目も異なることから、診療側の今村委員からは「科学的に確立されていると言えるか疑問である。いきなり記載を義務化することは難しいのではないか」との疑問の声も出されています。また専門研修を受けた看護師配置の義務化(要件化)については、すでに9割のICU設置病院で配置実績があることを踏まえた見直しですが、診療側の猪口雄二委員(全日本病院協会会長)らから「1割の病院では未設置であり、十分な準備期間を設定してほしい」との要望が出ています。専門研修には受講枠もあり、また研修受講期間中の代替要員確保にも一定の困難が伴うためです。自院の他病院への転棟患者、「在宅復帰」にカウントしないことに 11月24日の中医協総会では、「在宅復帰」率についても議論が行われました。在宅復帰率はさまざまな病棟で施設基準の1項目となっており、7対1病棟についても2014年度改定で導入されました(2016年度に基準を80%に引き上げ)。現在、この基準に苦しんでいる病院は極めて稀で、7対1病院の4分の3では、基準値をはるかに上回る「90%」超となっています。この状況を踏まえ幸野委員らは「在宅復帰率は急性期入院医療を評価する指標の意味をなしていない」と厳しい指摘を行っていますが、迫井医療課長は「在宅復帰率の計算式、定義に問題があるのではないか」と考えているようです。現在、例えば7対1病棟では、「自宅」や「居住系介護施設」などのほか、地域包括ケア病棟や回復期リハビリ病棟なども「在宅復帰」先としてカウントされていますが、この点を整理する必要がるようです。この点、迫井医療課長は「在宅復帰の中に『自施設内での移動』は想定されていないのではないか」とし、「自院の他病棟への転棟患者」は在宅復帰のカウントから外す考えを示しました。この見直しでどの程度の影響が出るのかは未知数ですが(自院の他病棟への転棟割合などのデータがない)、基準値を満たせなくなる病院も一定程度生じる可能性があります。各病院におかれては、早急に「退棟後の行先」を可能な限りチェックする必要があるでしょう。さらに▼療養病棟については、在宅復帰機能強化加算の算定有無に関わらず、在宅復帰先としてカウントする ▼自宅などへの退院患者と、他医療機関への退院患者とを区別して報告してもらう—との見直し案も提示しています。しかし前者について猪口委員は「療養病棟や老健施設では、7対1からの在宅復帰先として選定されるために、在宅復帰機能強化加算を目指して努力する。加算なしでも在宅復帰先にカウントされるとなれば、療養病棟などからの在宅復帰の流れを阻害しないか」との懸念を示しています。なお、在宅復帰率に関しては、▼介護医療院の取扱い(在宅復帰率に含めることにはなるが、同一建物の介護療養が介護医療院に転換する場合などをどう考えるか) ▼名称(地域医療連携率や自宅等退院率などが浮上)―を検討するとともに、「地域包括ケア病棟・回復期リハビリ病棟の基準値引上げ」も行うことになりそうです。>
 
メディウォッチ「療養病床の人員配置標準、緩和を6年延長―社保審・医療部会(1)」(http://www.medwatch.jp/?p=17121)。<以下引用>
<療養病床に関する医療法上の人員配置標準などを緩和する経過措置の期限を、来年(2018年)3月末から2024年3月末へと6年間延長する。また、この経過措置の対象病院が介護医療院への転換を前向きに考えられるように、地域医療介護総合確保基金などで転換支援を行う―。社会保障審議会・医療部会は11月24日、厚生労働省が示したこうした方向性を、おおむね了承しました。この経過措置は、病院が配置する看護職員の員数について、本来であれば「療養病床の入院患者4人に対して1人(4対1)以上」としなければならないところを、「6人に対して1人(6対1)以上」と緩めるほか、廊下幅の基準を緩和しているものなどです。ただし、6年後に再び延長することになるのを防ぐために厚労省では、病院・診療所の介護療養病床の介護医療院などへの転換に向けた協議を、地域医療構想調整会議で2021年3月末までに行うよう都道府県に求めていく方針です。療養病棟入院基本料2の見直しにも関係する人員配置標準の経過措置 病院や診療所の療養病床に要介護者を長期入院させ、必要な医療を提供する介護療養病床には、「病床の役割としてふさわしくない」といった指摘があり、廃止が決まっています。具体的には、設置期限が来年(2018年)3月末と定められていましたが、介護療養病床の入院患者の受け入れ先(廃止される介護療養病床の転換先)となる「新しい介護サービス」が必要なため、来年(2018年)4月に介護医療院を創設した上で、転換期間を6年設けることになりました。つまり、現存する介護療養病床には事実上「2024年3月末まで存続が認められる」ことになっています(改正介護保険法:地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律)。一方、医療法では病院や診療所に対し、「都道府県が条例で定める員数」の看護職員(看護師と准看護師)の配置を義務付けています。その員数の標準を厚労省は、「療養病床の入院患者4人に対し1人」(4対1)以上と定めていますが、▼介護療養病床の指定を受けている ▼看護配置4対1に満たない―などの病院・診療所に対しては、来年(2018年)3月末までに限って「6対1」以上に緩める経過措置が設けられています。この経過措置が予定通り終了すると、介護療養病床(看護配置「6対1」以上)の存続は、来年(2018年)4月から認められなくなってしまい、上記の改正介護保険法と矛盾します。また、医療保険が適用される医療療養病床のうち、看護配置「6対1」(診療報酬の基準は常時配置「25対1」以上)を「病棟単位」で満たせば算定できる【療養病棟入院基本料2】の、2018年度診療報酬改定での取り扱いにも影響を及ぼします。そのため、看護職員の人員配置標準の経過措置を延長するのかどうか、などが注目されていました。新設の療養病床などは経過措置の対象外 11月24日の医療部会で厚労省は、▼医療法施行規則における人員配置標準の経過措置を2024年3月末まで延長する ▼経過措置の対象は2012年までに届け出ていた病院・診療所のみで、新たに増やさない―という考えを示しました。現在、人員配置標準の経過措置はそもそも、「介護療養病床がある」「看護配置が薄い」ことなどを都道府県に届け出た病院・診療所のみに適用されています。その届け出の期限(所定期日)は原則2012年6月末で、計1677施設(1269病院と408診療所)が該当します。このうち、今年(2017年)10月時点で「4対1」以上の看護配置を満たさないのは計400施設弱(山梨・石川・福井3県を除く44都道府県で計377施設)と考えられます。そうした実情を踏まえ、新設の療養病床などを経過措置の対象としない厚労省の案に対して、医療部会の委員から明確な反対意見は出ていません。6年後の再延長をめぐって委員らの意見に隔たり ただし、2024年4月以降の経過措置の取り扱いをめぐっては、委員らの意見に隔たりが見られました。井上隆委員(日本経済団体連合会常務理事)は「6年間の中で確実に、病院も診療所も転換を図ってほしい」、伊藤彰久参考人(日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長、平川則男委員:日本労働組合総連合会総合政策局長の代理出席)は「延期がないように、高齢化の時代を乗り切れるように取り組んでほしい」と述べ、「6年限りの延長」だと強調しました。これに対して中川俊男委員(日本医師会副会長)は、「経過措置の延長が良くないことのように聞こえるが、地域医療を混乱させない観点から考えると延長は決して悪いことではない」と主張。さらに「6年間延長以上でも以下もない。そうしてほしい」と述べ、2024年4月以降に「再延長を検討する」選択肢を残す必要性を指摘しています。再延長せずに済むよう2020年度中に調整会議で協議し、基金で転換支援 厚労省は、2024年3月末まで6年間延長してはどうかと提案した理由を、「診療報酬・介護報酬の同時改定かつ、医療計画・介護保険事業計画の改定を行うタイミング(2024年度)で再度検討を行うことが必要」だからだと説明しています。とはいえ、2024年4月以降の再延長を黙認したわけではありません。厚労省は、看護配置「4対1」を満たさない病院・診療所がなくなるように、介護療養病床などの介護医療院への転換を促進する必要性を指摘。その具体案として、(1)遅くとも2021年3月末までに、地域医療構想調整会議において、各区域における療養病床の転換について協議を行うこととする(2)2021年度を「ひとつの目処」として、地域医療介護総合確保基金などを活用した転換支援を行う―考えも示しています。このうち、(1)に対しては、加納繁照委員(日本医療法人協会会長)が「期限を設けるのは違和感がある。『遅くとも』ではなく『原則』にしてほしい」と要望しましたが、厚労省医政局地域医療計画課の佐々木健課長は、▼今年(2017年)6月に閣議決定された骨太方針2017(経済財政運営と改革の基本方針2017―人材への投資を通じた生産性向上―)で、地域医療構想調整会議での「2年程度での集中的な検討」が促されている ▼地域医療構想調整会議での検討は、主として【高度急性期機能】や【回復期機能】について行われることが多いが、【慢性期機能】を含めてしっかり議論してもらいたい―なとど説明し、「遅くとも2021年3月末まで」と期限を設けることへの理解を求めています。ちなみに(2)の地域医療介護総合確保基金には医療分(毎年度904億円)と介護分(同724億円)がありますが、介護医療院への転換のうち、医療療養病床からの転換は医療分、介護療養病床からの転換は介護分の基金で支援されるようです。>
 
地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)に関して、「各都道府県の地域医療構想について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000164337.pdf)p31~「各構想区域における4機能ごとの病床の必要量」が出ているが、具体的な推進は、①中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)での診療報酬改定議論と、②医療部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126719)での制度改正によるところが大きい。「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)、「地域医療構想を踏まえた「公的医療機関等2025プラン」」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)も、資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000151974.pdf)p16「都道府県知事の権限」が行使される前に、ダウンサイジングする必要があるように感じる。また、療養病床は、ここのところ、「介護療養⇒医療療養」、「医療療養2⇒医療療養1」の現場の動きがあり、まずは療養病床の「見える化」を徹底した方が良いように感じる。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000182011.pdf)p17「慢性期の病棟におけるデータ提出項目に関する課題;療養病棟は平成26年からデータ提出加算の提出対象病棟となっているが、療養病棟を有する医療機関のうちデータを提出しているのは許可病床200床以上の約40%、許可病床200床未満の約24%であり、病床数は療養病床全体の約25%にあたる。」では全然ダメである。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000167354.pdf)p60にあるように、平成28年度診療報酬改定で、基本料1では「医療区分2・3の患者が8割以上」、基本料2では「医療区分2・3の患者が5割以上」の要件が設定されたが、診療報酬基準を満たすために、中心静脈栄養や気管切開など、医療区分2・3の割合を意図的に引き上げるようなことをしてはよくない。まさに「胃ろう」が「中心静脈栄養」に変わっただけのようである。財政制度分科会(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の資料(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia291025/01.pdf)p73「地域医療構想の⽅向性と整合的に療養病床の転換を進めるとともに、効率的な医療・介護サービスの提供体制を構築するため、患者の状態像にそぐわない20対1病床への転換の防⽌のための医療必要度の要件の厳格化等や、介護医療院について、⼈員配置や費⽤⾯での効率化が進むよう報酬・基準を設定するとともに、療養病床の⼊院患者のうち医療の必要度の低い患者については、在宅医療等で対応を進めるような改定内容とすることを検討すべき。」とあった。療養病床については、地域医療介護総合確保基金(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000068065.html)による転換誘導が期待される。
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