保健福祉の現場から

感じるままに

生活習慣病管理料と糖尿病性腎症重症化予防

2017年11月02日 | Weblog
メディウォッチ「生活習慣病管理料、エビデンスに基づく診療支援の促進を目指した見直し―中医協総会(2)」(http://www.medwatch.jp/?p=16619)。<以下引用>
<高血圧症や糖尿病といった生活習慣病の重症化を予防するために、B001-3【生活習慣病管理料】について、▼療養計画書に血圧の目標設定や特定健診などの受診勧奨情報などを記載する欄を設ける▼ガイドラインやデータに基づく診療支援を促す―といった見直しを行ってはどうか―。11月1日に開催された中央社会保険医療協議会の総会では、こういった方向が了承されています。生活習慣病管理料の療養計画書にも、特定健診受診勧奨などの記載欄設ける 入院医療費の37%(およそ5兆7000億円)、入院外医療費の32%(およそ4兆5000億円)が生活習慣病(ただし、大腸・肺以外のがん患者も含む)で占められており、(1)生活習慣病のそもそもの予防(生活習慣の改善)(2)重症化予防(3)治療—の総合的な推進が重要テーマの1つとなっています。このうち(2)の重症化予防については、糖尿病腎症から腎不全、透析という経過を防止するために、昨年(2016年)4月に日本医師会・日本糖尿病対策推進会議・厚労省が協働して「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を策定したほか、市町村と地域医師会とが連携した重症化予防への取り組みが重要との報告書がまとめられています。また診療報酬上は、(3)の治療と併せて、▼B001-3【生活習慣病管理料】(治療計画を策定し、それに基づく総合的な治療管理を評価)▼B001の20【糖尿病合併症管理料】(糖尿病足病変ハイリスク要因を有する患者に対する、看護師による総合的な管理指導を評価)▼B001の27【糖尿病透析予防指導管理料】(透析に向かいつつある糖尿病患者に対する、チームでの指導管理を評価)―などが準備されています。しかし、現在の重症化予防への取り組みには、例えば次のような課題もあると指摘されています。▼生活習慣病対策では「医療機関・行政・保険者の連携」が極めて重要だが、糖尿病透析予防指導管理料などの算定患者について、保険者から医療機関に情報提供の協力を求めるケースは極めて少なく、医療機関から保険者へ情報提供が行われたケースも少ない ▼糖尿病透析予防指導管理料などの算定患者について、医療機関が「当該患者が特定健診・特定保健指導を受けたかどうか」を把握しているケースは1割程度にとどまっている 厚生労働省保険局医療課の迫井正深課長は、この遠因として「生活習慣病管理料の算定要件である療養計画書の書式に、▽血圧の目標▽特定健診・特定保健指導の受診勧奨―などに関する記載欄がない」ことがあるのではないかと指摘しています。また、迫井医療課長は、▽高血圧治療では降圧剤を用いるが、薬価が比較的高く設定されているARBの使用割合が比較的高い▽標準的な薬剤選択方針に基づく医薬品リスト(フォーミュラリー)を定めている病院は7.5%にとどまり、大規模病院に偏っている▽医薬品の適正使用に当たっては、正確な情報が製薬メーカーなどから提供される必要がある▽糖尿病治療に関しては、日本医師会や日本糖尿病学会などが構築しているデータベース「J-DREAMS」をもとに、クリニックに向けて情報提供が提供されている(日本医師会の「かかりつけ医糖尿病データベース研究事業:J-DOME」)―といった点にも言及。エビデンスに基づく、適切な治療・重症化予防の重要性を強調しました。これらを総合して迫井医療課長は、2018年度の次期診療報酬改定に向けて、B001-3【生活習慣病管理料】について▼療養計画書に血圧の目標設定や特定健診などの受診勧奨情報などを記載する欄を設ける▼ガイドラインやデータに基づく診療支援を促す―といった見直しを行ってはどうかと提案しています。具体的な要件見直しなどは今後の議論を待たなければいけませんが、診療側・支払側とも「保険者と医療機関の連携が重要」など積極的な支持を表明しており、見直し方針は了承されたと言えるでしょう。高血圧治療薬の選択にあたり「費用対効果の視点」を持たせたガイドラインを なお、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、高血圧症治療の薬剤で高額なARBが多く使用されている(健保連の分析では、金額ベースで1分類処方では6割、2分類処方では9割がARB)点に着目し、「高血圧治療薬の選択において、費用対効果も踏まえた優先順位を付けるよう、厚労省から関係学会に指導してほしい」との要望を行いました。ARBを安価なCa拮抗薬に置き換えた場合、医療費が830億円縮減できる、との推計結果も幸野委員は紹介しています。診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)や今村聡委員(日本医師会副会長)は、「費用対効果の視点も重要」と幸野委員の要望に一定の理解を示しましたが、治療薬選択では医学的な判断が最重視されるべき旨の見解を述べています。腎不全期に至る前の患者でも、運動指導による腎機能の維持・改善効果あり 迫井医療課長は、糖尿病腎症の重症化予防について「B001の27【糖尿病透析予防指導管理料】における【腎不全期患者指導加算】の対象患者拡大」も提案しました。この加算は、eGFRという腎機能を示す指標の値が「30未満」(小さいほど腎機能が低下している)の腎不全期患者に対して、専任の医師が腎機能維持の観点で必要と考える運動指導を行うことを評価するものです。もっとも長浜赤十字病院(滋賀県長浜市)の研究によれば、加算の対象とならない患者(eGFRの値が30-44)であっても運動療法によって腎機能を維持・改善する効果があることが分かり、迫井医療課長は「加算対象患者の拡大」を検討してはどうかと提案しているのです。この点、診療側の松本純一委員・今村委員は「末期の腎不全になる、もっと前から介入して重症化を予防することは重要」と迫井医療課長提案に理解を示しましたが、「1病院において、わずか247名を対象にした研究では、十分なエビデンスとは言えないのではないか」と態度を保留しています。保険給付対象とすれば算定患者も増え、その効果を検証することが「エビデンス構築」につながるとも考えられ、積極的な検討に期待が集まります。>
 
キャリアブレイン「【中医協】生活習慣病管理料の療養計画を見直しへ  支払側はアウトカム評価を主張」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20171101214522)。<以下一部引用>
<中央社会保険医療協議会が1日に開いた総会では、厚生労働省が、「生活習慣病管理料」の算定医療機関が作成する「療養計画書」を2018年度の診療報酬改定で見直すことを提案した。医療機関から患者への働き掛けを強めるため、これまでの血糖値(HbA1c)に加え、血圧の検査値の改善度合いを示す目標値や、特定健診の受診勧奨の記載を新たに求めるなどの内容だ。これらへの反対意見は出なかった。1日の会合で厚労省は、「糖尿病透析予防指導管理料」の「腎不全期患者指導加算」の対象患者を拡大することも提案したが、有効性を示すデータを1病院の患者247人分しか出せなかった。このため診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)は、「根拠として弱い」と述べ、引き続き経過を見守ることを提案した。ただ、厚労省では、18年度の改定に向けて引き続き検討することにしている。>
 
中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)の「外来医療(その3)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000183042.pdf)p43「生活習慣病の重症化予防の推進のため、効果的・効率的な指導管理の取組みを促す観点から、①療養計画の内容(検査値の目標、特定健診・特定保健指導の受診勧奨等)や、②ガイドラインやデータに基づく診療支援等といった視点から、生活習慣病管理料の見直しを検討してはどうか。」とあるが、p41「日本医師会かかりつけ医糖尿病データベース研究事業(J-DOME:Japan medical association Diabetes database Of clinical Medicine)」とセットで、生活習慣病管理料の見直しを図っても良いように感じる。「日本医師会かかりつけ医糖尿病データベース研究事業(J-DOME:Japan medical association Diabetes database Of clinical Medicine)」は非専門医での取り組みがポイントかもしれない。そういえば、「外来医療(その2)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000158415.pdf)では「予防から治療まで一貫したサービス提供・システム連携の推進」がテーマとされ、p70「今後、生活習慣病の増加が見込まれるとともに、より質の高い医学管理や重症化予防の取り組みが求められる中で、・かかりつけ医機能と専門医療機関等との連携の推進や、・かかりつけ医を中心とした多職種との連携による効果的な医学管理等の推進、・医療機関と保険者・自治体等の予防事業との情報共有の推進、に資する評価のあり方について、どのように考えるか。」とあったが、保険者とかかりつけ医との連携による「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)を診療報酬面からの後押しはどうなるであろうか。平成29年1月17日国民健康保険課事務連絡「平成28年度保険者努力支援制度前倒し分に係るQ&Aの送付について その2」の問3では「(答)「かかりつけ医との連携」とは・事業実施にあたり、事業内容について医師会に情報提供すること。・事業実施過程で、事業内容について医師会から助言を受けること。・事業実施にあたり、個々の取組についてかかりつけ医に情報提供すること。・事業実施過程で、個々の取組についてかかりつけ医から助言を受けること等を指す」とされたことは認識したい。もはや生活習慣病対策は大病院の専門医中心の時代ではない。「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000121902.pdf)p7「特定健診では尿蛋白が必須項目であり、糖尿病に加えて尿蛋白(+)以上であれば第3期と考えられる。(±)は微量アルブミン尿の可能性が高いため、医療機関では積極的に尿アルブミン測定を行うことが推奨されている。尿アルブミンは健診項目にはないが、糖尿病で受診勧奨判定値以上の場合、医療機関への受診勧奨がなされ医療機関において尿アルブミンが測定され、第2期の把握が可能となる。」とある。社会保険診療報酬支払基金「157 アルブミン定量(尿)(糖尿病性早期腎症)」(http://www.ssk.or.jp/shinryohoshu/teikyojirei/ika/kensa/jirei157.html)の「糖尿病性早期腎症(第1期又は第2期の記載がないもの。)に対してのアルブミン定量(尿)の算定を認める。」の取り扱いは周知したい。気になるのは、医療機関において糖尿病患者に「157 アルブミン定量(尿)(糖尿病性早期腎症)」(http://www.ssk.or.jp/shinryohoshu/teikyojirei/ika/kensa/jirei157.html)が積極的になされるようになり、各医療保険者に対して、「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)が依頼できる状況になっているかどうか、である。重症化予防(国保・後期広域)ワ-キンググループ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=318630)のとりまとめ(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000170308.html)を参考に、戦略的に「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)を進める必要がある。
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同時改定と入退院支援

2017年11月02日 | Weblog
キャリアブレイン「病院とケアマネの情報共有フローを明確化 福井県の退院支援ルール」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20171019200430)。<以下一部引用>
<介護支援専門員(ケアマネジャー)と病院職員との連携促進が、来年春の診療・介護報酬の同時改定の論点となっている。退院後に介護サービスを要する患者が増えたためで、連携先が求める情報を迅速に伝える取り組みが互いに求められる。それを促すインセンティブなどの具体案を厚生労働省はまだ示していないが、情報提供のフローを明確化させる福井県の「退院支援ルール」にヒントがありそうだ。■75歳以上の退院患者は1割が介護サービス利用 少子・高齢化が進むにつれ、退院後に介護サービスを要する患者が増えている。厚労省が3年ごとに行う「患者調査」によると、介護サービスを退院後に利用する患者の割合は調査のたびに高まり、直近の14年は3.9%だった。患者の年齢が上がるほど割合が高く、75歳以上では9.2%を占めた。>
 
「B007 退院前訪問指導料」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1/b007.html)、「B007-2 退院後訪問指導料」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1/b007-2.html)、「A246 退院支援加算」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_1_2_2/a246.html)、「B005-1-2 介護支援連携指導料」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1/b005-1-2.html)、「B004 退院時共同指導料」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1/b004.html)、「H003-2 リハビリテーション総合計画評価料入院時訪問指導加算」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_7_1/h003-2.html)など、急性期病院も在宅医療に深く関わる時代である。第7次医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の「別表11 在宅医療の体制構築に係る現状把握のための指標例」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000159906.pdf)には退院支援のストラクチャー指標として「退院支援担当者を配置している診療所・病院数」「退院支援を実施している診療所・病院数」「介護支援連携指導を実施している診療所・病院数」「退院時共同指導を実施している診療所・病院数」「退院後訪問指導を実施している診療所・病院数」、プロセス指標として、「退院支援(退院調整)を受けた患者数」「介護支援連携指導を受けた患者数」「退院時共同指導を受けた患者数」「退院後訪問指導料を受けた患者数」があり、それぞれの地域でどうなっているか把握しておきたい。地方厚生局の施設届出(http://caremap.jp/cities/search/facility)をみればどの医療機関が「退院支援加算(退支)」を算定しているかわかるが、一般病床又は療養病床を有する医療機関については、医療法に基づく病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)で、「急性期後の支援、在宅復帰の支援の状況」として、「退院支援加算1,2」「退院時共同指導料」「介護支援連携指導料」が病棟単位で出ていることは常識としたい。急性期病院では、平成28年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000106421.html)説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000112857.html)医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977.pdf)p42「退院支援加算1」が算定されているかどうかで、ある程度病院の実力がわかるかもしれない。なお、医療介護連携に関する介護報酬には、入院時情報連携加算(http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/242/447/02-11-14nyuuinnjijyouhourennkei.pdf)、退院退所加算(http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/345/867/02-15-21taiinntaisho.pdf)、地域連携診療計画情報提供加算(http://rehatora.net/%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E9%80%A3%E6%90%BA%E8%A8%BA%E7%99%82%E8%A8%88%E7%94%BB%E6%83%85%E5%A0%B1%E6%8F%90%E4%BE%9B%E5%8A%A0%E7%AE%97%E3%81%AE%E7%AE%97%E5%AE%9A%E8%A6%81%E4%BB%B6%EF%BC%88%E8%80%81%E5%81%A5/)等がある。平成30年度の同時改定では、入退院支援に関する評価が注目される。
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地域包括ケア病棟の差別化が必要

2017年11月02日 | Weblog
キャリアブレイン「地域包括ケア、新設3年余で約6.2万床 地域差も アルトマーク調べ」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20171030165445)。<以下引用>
<メディカルデータベース事業「日本アルトマーク」(東京都港区)の調べによると、地域包括ケア病棟入院料と地域包括ケア入院医療管理料の算定病床は今年6月1日現在、全国で計6万1796床(1913病院)あり、このうち点数設定の高い「地域包括ケア1」が5万8748床(1802病院)と全体の95.1%(病院ベースでは94.2%)を占めた。2014年度の診療報酬改定で新設されて以来、地域包括ケア病棟(病床)の整備が急ピッチで進んでいることを示す結果だが、人口10万人に占める病床数を都道府県別に見ると、最も多い熊本(114.7床)と最少の沖縄(20.2床)に約5.7倍の格差があり、地域差が目立つ。6万1796床の病床区分ごとの内訳は、一般病床が5万6122床(90.8%)、療養病床が5674床(9.2%)。地域包括ケア1では一般が全体の91.6%を占め、療養は8.4%にとどまったが、点数が低い「地域包括ケア2」(3048床)に限ると療養が24.0%を占めた。1913病院の約95.0%が地域包括ケア病棟(病床)と一般病棟などを併設しており、同時算定している報酬ごとの病院数の内訳は、10対1入院基本料が975病院(51.0%)、7対1入院基本料が586病院(30.6%)など。日本アルトマークでは、「自院の高度急性期・急性期からの転棟傾向が強いことがうかがえる」としている。>
 
医療介護情報局HP(http://caremap.jp/)では、「医療機関届出情報(地方厚生局)」がデータベース化(http://caremap.jp/cities/search/facility)されており、どこの医療機関が「(地包ケア1)地域包括ケア病棟入院料1及び地域包括ケア入院医療管理料1」「(地包ケア2)地域包括ケア病棟入院料2及び地域包括ケア入院医療管理料2」(http://www.pt-ot-st.net/contents2/cat_medical_treatment26/19)を算定しているかわかる。また、医療法に基づく病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)に関して、地域医療構想策定ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000088510.pdf)p50~「公表しなければならない項目」には、病棟単位の「算定する入院基本料・特定入院料の届出病床数・レセプト件数」「病室単位の特定入院料の届出病床数・レセプト件数」があり、各病院の詳細な状況が公表されていることは知っておきたい。さて、「地域医療構想に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=368422)の「病床機能報告の項目の追加・見直しについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000166638.pdf)p3「報告項目の追加・見直しについて(案)」では「「入院前・退院先の場所別の患者数」、「退院後に在宅医療を必要とする患者数」について、報告対象期間を、現在の1か月間から、1年間に見直してはどうか。」とあり、今後、病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)のデータベース化による病棟単位の詳細な分析が普遍化されるように感じる。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000175150.pdf)p68「 地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)について、求められる機能に応じた医療の提供を推進する観点から、例えば、 ・ 急性期病棟等と連携して患者を受け入れる機能と、・ 自宅等から患者を受け入れ在宅療養を支援する機能、 といった点に着目しつつ、患者の状態や医療の内容に応じた評価を検討すべきではないか。」、p85「地域包括ケア病棟の入院患者について、入棟前の居場所が、自宅等から入院する患者と、急性期病棟から転棟・転院する 患者とで区別して分析すると、患者の状態、入院の理由、検査等の実施状況等に関して、その傾向に一定程度の差があることについて、どのように考えるか」の行方が注目であるが、「入棟前の居場所が、自宅等から入院する患者と、急性期病棟から転棟・転院する 患者とで区別」だけではなく、病院の機能分化・連携の観点から、p64「在宅復帰率の算出方法」で、例えば、7対1病棟での分子「地域包括ケア病棟」について、自施設か他施設か、での差別化があっても良いように感じる。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000102535.pdf)p4「地域包括ケア病棟の主な役割」として、①急性期からの受け入れ、②緊急時の受け入れ、③在宅・生活復帰支援が位置づけられているが、3機能について、医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=127276)や地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)の推進の観点からは、特に「②緊急時の受け入れ、③在宅・生活復帰支援」を重視すべきと感じる。「平成28年度診療報酬改定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000106421.html)説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000112857.html)の医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977.pdf)p15「500床以上の病床又は集中治療室等を持つ保険医療機関において、地域包括ケア病棟入院料の届出病棟数を1病棟まで」は認識したい。地域全体で医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)・地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)を考える時代である。「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)、「地域医療構想を踏まえた「公的医療機関等2025プラン」」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)も個別の病院だけで進めてはいけないであろう。
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看護職員配置評価の見直しの行方

2017年11月02日 | Weblog
キャリアブレイン「看護必要度高い「スーパー10対1」などを評価すべき データで読み解く病院経営(34)」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20171031160457)。<以下一部引用>
<■分析対象データを拡大し「スーパー10対1」の患者像に迫る 以前、7対1入院基本料算定病院と10対1入院基本料算定病院における「重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)の該当患者割合の違いについて、病床機能報告の70病院のデータ分析を通じて、患者像が異なっている可能性を論じた(「同じ看護必要度でも7対1と10対1では患者像は異なる」)。例えば、10対1で看護必要度が30%を超える「スーパー10対1」と呼べるような病院では、7対1の看護必要度の高い病院に比べ、病床数は小規模で、高齢の救急搬送患者を多く受け入れている可能性があり、一方、7対1の看護必要度の高い病院は、侵襲度の高い手術をしている可能性が示唆された。ただし、前回のレポートでは、比較的早期から2016年度の病床機能報告データを開示していた2県分・70病院の限られたデータから類推していたため、地域性などの影響が排除し切れていなかった可能性もある。そこで対象を、16都道府県、1136病院に拡大し、計20万床のデータから再検証した(看護必要度のデータ等が不適切な病院は除外している)。■小規模病院が多い10対1、大規模から小規模までさまざまな7対1 まず算定病床数の分布を比較した=グラフ1=。それぞれ7対1入院基本料の算定病床数、10対1の算定病床数についての病院ごとの合計値を見ている(ICUやハイケアユニット等の特定入院料を算定している病棟は含まない)。7対1の658病院のうち、1割程度は500床を超えている。一方で10対1の478病院の3分の1以上は50床未満となっている。>
 
メディウォッチ「7対1入院基本料の厳格化、透析医療の診療報酬適正化など進めよ―財政審、経済財政諮問会議」(http://www.medwatch.jp/?p=16596)。<以下引用>
<2018年度の次期診療報酬改定に向けて、中央社会保険医療協議会で議論が進められています。それとは別に、主に「財政再建のために社会保障費を抑制すべき」という観点で財政制度等審議会や経済財政諮問会議でも、具体的な改定内容に関する議論が行われています。財政審などの提言、中医協論議にどこまで影響するのか 10月25日の財政審では、2018年度に「2%台半ば以上のマイナス改定をすべき」との意見をまとめたほか、次のような改定内容に踏み込んだ提言を行っています。▼急性期病床の適正化(7対1病床について、2025年に向けてどの程度病床数を適正化していくか⾒通しを示し、重症度、医療・看護必要度など算定要件の⼀層の厳格化を行う。⼊院基本料ごとに医療内容を検証し、看護職員配置ではなく、提供している医療の機能(⾼度急性期、急性期、回復期等)により評価される仕組みを⽬指す) ▼⽣活習慣病治療薬などについて、臨床上の有効性・安全性を前提としつつ、経済的な観点も踏まえた「医薬品選択のガイドライン」を策定する。あわせて、⽣活習慣病治療薬などの適切な処⽅を進めるための診療報酬上の対応の在り⽅を検討する ▼「患者の状態像にそぐわない20対1病床への転換」防⽌のために医療必要度の要件(現在、療養病棟入院基本料1では医療区分2・3の患者割合が80%以上とされている)の厳格化等や、介護医療院について、⼈員配置や費⽤⾯での効率化が進むような報酬・基準を設定する。療養病床の⼊院患者のうち医療の必要度の低い患者について在宅医療などで対応を進めるような改定内容とする また10月26日の経済財政諮問会議では、民間議員から、7対1病床の基準:要件の厳格化などのほか「透析医療の実態に応じて診療報酬の適正化を図る」「保険者などによる糖尿病患者の重症化予防を促進する」という、かなり具体的な提言が行われています。7対1病床の施設基準の1要件となっている「重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者割合(重症患者割合) 25%以上」については、中医協総会で厳格化を強く求める支払側委員と、「累次の改定で混乱した現場が、ようやく沈静化しつつある」として厳格化に強く反対する診療側委員との間で意見に大きな隔たりがあります。また、入院医療の技術的課題を集中的に検討する「入院医療等の調査・評価分科会」(中医協の下部組織)では、「7対1と10対1とで重症患者割合の活用方法が異なっている(7対1では施設基準、10対1では加算)ために分布状況が大きく異なっており、評価指標としての妥当性を検証する必要がある」「医療現場の負担軽減を図るために、重症度、医療・看護必要度の評価票に基づく計算方法と、診療報酬請求区分に基づく計算方法との検証を行う」方針を固めています。こうした中医協論議に、財政審や経済財政諮問会議の意見・提言がどのように影響するのか、「改定論議の俎上に上げられるか」も含めて、今後の中医協などの議論に注目が集まります。>
 
中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)の「入院医療(その2)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000155341.pdf)p7「近年、7対1入院基本料、10対1入院基本料、15対1入院基本料の病床稼働率は、低下傾向」、p9「一般病棟入院基本料(7対1、10対1)の算定回数は、近年、減少傾向」、p31「入院基本料は、入院診療に係る基本的な療養に係る費用(環境、看護師等の確保、医学管理の確保等)を評価するものであるが、現行の一般病棟入院基本料は、主に看護配置等の要件で段階的に設定されており、入院医療については、患者の状態や診療の効率性等の要素も考慮する必要があるのではないか。この点については、医療機関によって様々であり、さらに詳細な分析が必要ではないか。また、患者の状態に応じた評価と機能に応じた評価との整合性も考慮した評価のあり方について、どのように考えるか。」とあり、財政制度分科会(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の資料(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia291025/01.pdf)p19「○ 地域医療構想において、将来の少⼦⾼齢化を踏まえて急性期から回復期への転換が求められていることも踏まえ、7:1⼊院基本料について、今後2025年に向けてどの程度病床数を適正化していくか⾒通しを⽰した上で、これに向けて重症度、医療・看護必要度など算定要件の⼀層の厳格化を⾏うべき。⼊院基本料ごとに具体的にどのような医療を提供しているか検証したうえで、看護職員配置ではなく、提供している医療の機能(⾼度急性期、急性期、回復期等)により評価される仕組みを⽬指していくべき。」、p36「① 7:1⼊院基本料等の⾒直し、② 療養病床における標準報酬の適正化、③ 診療科ごとの不均衡の是正、などを実施すべきである。」、p49「診療所や医師数、⾼額医療機器など病床以外の医療資源に関しても、医療費の増加を抑制しつつ、診療科や地域ごとの偏在を是正し、限られた医療資源の中で適切かつ効率的な医療提供体制を構築していく観点から、その配置に係る実効的なコントロールが必要であり、その在り⽅について早期に議論を進めるべき。」とあった。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000178775.pdf)p35「重症度、医療・看護必要度に係る経緯」は今後どうなるか、地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)、「地域医療構想を踏まえた「公的医療機関等2025プラン」」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)、「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)の進捗にもかなり影響するのは間違いない。地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)について、「各都道府県の地域医療構想について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000164337.pdf)p31~「各構想区域における4機能ごとの病床の必要量」をみれば、「急性期の過剰」とされる区域が多い。急性期病床過剰と判断される地域は、市区町村別の将来人口推計(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson08/5-sai/shosai.html)による人口減少だけでなく、「病床利用率が低い一般病床」の存在が大きいであろう。医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)による政策医療とも関連するが、もはや、どの病院も医師・看護師を確保して病床利用率を上げる時代ではない。
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認知症ドライバーと生活支援

2017年11月02日 | Weblog
東京新聞「認知症の恐れのドライバー3万人 75歳以上の機能検査で」(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017110201000831.html)。<以下引用>
<75歳以上の認知機能検査を強化した改正道交法が3月12日に施行されてから9月末までの約半年間に、全国で検査を受けた高齢ドライバーは111万7876人で、認知症の恐れがある「第1分類」と判定されたのは3万170人に上ることが2日、警察庁のまとめ(暫定値)で分かった。1~9月末の75歳以上の死亡事故件数は294件で昨年同期の328件より減ったが、全体に占める比率は高水準が続く。警察庁の担当者は「高齢運転者はますます増えていくため、今後も対策の重要性は変わらない」と話した。>
 
3月12日施行の改正道路交通法(https://www.npa.go.jp/koutsuu/menkyo/kaisei_doukouhou/leaflet_A.pdf)に関して、日本医師会「かかりつけ医向け 認知症高齢者の運転免許更新に関する診断書作成の手引き」(http://www.med.or.jp/doctor/report/004984.html)、5学会「認知症高齢者の自動車運転に関する専門医のためのQ&A集」(http://dementia.umin.jp/pdf/road_qa.pdf)(http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/info/topics/20170314_02.html)(http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/info/topics/pdf/20170314_02_01.pdf)が出ているが、全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000154636.html)の警察庁運転免許課資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000154659.pdf)p520「認知機能検査の内容」の周知を徹底する必要がある。「高齢運転者交通事故防止対策ワーキングチーム」(http://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/kou-tai/wt.html)の資料(http://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/kou-tai/pdf/k_2-gaiyo.pdf)にある「改正道路交通法の円滑な施行に向けた医師の診断体制の確保、高齢者の生活を支える体制の整備に向けた自家用有償旅客運送制度や地域運営組織の活用」はそれぞれの自治体で整えなければならない。全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000115521.html)の資料「介護サービス情報公表制度の活用等について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115405_1.pdf)にあるように、介護保険法改正で「市町村は地域包括支援センターと生活支援等サービスの情報を公表するよう努めなければならない」と規定され、一昨年10月から、介護サービス情報公表システムを活用して公表できるようになり、厚労省の介護事業所・生活関連情報検索(http://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/)による生活関連情報の公表項目には、見守り・安否確認、配食(+見守り)、家事援助、交流の場・通いの場、介護者支援、外出支援、多機能型拠点などがあり、市町村ごとに取り組み状況が公表されていることになっているが、介護事業所・生活関連情報検索(http://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/)に入力していない自治体が少なくない。老健局資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2017/01/dl/tp0117-k01-05-01p.pdf)p8「総合事業(介護予防・生活支援サービス事業)等のロードマップ【第6期詳細】(イメージ)」の平成28年度末「総合事業への移行の経過措置期間の終了」、平成29年度末「生活支援体制整備事業の経過措置期間の終了」とあるが、取り組まれていない自治体が少なくないであろう。国がいくら法改正し、通知や事務連絡を発出してもそれぞれの自治体で取り組まれなければ全然意味がない。平成28年国民生活基礎調査の概況(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/index.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/05.pdf)の「表20 要介護度別にみた介護が必要となった主な原因」では、要介護者の第一位「認知症」である。「高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=369143)の「高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000152498.pdf)と介護予防(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/yobou/)は密接に関連する。保健所・保健センターでは、「介護保険事業計画策定に向けた各種調査等に関する説明会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-rouken.html?tid=384533)の「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138618.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138620.pdf)の情報は得ているであろうか。全国介護保険担当課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-rouken.html?tid=204736)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000170082.pdf)p20~26「平成28年度 認知症初期集中支援推進事業 実施市町村一覧」、p27~35「平成28年度 認知症地域支援・ケア向上事業実施市町村一覧」をみれば取り組み格差が非常に大きいことがわかる。
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介護保険の見直し

2017年11月02日 | Weblog
メディウォッチ「福祉用具貸与、上限価格を超える場合には「保険給付の対象としない」―介護給付費分科会」(http://www.medwatch.jp/?p=16541)。<以下引用>
<2018年10月から、介護保険における福祉用具貸与について「上限」設定が行われるが、上限を超える価格を設定している場合には保険給付の対象としない―。10月27日に開催された社会保障審議会の介護給付費分科会で、厚生労働省老健局高齢者支援課の武井佐代里課長からこういった点が明らかにされました。全国平均価格や上限価格が公表されるため、貸与事業者のみならず、ケアマネジャーや福祉用具専門員にも十分な注意が求められます。ケアマネや福祉用具専門員、公表される価格情報をもとに利用者に適切な説明を 介護保険の給付対象となっている福祉用具の貸与・販売、住宅改修について、現在は事業所の裁量による価格(つまり言い値)となっています。このため、同じ製品であっても、一部事業者が極めて高額な貸与価格を設定している事例があると問題視されています。この点について介護保険制度を議論する社会保障審議会・介護保険部会では「貸与価格上限を設ける」「全国の平均貸与価格情報を公表する」「ケアマネジャーや福祉用具専門員が、価格情報や他の製品について利用者に説明することを義務付ける」方針を決定。上限価格は「全国平均価格+1SD(標準偏差)」とすることが昨年(2016年)末に決まりました。10月27日の分科会では、全国平均価格情報や上限価格設定について次のような、より具体的な運用方法案が厚労省から提示されています。▼2018年10月から、既存製品について「全国平均価格情報」や「貸与価格上限」を適用する ▼2019年度以降、「3か月に1度」程度の頻度で、新規製品の価格情報などを整理し、「全国平均価格情報」や「貸与価格上限」を適用していく ▼「全国平均価格情報」や「貸与価格上限」は、「1年に1度」程度の頻度で見直す ▼対象製品は「1か月に100件以上」の貸与件数があるものとする(全貸与件数の98.3%をカバー) この点に関連して武井高齢者支援課長は、「上限を超過した価格を給付対象とすれば、制度として肯定したことになってしまい、利用者負担も増えてしまう。上限設定であるので、超過したものは保険から排除する」旨を説明。上限超過部分が保険給付外となるのではなく、上限を超過する価格を設定した製品については、全額が保険給付対象外となることが明確になりました。例えば、aという製品について、▽B事業所が7000円▽C事業所が6500円▽D事業所が6000円―などと価格設定している場合、国がこれらの情報を収集し、平均価格などが公表されます。さらに、仮に「全国平均価格+1SD」が6800円と計算された場合、この6800円が上限となり、B事業所から貸与される製品a(7000円)は介護保険の給付対象外となる、いうイメージです。各事業所で適正な価格を設定することが求められるとともに、ケアマネジャーや福祉用具専門員は、利用者の不利益にならないよう、価格情報を適切に把握し(国で公表)、利用者に十分な説明を行うことが求められます。このため厚労省は、運営基準の中で▼貸与しようとする製品の特徴や貸与価格、当該製品の全国平均貸与価格を利用者に説明する▼機能や価格帯の異なる複数の製品を利用者に提示する▼利用者に交付する福祉用具貸与計画書をケアマネジャーにも交付する—ことを規定する考えも示しました。地域区分、完全囲まれルールなどを2018年度から適用 分科会では、介護報酬における地域区分の見直し案も提示されました。委員から異論は出ておらず、ほぼ確定したものと考えてよさそうです。診療報酬と異なり、介護報酬では全国を8つに区分けし(級地)、地域によって20-0%の単価の上乗せが行われます。例えば東京23区では人件費が他の地域に比べて高いために、事業所・施設の経営を圧迫しないよう、単価に20%の上乗せが行われます。しかし現行の仕組みでは「隣接地域すべての地域区分が、自地域より高くなる」地域、逆に「隣接地域すべての地域区分が、自地域より低くなる」地域が出てしまうことから、地域区分を一定の範囲から選択できるとする特例が創設されます(当該地域の地域区分の設定値から、隣接地域のうち一番低い、あるいは高い区分までの範囲で選択)【完全囲まれルール】(関連記事はこちら)。厚労省は自治体と協議し、「特例を活用するか」などを確認。2018-20年度における地域区分案を固め、分科会に提示しました。委員から異論は出ておらず、最終決定にこそいたっていませんが、ほぼ確定したものと言えます。なお、単価の上乗せ(上記の東京23区であれば20%)は、単純に「1単位=12円」となるのではあく、サービスごとに「支出に占める介護従事者などの人件費割合がどの程度か」を考慮して行われており、現在、▼訪問介護や居宅介護支援などでは70%(つまり東京都であれば、1単位=10円×〔1+0.2(単価の上乗せ20%)×0.7(人件費割合70%)〕=11.40円▼訪問リハビリや通所リハビリなどでは55%(同じく1単位=10円×〔1+0.2×0.55〕=11.10円)▼通所介護や特定施設入居者生活介護などでは45%(同じく1単位=10円×〔1+0.2×0.45〕=10.90円)―と設定されています。厚労省老健局老人保健課の鈴木健彦課長は、2017年度の介護事業経営実態調査を特別集計して、サービスごとの人件費割合を精査し、上記の割合を見直すべきか否かを検討する考えを示しています。改定率、「プラス」求めるサービス提供側と「マイナス」求める費用負担側とで対立 なお、10月27日の分科会には、2017年度の介護事業経営実態調査結果が報告されました。委員からは改定率に関する意見が出ました。サービス提供側委員(鈴木邦彦委員:日本医師会常任理事、稲葉雅之委員:民間介護事業推進委員会代表委員ら)からは「経営状況は非常に厳しい、2015年度に続く連続のマイナス改定は許されない」といった見解、費用負担者側委員(本多伸行委員:健康保険組合連合会理事、安藤伸樹委員)全国健康保険協会理事長ら)からは「介護保険の持続可能性や、2016年度の臨時改定を踏まえ、マイナス改定とすべき」との見解が出ています。改定率は年末の予算編成過程で議論され、12月中から下旬に決定となります。>
 
時事通信「生活援助ヘルパー、資格要件緩和=訪問介護の新研修創設へ-厚労省」(https://www.jiji.com/jc/article?k=2017103001275&g=eco)。<以下引用>
<厚生労働省は30日、訪問介護サービスのうち料理や洗濯などの家事をする「生活援助」のヘルパーについて、資格要件を緩和する方針を決めた。短期間で資格を取得できる研修制度を2018年度に創設する。11月1日に開かれる社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の分科会で提案する。現在、訪問介護ヘルパーの資格を得るには、約130時間の介護職員初任者研修を受けることなどが条件。厚労省は、生活援助に限って資格取得のハードルを下げ、不足しがちな介護人材をより多く確保したい考えだ。一方、訪問介護のうち排せつや入浴を介助する「身体介護」については、報酬面でも生活援助との差をさらにつけて手厚くする方針だ。生活援助の報酬は引き下げられる可能性もある。>
 
介護給付費分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126698)の議論が進んでいる。財政制度分科会(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の資料(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia291025/01.pdf)p67「先⾏実施した+1.14%と平成30年度改定の合計が次期介護保険事業計画の保険料負担に直結することから、保険料負担の増を極⼒抑制する観点からは平成30年度改定においてマイナス改定が必要。」、p70「保険者機能の強化に向けた取組の⼀環として、例えば、⼀定の回数を超える⽣活援助サービスを⾏う場合には、多職種が参加する地域ケア会議等におけるケアプランの検証を要件とするなど、制度趣旨に沿った適切な利⽤の徹底を図るべき。また、⼀定の間隔を空ければ1⽇に複数回所定の報酬を算定可能な現⾏の報酬体系は、必要以上のサービス提供を招きやすい構造的な課題を抱えていることから、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」とのバランスも踏まえ、例えば、1⽇に算定可能な報酬の上限設定など、「⾝体介護」も含めて訪問介護の報酬の在り⽅を⾒直すべき。」、p71「⾼齢者向け住まいに居住する者の在宅サービス利⽤については、必要以上にサービスが提供されないよう、例えば「特定施設⼊居者⽣活介護費」とのバランスも考慮し、報酬を算定できる回数の上限を設定するなどの対応を検討すべき。」、p72「通所介護について機能訓練などの⾃⽴⽀援・重度化防⽌に向けた質の⾼いサービス提供がほとんど⾏われていないような場合には、事業所の規模にかかわらず、基本報酬の減算措置も含めた介護報酬の適正化を図るべき。」、p73「地域医療構想の⽅向性と整合的に療養病床の転換を進めるとともに、効率的な医療・介護サービスの提供体制を構築するため、患者の状態像にそぐわない20対1病床への転換の防⽌のための医療必要度の要件の厳格化等や、介護医療院について、⼈員配置や費⽤⾯での効率化が進むよう報酬・基準を設定するとともに、療養病床の⼊院患者のうち医療の必要度の低い患者については、在宅医療等で対応を進めるような改定内容とすることを検討すべき。」、p74「介護費の適正化などに向けた財政的なインセンティブとして、客観的な指標に基づき⾃治体に対して財政⽀援を⾏う新たな交付⾦を創設することとなっているが、全⾃治体の取組みの底上げを図るためには、あわせて現⾏の調整交付⾦の活⽤によるインセンティブも必要。新たな交付⾦とセットで、調整交付⾦を活⽤したインセンティブの仕組みを導⼊すべき。」、p76「今後、介護費の地域差を縮減に向けて保険者機能を強化していくことが必要であり、在宅サービスについても総量規制や公募制などのサービスの供給量を⾃治体がコントロールできる仕組みを導⼊すべき。」、p77「今後、更に在宅での介護サービスを利⽤者が増加していく中で、在宅と施設におけるその負担の公平性を確保するためには、補⾜給付については、さらに要件等について⾒直しを検討する必要。」、p79「今後、総合事業については、さらに多様な主体によるサービス提供に移⾏していく必要があり、その移⾏状況も踏まえながら、改⾰⼯程表に基づき、軽度者に対する⽣活援助サービスなどの更なる地域⽀援事業への移⾏を進めていく必要。」とあった。最大の注目は、来年度からの介護保険者インセンティブの制度設計であろう。
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精神障害者の地域移行

2017年11月02日 | Weblog
キャリアブレイン「【中医協】精神病床の退院先に特養・老健追加へ 精神保健福祉士配置加算などの要件緩和」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20171018164026)。<以下一部引用>
<中央社会保険医療協議会(中医協)が18日に開いた総会で、厚生労働省は、精神病床の長期入院患者が高齢化していることを受け、精神病棟入院基本料の精神保健福祉士配置加算と精神科救急入院料の退院先(地域への移行先)の要件を緩和する案を示し、大筋で合意を得た。入院日から1年以内の退院先として、現在の自宅や精神障害者施設に加え、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)を追加する見通し。■1年以上の入院、65歳以上の高齢者増加 厚労省によると、精神疾患による入院患者(約28万5000人)の在院期間は、1年以上が約18万人で、このうち5年以上が半数超を占めている。1年以上の入院患者は減少しているが、65歳以上の高齢者に限ると増加している。疾病別では、統合失調症の入院患者が最も多いが、認知症の入院患者が「微増傾向にある」としている。>
 
中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)の「個別事項(その4:精神医療)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000180987.pdf)p36「入院期間が1年以上の患者は減っているが、65歳以上の高齢者に限るとその数は増加している。」は強く認識すべきで、p41~42「精神病床における入院患者の地域移行に関連した主な評価」がそれぞれの地域でどうなっているか、把握しておきたい。内閣府の経済・財政と暮らしの指標「見える化」ポータルサイト(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/mieruka/index.html)には都道府県、二次医療圏、市町村別(医療機関所在地)の精神医療関係のSCR(年齢調整レセプト出現比)が出ていることは常識としたい。さて、内閣府「障害者政策委員会」(http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/)の資料「欧州諸国との比較からみる我が国の精神科強制入院制度の課題」(http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/k_25/pdf/s1.pdf)p2「認知症の人の精神科入院(医療保護)の急増」、論点(http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/k_26/pdf/s1-4.pdf);p4「認知症に関しては、精神科医療での社会的入院の実態が容認されているが、その状況を改める必要がある。」とあり、以前の厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000046397.pdf)p5「1年以上精神病床に入院している75歳以上の精神疾患患者の47.3%が認知症」とあった。「認知症患者の精神科病院への非自発的入院」が普遍化しており、精神科病院の一部には療養病床のようなところもみられるであろうが、これは目指すべき「地域包括ケア」の姿ではないであろう。第7次医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の「精神疾患」に関して、精神疾患の数値目標(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000159905.pdf)には、地域移行に伴う基盤整備量もあり、これは市町村の介護保険事業計画、障害福祉計画とも絡んでくる。「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築支援情報ポータル」(http://mhlw-houkatsucare-ikou.jp/)の資料(http://mhlw-houkatsucare-ikou.jp/meeting01data/sysbuildermeeting01_ref1-2.pdf)p38~39「市町村計画における地域移行に伴う基盤整備量の調整」はどうなるか、p57「新630調査」の「秋(予定)都道府県に医療計画策定に資する集計値提示」も気になる。資料(http://mhlw-houkatsucare-ikou.jp/meeting01data/sysbuildermeeting01_ref1-2.pdf)p39「都道府県は、平成32年度末の長期入院患者の地域移行に伴う基盤整備量(利用者数)を推計し、都道府県内の市町村と協議しながら、市町村ごとの必要量を提示する」について、想定される方法論の一つとして「長期入院患者の住所地に応じて地域移行に伴う基盤整備量を按分」もあり、p57「新630調査」では市町村ごとの長期入院患者数が出てくる。国立精神・神経医療研究センター「精神保健福祉資料」(http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/data/)では「新精神保健福祉資料平成29年速報版2017年11月公表予定」とある。障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai.html?tid=446935)の共生型サービスに係る報酬・基準(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000176729.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000176736.pdf)の行方も注目される。介護給付費分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126698)でも共生型サービス(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000170288.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000170292.pdf)が協議されている。
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厚生年金未加入対策が必要

2017年11月02日 | Weblog
東京新聞「<年金プア 不安の中で>非正規労働者 保険料払えず滞納 老後破綻、激増の恐れ」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201711/CK2017110202000193.html)。<以下引用>
<20~30年後に、無年金や年金受給額が低い高齢者が激増するとの懸念が、年金制度に詳しい学者や社会保険労務士の間で広がっている。この十数年間で、アルバイトや派遣社員などの非正規労働者の割合が急上昇。低賃金の労働者が増え、国民年金の保険料を滞納するケースが目立つからだ。典型的なワーキングプア(働く貧困層)の男性の生活状況をもとに考えてみた。「年金をあてにすることはありません。ずっと働くしかありません」。東海地方のアパートで一人暮らしをする四十五歳の派遣社員の男性に老後について尋ねると、顔を曇らせた。老齢基礎年金は、保険料を納付した期間(免除期間を含む)が通算で十年に達しないと受給資格が得られない。自らの納付期間について、男性は「保険料を納めた記憶はない。納付期間も分からない」と投げやりな口調。公的年金保険料の納付済み期間などが記載された「ねんきん定期便」が毎年自宅に届くが、いつもすぐにごみ箱に捨てていたという。男性を説得して、日本年金機構に問い合わせてもらったところ、納付期間は三年だった。年金を受給するためには今後七年間、公的年金の保険料を納める必要がある。男性は東北地方の高校を卒業後、大学に進学。しかし家庭の事情で二年で中退し、製鉄所で働き始めた。その後、さまざまな工場を転々とし、現場作業員として働いてきた。雇用形態は主に派遣社員で、所属する派遣会社もいくつか変わった。雇用が安定する正社員を目指したこともあったが年齢がネックとなり、かなわなかった。派遣社員の場合、契約内容によっては厚生年金に加入義務が生じる。男性によると、所属した派遣会社のうちの一社との契約がそれに該当した。その会社に所属した三年間は公的年金の保険料が給料から天引きされていた。今の仕事は時給が約九百五十円で、月収は約十六万円。派遣先までの交通費は自腹になることが多く、一カ月当たりの負担は約二万円になるという。それに税金や国民健康保険料、介護保険料、家賃を差し引くと、手元に残るのは約七万六千円。月額約一万六千五百円の国民年金保険料は重く、「とても支払えない」と男性はこぼす。現在所属している派遣会社から厚生年金への切り替えを勧められているが、負担が増えるという理由で断っているという。食費などを切り詰めて節約生活を送る男性の楽しみは、週に一回、自宅近くの大衆居酒屋に顔を出すことだ。「楽しみはこのくらい。将来のことを考える余裕はありません」。そう話すと、コップについだビールをグイッと飲み干した。◆正社員化など賃金底上げを この男性のような年収二百万円以下の労働者は大幅に増えている。国税庁による民間給与実態統計調査によると、年収二百万円以下の給与所得者は二〇一六年は千百三十二万人と、八百五万人だった一九九六年の約一・四倍。また、総務省統計局の労働力調査によると、役員を除く雇用者全体に占める非正規労働者の比率もこの二十年間で、約22%から約38%に上昇している。収入が低いと、国民年金保険料の納付は大きな負担となり、滞納につながることが多い。厚生労働省が実施した一四年の国民年金被保険者実態調査によると、国民年金保険料の滞納者は全国で三百六十八万人。滞納理由については「経済的に支払うのが困難」が約72%で圧倒的に多かった。東京のファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の高伊茂さんは「非正規労働者の正社員化を進めるなど、労働者の待遇を向上させることが不可欠。年金保険料を納められるような賃金底上げがないと、年金プア予備軍は減らせない」と指摘する。>
 
以前、キャリアブレイン「非正規雇用で生活保護20兆円-シンクタンク試算」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15814.html)も出ていた。第二次ベビーブーム世代の高齢化も意識したいところかもしれない。日本年金機構(http://www.nenkin.go.jp/)から「必要な資格期間が25年から10年に短縮されました」(http://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2017/20170801.html)が案内されているが、全国健康保険協会運営委員会(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat720/h28/dai83kai/290131)の資料「協会けんぽの適用状況の分析」(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/direction/dai83kai/2017032311.pdf)p8「平成27年度以降に加入した協会けんぽ被保険者の状況」では、加入指導により適用となった事業所数は、平成27年度 92,550件、平成28年4~9月 58,727件とあったことは認識したい。協会けんぽ未加入対策は、国保の適正化ばかりでなく、厚生年金未加入による将来の「生活保護の適正化」の観点からも重要であろう。働き方改革(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/)が注目されているが、勤務者の権利を守るため、この際、厚生年金未加入対策もセットで推進すべきと感じる。しかし、懸念されるのは非正規だけではない。生活困窮者自立支援及び生活保護部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=443308)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000164399.pdf)p14「内閣府関係調査;広義のひきこもり状態にある者54.1万人、狭義のひきこもり状態にある者17.6万人」「厚生労働省関係調査;ひきこもり状態にある世帯数約26万世帯」とあった。将来を見据えて、ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000006i6f.html)に基づく対応を推進する必要があるように感じる。ところで、以前、The Huffingtonpost「年金給付の減額「あり得る」 安倍首相が株価下落の影響に言及」(http://www.huffingtonpost.jp/2016/02/15/pension-reduction_n_9234772.html)と報道されていたが、年金積立金管理運用独立行政法人;GPIF(http://www.gpif.go.jp/)からの年金の運用実績公表にも注目すべきかもしれない。「2014年10月に国内外株による運用比率を50%に倍増」(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/184893)の影響はまさにこれからかもしれない。
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