リスペクト(事例紹介)コラムです。
また、パフォーム・グループばなしです。早くダ・ゾーンを拝見したいですね。先日、ヤフーだったかでナンバーWEBで面白い記事を見かけました。経営コンサルで現在Jリーグ理事を務める並木裕太氏(㈱フィールドマネジメント)のコラムです。以下、抜粋して紹介。
【放映権料が上がった背景と使い道。 コンサルがJリーグの分配を考える】
先日のJリーグと、パフォームグループが提携を発表。放映権料で来年度以降の10年間は、年平均で約210億円となり、制作費など諸条件を考慮に入れない単純計算ではいっきに7倍に。なぜ、このような大型契約が実現したのか。そして、大きな原資を手にすることとなったJリーグはこれからどう変わっていくのか。Jリーグの理事として、あくまで個人的な見解。
〔「放送ではなく、通信で」スポーツを届ける〕
放映権料がこれほど高騰したのは、もちろんそれだけの投資価値があると判断されたからであり、それに加えて、パフォーム側の“ある事情”が高額契約を後押ししたのではないかと想像。パフォームは、米投資会社アクセス・インダストリーズの傘下に所属し、企業活動を通して、未来にわたって自社の事業価値が向上していく筋道を示すというミッションを保持。そのビジネスの根幹は、スポーツを「放送ではなく、通信で」届けること。それはDAZNのブランドコンセプト「DAZNがルールを変える 好きなスポーツをいつでもどこでも楽しめる自由を全てのファンに」に示されている通り。
パフォームは、サッカー情報サイト「GOAL」や、スポーツニュースに特化した「ePlayer」と称する映像配信サービス等で、世界中で事業を展開。「スポーツのライブ映像を放送から通信に切り替えていく」というアジェンダを強く印象づけながら実現できる国は、実はそう多くないのではないか。
〔DAZNがJリーグを選んだ、積極的、消極的な理由〕
アメリカの4大スポーツは放送ではないネット中継のDAZNに移行するというのは非現実的であり、欧州サッカーも競合が多く、放映権はすでに高騰。スポーツ視聴文化の成熟した国で、放映権を手に入れ、放送から通信へとシフトさせていく作業は、リーグと放送局の関係性や資金面などの理由により非常に困難。さらにパフォームが事業を展開していく上で、その市場が整備された通信網を有していることも重要な条件。
通信網の発達した経済大国・日本は、自社の革新性をアピールしつつ成功例をつくりあげ、今後のグローバルな事業拡大への第一歩を刻む市場としてうってつけだったのではないか。また今回、競合したソフトバンクがBリーグにネット放映権込みのスポンサー契約で4年総額120億円(推定)を支払うという金銭感覚を見せつけられたパフォームは、Jリーグの価値算定をやり直すことになったとも予測。
〔地上波やBSはこれまで以上に制限される可能性〕
今回の契約により、来季以降のJリーグ中継の視聴方法はインターネットを介したDAZNが中心に移行したが、試合数は限定的ながら、別個の契約に基づいて地上波や BSで放送される試合はあるはず。パフォームがサブライセンスを与えることによって、「スカパー!」でも視聴できる可能性もあるが、あくまでパフォームの判断次第であり、DAZNの浸透を図りたいパフォームとしては、「放送」を介した中継試合数に一定の制限をかける事も予想。そして本質的な問題は、今回の放映権契約によって大幅な増収を約束されたJリーグが、その資金をどう活用するか。
〔リーグ戦で上位に入ったクラブに手厚い分配も?〕
各クラブへの分配金の均等な増額や、大物選手・監督の招聘などの考え方があるが、個人的には、トップクラブへの集中分配が面白そう。例えばJ1クラブへの分配金を現在の約2億円から3億円に、J2やJ3クラブへの分配金も一定程度ベースアップした上で、残りの資金をJ1年間王者と天皇杯優勝チームの2クラブに思いきって分配するアイディア。バルサやレアルのような、アジアや世界の強豪と渡り合えるクラブをつくりだし、リーグ発展の牽引役となってもらうため。
しかし、特定のクラブに一極集中的に資金を分配する案がすぐには受け入れられがたいのも事実。そこで「トップクラブへの分配金に厚みをもたせる」、「下位クラブも躍進を果たすための原資を手に入れることができる」、この2つを両立させるような資金分配のあり方を考えてはどうか。
〔同じ2億円でも、クラブによって価値は違う〕
最初は平等分配からスタート。受け取れるのは同じ金額でも、予算規模の小さいクラブほど、ブースト効果は大きく作用。昨年度の売上が60億円超でトップだった浦和と、15億円あまりで17位だった湘南とでは、たとえば同じ2億円でも、その経営的なインパクトは別物。もし昨年の湘南にあと2億円の予算があれば、主力メンバーの移籍に歯止めをかけることが可能。
均等分配の恩恵を原動力として、下位から上位へと居場所を変えるチームが出てきてほしいというのが1つのシナリオ。それを前提に、3~4年後には均等分配をやめて、例えばACL出場権を獲得した4クラブへの重点的な分配に移行。3年前は下位に喘いでいたチームがトップ4に食い込んでくれば、ここでさらに大きな資金を手に入れ、チーム力をより充実させることが可能。そのチャンスをJリーグが意図的に用意。
〔契約金額に見合う成果を出さなければいけない〕
ドイツで、王者バイエルンと、下位から復活したドルトムントがいい事例。トップも下からも潤う。そんな日本版バイエルンと日本版ドルトムントのようなクラブが、アジアでも活躍するようになるとJリーグのコンテンツとしてのパワーも増大。
パフォームとの契約金額の大きさは、彼らの期待の表れであると同時に、Jリーグに課された大きなプレッシャー。コンテンツとしてどう成長を果たし、大型契約に見合った結果をどう出していくのか。今後Jリーグで議論を重ね、未来につながる投資をしていかなければならないと締めくくっています。
Number WEB該当ページ:http://number.bunshun.jp/articles/-/826209
という内容でした。今回の大型契約は本当にJリーグが試されていると思います。この10年間でJリーグがどう進化できるか、パフォーム・グループはじっと凝視していくでしょう。そして、何も進歩がないと認識したらすぐに違う国のリーグに資金を移していくでしょう。その資金をどう使うかですが、日本のメジャークラブ構想はかなり以前から言われていましたが、どうでしょうか。そんなに簡単にいくでしょうか。意図的に偏る事で「どうせ優勝はあそこだろ」とマンネリ感が生まれ、客離れにつながらないでしょうか。その辺りはちょっと気にしています。
並木氏は活躍中の経営コンサルであり、本物の経営分析ですね。現Jリーグでもあり、個人的に安心して読めるコラムです。ネットではいろいろなコラムがありますが、当ブログとしてはしっかり厳選して紹介していきたいと思います。ちょっと並木裕太氏を紹介してみましょう。
【並木裕太氏】
慶大卒業後、ペンシルベニア大ウォートン校でMBAを取得。'00年にマッキンゼー・アンド・カンパニー入社。'09年に独立、㈱フィールドマネージメントを設立。 日本を代表する企業の戦略コンサルタントを務め、'15年に、MBA母校のウォートン校より、 40歳以下の卒業生で最も注目すべき40人として日本人で唯一ウォートン40アンダー40に選出。
スポーツ分野では、プロ野球オーナー会議へ参加、パ・リーグのリーグ・ビジネスや多数の球団でチームビジネスをキーマンとともにつくり上げており、 サッカーではJ1湘南の取締役を務めた後に、Jリーグの理事として、リーグ・ビジネスの発展に邁進。他にもアマチュアの役職も務め、プロアマ問わず、日本のスポーツビジネス発展に尽力。
並木氏はJリーグの理事の前は湘南さんの役員だったのですね。ならば、Jリーグ百年構想も熟知されており、スポーツ文化の浸透とスポーツビジネスの両立ができている方なのでしょう。アメリカナイズされた方がおられたら、湘南さんで一からJリーグ百年構想や、ドイツのスポーツシューレを勉強されてはいかがかと。それが嫌ならBリーグで力を発揮されてはいかがでしょうか。2、3年前に「茹でガエル」騒動が起こり、今に至っていますが、村井チェアマンの就任とともに、おかしな図式から徐々に改善されている気がします。それにしても、早くDAZNを観てみたいですね。
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