事例紹介コラムです。
おととい、ビッグなニュースが飛び込んできました。来シーズンから巨額な放映権料がJリーグに入る事になったそうです。まずはスポニチの情報。
【J来季放映権は年間130億円 パフォームと複数年契約へ:スポニチ】
Jリーグが17年シーズン以降の放映権について、世界最大手のデジタル・スポーツコンテンツ配信会社パフォーム(本社ロンドン)と契約を結ぶ方針を固めたことが判明。複数年で推定年間130億円の大型契約になる見通し。’12~’16年の5年契約を結ぶスカパー!との契約は年間30億円で、4倍以上の放映権収入増の見込み。
イギリスに本社があるパフォーム社はスポーツを軸とした動画コンテンツ配信と動画広告で世界最大規模の規模。’07年の設立から事業を拡大し、世界40カ国以上でサービスを展開。世界最大のサッカー情報専門サイト「GOAL.com」、NBA日本公式サイト「NBA.co.jp」、米国プロゴルフツアーの日本公式サイト「PGATOUR.COM」などを運営。
関係者によると、スペインリーグやプレミアリーグの放送権を取得したソフトバンクもJリーグに興味を示していたが、条件面で上回るパフォーム社がNTTグループと組んで契約。スカパー!はパフォームから放送許可を得るサブライセンスを取得して来季以降も中継を続ける方向で調整。JリーグはACLで苦戦しているが、Jリーグから各クラブへの配分金の原資である放映権料が膨らめば、高年俸選手の獲得など活性化を期待。
スポニチ該当記事:http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2016/06/09/kiji/K20160609012748270.html
このニュースを知ってからずっと考えています。どうなのかと。確かにスポンサー収入が増えるのはいい事だが、本当のところどうなんだろうかと。続いて、日刊スポーツの情報です。推定金額(今季も)が微妙に違っていますね。以下、抜粋して紹介。
【J放送権料倍増500億円 英企業と5年大型契約へ:日刊スポーツ】
Jリーグが、年間100億円の放送権料契約を結ぶことが判明。英国のパフォーム・グループを中心にNTT、スカパー!を加えて、100億円×5年の推定総額500億円の大型契約を結ぶ見込み。今季の放送権料収入は50億円。増額分は、世界のスター選手や名監督の獲得資金に充て、J全体の活性化とレベルアップを推進。
今季でスカパー!との放送権契約が切れるJリーグは、昨年末から契約先を選定。パフォーム・グループと大筋で合意し、NTTとスカパー!を加えて、地上波、ネット、海外版権など、年単位では倍増となる100億円の5年契約で放送権の包括契約を締結。高額契約は、Jリーグの価値が認められた証し。
この契約は、Jリーグの活性化につなげる狙いもあり、放送権料の正式契約を結んだ後、原副チェアマンを中心に発足するプロジェクトチームで、Jクラブが有名選手、名監督と契約する際に、J事務局もしくは関連会社が契約金の一部を負担する、特別ルールを構築する予定。
Jリーグは、有望選手の海外進出などで空洞化が進み、同時に不景気の影響などで、海外からのスター選手の移籍が激減。現在は中東や中国マネーに太刀打ちできず、ACLでも低迷している状態。
〔主な海外の放送権料〕
・プレミアリーグ 来季から3年契約で1年あたり間で約4,300億円。
・スペインリーグ 来季から3年契約で1年あたり約1,103億円)。
・ブンデスリーガ 来季の1年で約1,040億円。
・セリエA 今季の1年で約1,460億円。
・MLB 全国放送は3社で1年平均約1,650億円。各球団の各地テレビ局との契約もあり、ヤンキースは約424億円。
・NBA 2社で年間約1,020億円。
・NFL 7年間契約で1年あたり約785億円。
・NHL NBC社が10年契約で1年あたり約220億円。
日刊スポーツ該当記事:http://www.nikkansports.com/soccer/news/1660293.html
【パフォーム社とは】
'07年英国で設立。様々なスポーツのデータや映像などのコンテンツを提供する英国の会社で世界最大の規模。'11年にサッカーサイト「Goal.com」を買収した後は、データを扱う「Running Ball」や「Opta Sports」も買収して規模を拡大。現在ではスペインやドイツなど欧州以外にも日本、米国、ブラジルなど全世界24カ国で動画を提供。スポーツニュース映像に特化した動画プレーヤー「ePlayer」は世界の有力メディア1,200サイトで採用され、年間120億回近い再生で利用。昨年1月にロイター通信と動画コンテンツ領域における包括的なパートナーシップを締結。
という内容でした。年間100億円というのはジャンプアップであり、3大欧州リーグの放映権を持ってる会社と契約できるのはいいですね。Jリーグでは有名外国人選手の獲得時に、契約金の助成制度を設けるそうですね。これはJクラブがACLで強くなるための施策に見えます。他国の放映権料と比べたら1/10とかですが、それはしょうがないか。という事で当ブログなりに気になる点を並べてみました。
①ソフトバンクを断り、パフォーム社がNTTと組んでいる点
今もスカパー!をスマホで視聴できますが、ソフトバンクと契約せずにドコモと契約するというのは「違和感」があります。本来ならば、どの携帯メーカーとも等しく契約会社に入れるべきではなかったのではないでしょうか。本当に、ファン・サポーターの事を考えていたのでしょうか。
②契約時期について
どうしてこのタイミングなのかとずっと思っていたところ、一つの考えに行きつきました。日本では4年後五輪があります。その上での5年契約。五輪や日本代表での映像とは直接関係ないですが、パフォーム社がそういう部分を意識したのかもしれません。という事は5年後契約を継続してもらえるのか、ダメな場合の反動を考えると怖いですね。
③有名外国人選手の契約助成制度について
ルールを決めてうまくやらないと、クラブ間で後指を指される格差が発生し、リーグの低下につながります。そこは原副チェアマンの手腕にかかっています。メガクラブができるのはいいですが、「どうせ優勝はあそこでしょ」と魅力低下につながっていかないでしょうか。本当に面白いのはサプライズ。この前のレスターの優勝がいい例ですね。まあ、プレミアでも奇跡が起こっているので、日本にメガクラブができてもジャイキリが起こるかもしれません。
④Jリーグ百年構想から更に距離が開いてしまう懸念
今でも距離が開いていると思います。リーグ自体が売上・利益主義に偏重している傾向が感じられ、公共財から単なる興業会社にどんどん偏向していく印象があります。「公益社団法人」という公益法人なので、昔に戻って公共の福祉の精神(社会貢献活動、地域貢献活動)をもう一度見つめなおし、Jクラブにもしっかりその部分を指導すべきではないでしょうか。
そんなところです。全体的にはいい話ですが、なにぶん初めての事なので、舵取りの責任が問われると思います。ブンデスリーガをお手本にしてはどうかと思います。同じ有名外国人選手でも、ドイツでは若手を中心に獲っており、クラブはしっかり公共財として機能していると思います。それにしてもドコモだけと契約するというのはどうなんだろと、やっぱ思います。そうこうしていると、この秋にBリーグが開幕し、ソフトバンク(スポナビ)で、プラス500円負担で全試合中継します。'93年に停滞したプロ野球のようにJリーグがならないかとちょっと気にしています。
パフォーム社公式HP:http://eplayer.co.jp/
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