『くものちゅいえこ』(森川成美作・佐竹美保絵・PHP研究所)
森川成美さんの単書でのデビュー作です。
「ちゅいえこ」というのは、くもの女の子の名前です。この不思議な名前のくもの女の子を、佐竹さんの絵が、とても見事に表現されています。
凝り性の彼女は、古道具屋に置かれた古い扇風機に丁寧にうつくしく網をはります。
ところがある日、訪ねてきたお客さんに、その扇風機が売られてしまうことに。
命からがら逃げ出したちゅいえこが、次に逃げ込んだ場所は・・・。
翻訳童話のような,洗練された語り口で、古道具屋というシチュエーションで、総明で勇気のある、そして几帳面な「ちゅいえこ」というくもの女の子の様子を生き生きと描きだしています。
そこに、扇風機と古時計との関係性を、ハラハラドキドキさせながら楽しませてくれています。
とても上質な、幼年童話に仕上がっています。
『林業少年』(堀米薫作・スカイエマ絵・新日本出版社)
読みながら,後藤竜二の『故郷』(偕成社)を思い出していました。堀米さんにとって、この家族は必ずしもご自身のご家族がモデルではないかもしれません。
しかし人物形象のディテール,描写、そのひとつひとつに、モデルではないかと思うくらいのリアリティを感じました。
我が子のように慈しみ、家族から「金食い虫」と揶揄されながら、それでも長い年月をかけて育てあげた、山の樹齢数百年の木の一本の値段がそんな安いとは!
「相対」と言われる向き合い交渉しあう瞬間の緊張感。
家族みんなで見守る中で木を切り落とす瞬間。
そして馬がその木をひいて山からおりていく瞬間。
それらの描写は、圧巻です。
堀米さんの、働くことへの誇りと畏怖。そして家族への信頼感が、まぶしいくらい生き生きと描かれています。
皆さま、この2冊、どうぞお読みになってください。
お忙しいのに、拙作を読んでくださってありがとうございました!過分なご紹介、恐縮です。おっしゃるとおりです、何より佐竹さんの素晴らしい絵に助けていただきました!
こんなに毎日読む方の多いブログに書いていただき、感謝です。きっとたくさんの方が興味をもってくださることとと思います。
この度は『くものちゅいえこ』のご上梓おめでとうございます。
シチュエーション選びが成功していますね。
ロマンがあります。
そして、「ちゅいえこ」、森川さんを彷彿とさせる、几帳面で、聡明なくもの女の子。
上質な幼年童話の誕生ですね。
次のご本のご出版共々、お祝い会も楽しみにしております。
おめでとうございました☆
この度は『林業少年』のご上梓おめでとうございます。
労働を通して家族の絆やつながりを深め、そして子どもたちそれぞれが、自らのアイデンティティを確認していく様子を拝読していたら、後藤さんのお顔が浮かびました。
堀米さんの作家としての強さはそこだとあらためて思いました。
堀米薫でなければ書けない世界を、お持ちでいらっしゃることにまぶしい思いです。
ぜひこれからもそう言った世界を拝読させてください。