その10「爆ぜる 後篇」はこちら。
第一シーズンのオンエアが高視聴率で推移し、ほぼ一年後に劇場版ガリレオである「容疑者Xの献身」が封切られる。その初日にスペシャルとして放映されたのがこのエピソード0。メディアミックスですな。
構成はなかなか凝っていて、大学時代の草薙にかけられた容疑を湯川が晴らす流れと、刑事となった草薙に湯川が初めて協力するストーリーがリンクしている。
湯川と草薙はもちろん福山雅治と北村一輝だけれど、大学時代はそれぞれ三浦春馬と佐野和真が演じていて、特に三浦春馬がすばらしい。例のフレミングの左手の法則っぽいしぐさも決まっている。福山とはルックスも似ているし(そう見えるんですよ実際)、アミューズの先輩後輩だし。
オトナ版の事件は、海辺に住む血の繋がっていない父娘(追悼蟹江敬三&香里奈)のところへ、放蕩息子があらわれ、生活をかき乱す。息子の住む離れが突然発火し、焼死する。室内には他に誰もいないので一種の密室殺人である。
大学生版は、ピザを配達した草薙が、死んだ女性の部屋に最後に訪れたことで殺人の容疑がかけられる。同じバドミントン部の、変わっているけれども天才だと評判の湯川という学生に救いを求めるというもの。
ガリレオファンへのサービスがてんこ盛りだ。大学には数学の難問を考え続ける青年(「容疑者Xの献身」の石神だろう)がいるし、学食のBランチやまずいインスタントコーヒーが大好きという湯川の嗜好がむかしからのものだとわかる。
このドラマがすばらしいのは、どちらの事件にも、表層の解決よりももっと深い真相がかくれていること。親子の情愛や、再現性のない実証などなんの意味もないと語る湯川の(ぶっきらぼうながらも)あたたかさが泣かせる。
ただねえ、湯川の生徒である長澤まさみは完全に浮きまくり。恋愛ベタな理系学生というキャラは、およそ彼女のものではなかった。
セカンドシーズン第一回「幻惑す(まどわす)」につづく。