極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

沸騰大変動時代(七)

2024年04月11日 | 光還元触媒

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え
(戦国時代の軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編の
こと)と兜(かぶと)を合体させて生まれたキラクタ「ひこにゃん」。

❏ 新しい種類の抗生物質を発見
多剤耐性菌に対して強力な活性を持つ全く新しい種類の抗生物質が
スウェーデンの研究チームによって発見された。

抗生物質は現代医学の基礎。 過去 1世紀にわたって、世界中の人
々の生活を変えてきた。今日、抗生物質を当然のことと考える傾向
があり、細菌感染症の治療や予防のために日常的に使用されている。
これには、たとえば、がん治療、侵襲的手術、臓器移植中、母親や
早産児への感染も含まれる。しかし、抗生物質耐性の増加により、
その有効性が脅かされている。 研究では、抗菌薬耐性による死亡数
が2050年までにがんによる死亡数を上回る可能性があると予測されて
いる。既存の耐性が存在しない新規治療薬の開発が不可欠。今月、ス
ウェーデンのウプサラ大学の研究者らは、国際協力の一環として開発
された新しい種類の抗生物質について説明した研究結果を米国科学ア
カデミー紀要に発表。 彼らが説明する化合物のクラスは、グラム陰
性菌がリポ多糖として知られる環境からの防御の最外層を合成する経
路で使用されるタンパク質、LpxH を標的としている。 すべての細菌
がこの層を生成するわけではありませんが、生成する細菌には、すで
に耐性を獲得している大腸菌(E. coli)や肺炎桿菌など、新しい治療
法を開発するのに最も重要であると世界保健機関によって特定された
微生物が含まれている。 

研究チームは、この新しい種類の抗生物質が多剤耐性細菌に対して
非常に活性があり、マウスモデルで血流感染症を治療できることを示
し、その可能性を示し。重要なのは、この化合物クラスは完全に新し
く、タンパク質 LpxH は抗生物質の標的としてまだ利用されていな
いため、このクラスの化合物に対する既存の耐性は存在しない。 こ
れは、現在臨床開発中の既存のクラスの多くの抗生物質とは対照的。
これらの結果は非常に有望ですが、科学者らは研究が初期段階にある
ことを強調する。このクラスの化合物がヒトでの臨床試験に使用でき
るようになるまでには、かなりの追加作業が必要となる。この初期段
階は、製薬会社グラクソ・スミスクラインの支援を受けたENABLEと
して知られるEUプロジェクトの一部を形成し、ヨーロッパ全土から学
術界および商業的利益を代表する利害関係者を集め、リソースと専門
知識を共有した。この抗生物質クラスは現在、スウェーデン研究評議
会などの機関から資金提供を受け、ENABLE-2 と呼ばれる後続プロ
ジェクトで開発が続けられている。




図1.A) 経路における LpxH の配置を強調した、グラム陰性細胞壁
と Raetz Kdo2-Lipid A 生合成経路の酵素の概略図 (13)。 明確に
するために、LpxH 反応までに基質の末端リン酸に結合する UDP は図
から省略。 描かれた反応の生成物は Kdo2-リピッド A で、その後コ
アオリゴ糖で装飾され、内膜のペリプラズムに面したリーフレットに
反転され、O 抗原が追加され、最終的に外膜の外側リーフレットに向
けられている。 LPSを形成する(12)。 (B) LpxH (UDP-2,3-ジ
アシルグルコサミンヒドロラーゼ) はリピド A 合成の第 4 段階を触
媒し、UDP-2,3-ビス(3-ヒドロキシミリストイル) グルコサミンを加
水分解して 2,3-ビス(3-ヒドロキシミリストイル)- を生成します。 
β-D-グルコサミニル 1-リン酸 (リピド X) およびウリジン一リン酸

【掲載論文】
・Title:Antibiotic class with potent in vivo activity targeting lipopolysaccharide 
 synthesis in Gram-negative bacteria
・April 5, 2024 121 (15) e2317274121 in PNAS
https://doi.org/10.1073/pnas.2317274121

❏ 光で細胞の脂質シグナルを操り記憶を強化
人間の体は,ホルモンや神経伝達物質などの化学物質を使って細胞間
で情報を伝達している。これらの化学物質は「ファーストメッセンジ
ャー」と呼ばれ,細胞膜にある受容体に結合すると,細胞内に「セカ
ンドメッセンジャー」と呼ばれる別の化学物質を生成する。セカンド
メッセンジャーは,細胞内の様々な機能を制御する。光遺伝学を使っ
てセカンドメッセンジャーを制御することは可能だが,これまで,PIP2
と呼ばれる脂質からIP3とDAGと呼ばれるセカンドメッセンジャーを生
成する酵素「ホスホリパーゼ C」を直接光で制御する方法は存在しな
かった。
4月6日、山梨大学と東京慈恵会医科大学は,光で細胞の脂質シグナル
を自在に操る技術「光駆動型ホスホリパーゼCβ(opto-PLCβ)」を
共同開発を公表。



【展望】opto-PLCβは,記憶形成に関わる脳内のシナプス可塑性や,
神経細胞の興奮伝達を光で制御できるため,記憶形成のメカニズム解
明や,神経疾患の治療法開発に役立つことが期待される。さらにopto-
PLCβは,脳・神経科学だけでなく,様々な分野で応用が期待される。
研究グループは,例えば,光によって癌細胞の増殖を抑制したり,光
で遺伝子発現を制御したりすることが可能になるかもしれないとして
いる。
【掲載論文】
A light controlled phospholipase C for imaging of lipid dynamics and
 controlling neural plasticity

DOI: 10.1016/j.chembiol.2024.03.001 in :Cell Chemical Biology

❏ 光 触媒 メタンの変換:現状 アート、課題、そして将来の展望④
【要約】
3. メタン光変換性能を向上させる戦略
3.1. 半導体の設計 

3.1.2. ヘテロ原子ドーピング
ドーピングは、使用されるドーパントの種類に応じて、p 型ドーピ
ングと n 型ドーピングに分類できる。n型ドープ半導体およびp型
ドープ半導体は、それぞれホスト原子を電子豊富な置換物および電子
不足の置換物で置換することによって得ることができる。 TiO2 中の
これら 2 つの異なるタイプのドーパントが光触媒によるメタン変換
に及ぼす影響は、Zhang のグループによって研究されている 71。彼
らは、一連の n 型 (Nb、Mo、W、Ta) と p 型 (Ga、Cu、Fe) を合成
した。 ) ドープされた TiO2、メタンの非酸化カップリングに使用さ
れた。 n型ドーパントを含むTiO2は、p型ドーピングTiO2と比較して、
より高いメタン変換率を示しました(図44a)。 DFT 計算によって明ら
かになったように、n 型ドーパントは過剰な電子を TiO2 の隣接する 
Ti6c および Ti5c 原子に提供することができ、電子をメタンに移動
させることでメタン分子の分極と活性化を促進する (図 44b)。 さら
に重要なことは、C-C 結合の切断は、p 型ドープ TiO2 の脱着よりも
熱力学的に有利であり、活性サイトでの新しいメタンの吸着が妨げら
れ、結果としてメタン変換率が低下する。 逆に、C2H6 は C-C 開裂
反応を起こすのではなく、n 型ドープ TiO2 の表面から脱離する傾向
があり、高い C2H6 生成率につながった (図 44c)。


【関係論文】
・Title:Photocatalytic Conversion of Methane: Current State of the Art,
 Challenges, and Future Perspectives, in PMC

                       この項つづく

❏ 反強磁性体のスピン方向を電圧で制御:制御効率は従来材料の
   50倍以上
4月5日、大阪大学や名古屋大学、三重大学、関西学院大学および,
高輝度光科学研究センターの研究グループは、反強磁性体であるク
ロム酸化物薄膜を用い、スピンの向きを電圧で制御することに成功し
た。制御効率は従来の強磁性体に比べ50倍以上も高いことを確認した。
【要点】
1.強磁性体であるクロム酸化物(Cr2O3)において発現する電気磁
 気効果を用いて、磁性の起源であるスピンを電圧で制御することに
 成功
2.電圧(電界)によるスピンの向き(ミクロなN極-S極の向き)の
 制御効率を、従来材料の50倍以上増大させることに成功
3.低消費電力かつ超高効率にスピン制御が可能で、電圧で動作でき
 るナノスピン材料の開発指針を提示 

【成果及び展望】
反強磁性体は、次世代高速通信(Beyond 5G(6G))での利用が期待さ
れる磁性材料であり、その磁性を担うスピンの低消費電力・高速制御
が期待されています。今回の研究により、本来はマクロな磁化を持た
ない反強磁性体においても、電気磁気効果を利用することでそのスピ
ンを制御できることが明らかとなった。とりわけ、電圧によるスピン
制御が実現し、さらに、接合界面を用いた他の材料への展開も示した
ことは、低消費電力・高速スピンデバイスの実現に向けて、新たな道
を拓く。この成果は、電圧で駆動できるスピン材料の開発指針に関す
る重要な知見を提供するものであり、この知見に基づき材料探索を
進めることで、より高い性能を有する電圧駆動型のナノスピン
材料を見出すことができると考えているとのこと。
【関連論文】
Title:Giant gate modulation of antiferromagnetic spin reversal by the 
   magnetoelectric effect
DOI : 10.1038/s41427-024-00541-z
Paper: NPG Asia Materials vol. 16, article number: 20 (2024).


  今夜の映画 「誇り高き男」





彦根市は満開。ドライブイング。体調思わしくなく、デスクワークを
やめ町内の美化運動を開始する。効果があることがわかった。






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