湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

なにごとも無く

2020-09-14 18:47:01 | 
柴田秀子さんから新刊詩集「遠くへ行くものになる」が送られてきました。
静穏な雰囲気に微かな不穏や小さな不思議が漂う39編の詩の中から1編ご紹介します。

なにごとも無く

こんや 草の籠にねむる
つめも
かみも
まつげも 折りたたんで
ちっちゃく ねむる

マテバシイの実が
草葺きの屋根に 落ちる

間違い音を 数えつつ
ねむるスペースが 泥のように広がる
ドスッ
大きな実が落ちたのでは あるまいか
たまゆらのゆたかな刻が
また一つ 遠くへ走った
不測なことではない
こんやも
草の籠にねむるだけ
コメント
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