湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

猿の詩パート2

2015-12-19 20:56:17 | オリジナル
共通テーマ「猿」でAが書いた詩を投稿します。

猿とドーム

Ⅰ 今日の猿山

今日の猿山の頂上は
高くそそり立っている
遠く尖った頂きめざし
この春生まれた子猿が
はしこく登っていくのを
コンクリートの地面から見上げる

他人から見られていることを
意識したら駄目だ
一匹の雌猿から生まれてきたとき
何を命ぜられたのか
意識したら敗北だ

今日の猿山は温暖でまどろみを誘う
意識が蒸発していく
網目のドームの上空に
大気を不穏に揺るがせる音と
金属の反射が溶けている

Ⅱ 猿山の今日

コンクリートの床と壁を
覆うドームにつかまって
毛色の錆びた鉄
顔色の薔薇を見ている

一族が毎年交合し生殖する
人工の山の暮らしの方が
たいらでまどかな社会だ
網目のドームの上空から
僕を狙って飛んでくる
大気を不穏に揺るがせる音が
金属の胴体が反射する冷気が

僕の躰に網目が捺されていく
僕はドームの外で飼育されている

コメント
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