処遊楽

人生は泣き笑い。山あり谷あり海もある。愛して憎んで会って別れて我が人生。
力一杯生きよう。
衆生所遊楽。

傍流の記者

2018-06-18 19:20:27 | 

著   者  本城雅人

出版社  新潮社

定   価  1728円

250頁

  

私はかつて、ここに描かれているメディアで働く記者達を相手とする仕事をしていた。よって、彼らの生態を比較的よく知る。しかし、此処までリアルな認識は持ち得ていなかった。あくまで外からの観察者だったから。

この本は本物の記者が書いている。新聞社の日常が書かれている。トップー編集局長ー部長ーデスクークラブ記者というタテ系列。政治部ー社会部ー経済部ー運動部ー人事部というヨコ系列。東京本社と地方本社の関係と相克。記者個人の取材力、スクープ力、人心掌握力、協調力などの資質と人事を巡る構想や思惑。特ダネを巡るライバル社との分秒の争い等々新聞社における総てが盛りだくさんだ。

2年間の地方の支局勤務を終えた記者の本社の配属を決める場面が出て来る。何十名かの記者を本社の各部が指名する。いわゆるドラフト会議。優秀な記者はどの部も指名したい。そこで決められた順番は、《①東京社会部②東京政治部③大阪社会部④東京経済部⑤東京政治部⑥大阪整理部⑦東京整理部・・。上位評価で本社に戻ってくる記者は、即戦力であり、将来の幹部候補なのだ》とある。そうやっているのか。面白い。

また、こんな部分もある。著者が記者だからこその表現だろう。

《社会部のデスクは首相と呼ぶのに、政治部は総理だ。総理は内閣総理大臣という正式名称を略した呼び名、首相は通称である》

社会部の黄金世代と言われた5人の記者は、やがて社の明日を支える部長となっているシーンで小説は終わる。これが何とも希望の未来を感じさせ気持ちがいい。東京運動部長、大阪経済部長、九州文化部長、九州社会部長、大阪生活部長。加えて彼らの筆頭だった総務局長。

本書のタイトルには英語表記がある。Five plus one newspapermen。

 

 


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