坂東三十三番札所中第十六番 天台宗 水澤観世音は、千三百有余年の昔、推古天皇・持統
天皇の勅願による、高麗の高僧恵灌僧正の開基であり、五徳山水澤寺の名称は、推古天皇の
御宸筆(ごしんぴつ)の額名によるものです。ご本尊は国司高野辺家成公の三女伊香保姫のご
持仏の十一面千手観世音菩薩であり、霊験あらたかなること、特に七難即滅七福即生の御利
益顕著です。
当時は御堂の数三十余宇、御仏の数一千二百体にも及びましたが、再三の災火の為、現在
の建物は大永年間に仮堂を造立し、元禄年間より宝暦天命年間に至る三十三ケ年間の大改
築によるものです。東京へ三十六里、日光へ三十六里、善光寺へ三十六里という枢要なる霊
場であるこの地は、歴代天皇の勅願寺として伝わり、上野の国司の菩提寺です。また、朱色に
塗られた御堂よ三つ葉葵は、徳川家の祈願寺として名を馳せた所以です。(写真Mr麹町)