本日(9月30日)、大阪府議会を傍聴しました。
府議会HPに維新の会大橋一功議員が代表質問するとあり、しかもその質問予定概要には、「 7あるべき大阪教育の実現 ⑭今年行われた教科書採択の手続きについて所見を伺う。⑮来年度以降の教科書採択手続きをどのように改め、公正なシステムづくりに取り組んでいくのか。⑯8月の教育委員会会議における発言について、所見を伺う。」とありました。
これは、誰が見ても明らかに、大阪維新府議団が、実教出版「日本史」教科書を「不採択」にしなかった教育委員会を責めるつもりで質問を用意したとわかります。維新が過半数を占める圧倒的与党の府議会でどのような質疑応答が行われたかを見て来ました。なお、府議会ライブは下記HPで観ることができます。下記報告はあくまで傍聴の際のメモを起こした概要であることを最初にお断りしておきます。
http://www.gikai-web.jp/dvl-osakahu/
しかし、大橋議員が最後に言った「何も圧力をかけているわけではないんですよ」というお断りは、そのまま裏返して「圧力をかけているんですよ。おわかりですね」と私には聞こえたが…
大橋議員
教科書採択の健全化を目指して2点お聞きしたい。私たちは8月27日に申し入れを行ったが、平成23年6月、府の国旗国歌条例ができ、23年5月には最高裁判決もあったにもかかわらず、意図的に不正確な記述を行なっている実教出版教科書採択の件。もう一点は、採択手続きについて時系列で整理すると、5月17日の教育委員会会議で採択要領を示され、6月27日東京都教育委員会は使用を不適切とした。大阪府教育委員会はなぜ気づかなかったのか、疑問を持つ。教育委員長の考えを聞きたい。
また、8月30日の教育委員会会議で、(実教出版教科書採択について)蔭山委員長が「特定の会派の発言によって云々」と言われたこと、小河委員が「政治団体よって云々」と言われたことついてその所見をお聞きしたい。
蔭山委員長
実教出版の教科書の問題があると言われていることについては承知している。採択についての手続きについであるが、実教出版「日本史」教科書は府教委が補完教材を使用するいう条件で採択となり、現在事務局がそれを考えている。採択については、事務局に3点の注意事項を確認している。1点目は、各学校の選定は校長が責任もって行う。2点目は、選定の方向性に誰もが納得できる方針であること。3点目は、いろいろな問題点があるなら事務局で適切に処理すること。
8月8日(維新の会府議団と中原教育長が)勉強会をもたれ、我々にもメールが届き「前提が崩れたので5月17日決定はやり直す必要がある」と。我々も驚いた。
8月8日の勉強会で5月教育委員会会議で決めたことを(中原教育長が)無効であると判断されたのは困ると思った。一会派の要望だけ聞き判断したように見えないかが心配だと思った。
8月27日に申し入れがあったが、不採択にすることはハードルが高かった。
大橋議員
来年度以降の教科書採択をどのように公正なものにしていくつもりなのか。
中原教育長
実教出版の日本史教科書については、補完教材をすでに決めている。8月30日の教育委員会会議で教育委員会に採択権があることを決定した。これは、①(学校が選定したとおりに)採択する。②条件付採択をする。③不採択をする。の三つにうちのどれかになるが、それを教育委員会が行うことを明確にした。
小河委員
まず、8月30日の教育委員会会議での発言「政治団体」は「特定会派」に訂正したことを報告しておきたい。
教育においては政治的中立性は最も大事である。教育内容や実践が政治的圧力や干渉を受け入れ変えられることはあってはならない。とりわけ教科書についてはなによりも重大な課題だ。自由に選定できる環境が大事だ。教育委員会にその責務が負わされている。
8月8日、中原教育長は維新の会の勉強会に参加、委員会において採択途中であるにもかかわらず教科書選定理由書を提出した。事務局はまったく読んでいなかった、膿が出たと話、議決をやり直すと言った。。そして、それらの学校に乗り込んでいくと維新の会府議が発言したことに対して「ぜひ、おおいに議論してほしい」と発言した。教育の中立性を重んじなければならない教育長の責任は極めて大きい
30日の会議では、そのようなプロセスでゼロに戻すことは納得できないと30日と申しあげた。5月17日に適切な方針を決定したにもかかわらず、8月8日の勉強会でゼロにすると発言した教育長の責任は極めて重大であると考える。私がお詫びしなければならないのは中原教育長に対する監督不行き届きだ。
【傍聴しての感想】
中原教育長は、よく「権限と責任」という言葉を使う。ところが、大阪維新の会大橋府議は、今回採択が混乱したのは事務局の責任であるにもかかわらず、中原教育長の責任は一向に問わない。むしろ、8月30日の教育委員会会議で中原教育長の責任を追及した陰山委員長や小河委員の責任を問うている。まるで、中原教育長は身内つまり維新の会のエージェントであることを自ら明らかにしたも同然だ。
しかし、それにしても、小河委員は教育委員としての矜持を保った。陰山委員長も彼なりに維新の会とは一線をおいた趣旨の発言であった。それとは対照的に、維新の会の言いなりの中原教育長の姿が鮮明になった。
本日の会議をもとに、私たち市民は、中原教育長の責任を追及しなければならない。