東京で、またもや「君が代」処分がなされました!
「君が代」を唱えという命令も、また「君が代」を歌わなかったから処分されるのも、どう考えたっておかしいです。そもそも、卒業式って「君が代」を歌わすためにするもんなんですか!?
許すな!「日の丸・君が代」強制、止めよう!安倍政権の改憲・教育破壊 全国ネットワークは、本日、下記抗議書を東京都教育委員会に送ります。
記
東京都教育委員会 教育長 中井敬三 様
2017年4月21日
許すな!「日の丸・君が代」強制、止めよう!安倍政権の改憲・教育破壊 全国ネットワーク
★連絡先:「ひのきみ全国ネット」代表世話人・小野政美(TEL・FAX 052-916-7655)
東京都教育委員会は、2017年4月20日、本年3月の卒業式で「君が代」斉唱時に不起立した都立高校教員2名(東京都立工芸高校教員、東京都立葛西南高校教員に対し、「懲戒処分」(不起立4回目の教員に対し「減給10分の1・1月」)、不起立3回目の教員に対し「戒告」)を発令した。
私たちは、都教委の卒業式「君が代」不起立を理由とする不当処分に心からの怒りを込めて抗議し、被処分者2人に対して5月10日に実施予定の「服務事故再発防止研修」(思想転向強制研修)を即刻止することを求めるものである。
東京都教育委員会による東京都立高校教員2名への憲法違反の卒業式「君が代」不起立処分に抗議し、「服務事故再発防止研修」(思想転向強制研修)の即時中止を要請する!
1.私たちは、4月20日付の東京都教育委員会による東京都立高校教員2名の卒業式「君が代」不起立に対する(減給10分の1、1月処分)と戒告処分に断固抗議するとともに、東京都教育委員会がこの2名に対して行った憲法違反の不当処分を直ちに撤回することを求める。
1.同2名に対し、東京都教育委員会が、5月10日、東京都職員研修センターに呼び出し行おうとしている「服務事故再発防止研修」は「思想転向強制強制」であり、日本国憲法で保障された「思想・信条・良心の自由」を侵害する。「服務事故再発防止研修」を中止せよ。
1.本抗議・要請書に対する誠意ある回答を、「ひのきみ全国ネットワーク」連絡先宛に求める。
「ひのきみ全国ネット」は、都教委宛の抗議・要請書を、昨2016年3月29日付、4月5日付、4月15日付、6月13日付で提出した。しかし、都教委からは、4月22日付、5月17日付、6月27日付で、以下のたった2行の文書回答が「全国ネット」小野宛FAXで送られてきた。「服務事故再発防止研修は、懲戒処分の原因となった服務事故の再発を防止するため、懲戒処分を受けた者に対し、関係規定に基づき、適切に実施します。(所管:教職員研修センター部教育経営課)」「処分の撤回は考えておりません(所管:人事部職員課)」とする「要請書に対する回答」があっただけである。私たちは、都教委による誠意のかけらもない「回答」に断固抗議するとともに、誠意ある回答を厳しく求めるものである。
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<東京都教委への抗議・要請の理由について>
1.私たちは、4月20日、東京都教育委員会が二人に対し、処分発令を強行したことに強く抗議する。さらに、東京都教委が5月10日に行う予定の「君が代」不起立による都立高校卒業式関係被処分者2名への「服務事故再発防止研修」に強く抗議し、即時中止を求める。
2.東京都教育委員会が教育に支配介入し、「子どもの最善の利益」を保障する教育を破壊し、「10.23通達」を発出して、「君が代」起立を拒否する教職員を処分すること、全教職員が起立する姿を子どもたちに見せることによって、子どもたちの心に、「我が国と郷土を愛する意識の高揚」・「日の丸・君が代」の尊重を刷り込むことは、「個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求する人間の育成」を目的とする教育条理に反し到底許されるものではない。
「君が代」不起立処分は、この間の東京都教委による「君が代」不起立処分に関する裁判において、最高裁判決が判示した、「懲戒権者の裁量権の濫用であり、違法」を理由に減給以上の処分を取り消した判決の流れに対抗するものであり、東京都教委による教育支配介入、「君が代」不起立による処分が国際社会に通用するものではないことは自明の理である。
3.2015年5月28日、東京高裁(須藤典明裁判長)は2007年「君が代」不起立停職6月処分取り消しと損害賠償を求めた事件で、根津さん・停職6月処分の取り消しと河原井さん・根津さんの損害賠償(各10万円)を認める判決を出した。続いて最高裁第3小法廷は、5月31日付で都の「上告を棄却」し、「上告審として受理しない」ことを「裁判官全員一致の意見で決定した」との「決定」を出した。
2012年1月16日最高裁判決は、「職務命令は違法とは言えない」として戒告を容認したが、「戒告を超える重い処分は違法」とし、根津さんを除くすべての人たちの減給以上の処分を取り消した。「過去の処分歴」「不起立前後の態度等」(2つを一緒にして「過去の処分歴等」という)がある場合は「戒告を超える重い処分」も可とし、根津さんの停職3月処分を取り消さなかった。これに倣って、これ以降の裁判は、どれも同じ判決が続き、根津さんだけは敗訴し続けた。
しかし、2016年5月28日に最高裁決定により確定判決となった2015年5月28日の須藤判決は、根津さんについて、2006年処分から2007年処分に至るまでの間に処分を加重する新たな個別具体的な事情はないとして、停職6月処分を取り消した。「過去に同様の行為が行われた際に停職処分がされていたとしても、懲戒権者において当然に前の停職処分よりも長期の停職期間を選択してよいということにはならない」、「処分の加重を必要とするような特段の事情が認められるか否かという点に加えて、停職処分を過重することによって控訴人根津が受けることになる具体的な不利益の内容も十分勘案して、慎重に検討することが必要」と判じ、同一の「過去の処分歴」を使っての機械的累積過重処分を断罪した。「停職6月処分を科すことは、・・・控訴人根津がさらに同種の不起立行為を行った場合に残されている懲戒処分は免職だけであって、次は地方公務員である教員としての身分を失う恐れがあるとの警告を与えることとなり、その影響は、単に期間が倍になったという量的な問題にとどまるものではなく、身分喪失の可能性という著しい質的な違いを控訴人根津に対して意識させざるを得ないものであって、極めて大きな心理的圧力を加える」と、停職6月の意味することを明示したうえで、「自己の歴史観や世界観を含む思想等により忠実であろうとする教員にとっては、自らの思想や心情を捨てるか、それとも教職員としての身分を捨てるかの二者択一の選択を迫られることとなり、・・・日本国憲法が保障している個人としての思想及び良心の自由に対する実質的な侵害につながる」と判じる日本国憲法19条の実質的侵害に踏み込んだ判決であった。また、損害賠償については、「停職期間中は授業をすることができず、児童生徒との信頼関係の維持にも悪影響が生じ、精神的な苦痛を受けるだけでなく、職場復帰後も信頼関係の再構築等で精神的な苦痛を受けるものと認められ、そのような苦痛は、本件処分の取り消しによって回復される財産的な損害の補てんをもっては十分ではない」とし、都に損害賠償金の支払いを命じ、東京都教委の上告を最高裁が棄却し、須藤判決が確定判決となったことを、東京都教委はしっかりと肝に銘じなければならない。
4.2014年7月24日に発表された国連・自由権規約委員会の「総括所見」においては、「日の丸・君が代」に関して、以下のように表明されていることも確認されなければならない。
★「公共の福祉」を理由とした基本的自由の制約
22 本委員会は、「公共の福祉」の概念はあいまいであり、無制限であるということ、そして、規約(arts. 2, 18 and19)の下で許容されるものを大きく超える制約を許容するかもしれないということへの懸念を改めて表明する。
本委員会は、以前の最終所見(CCPR/C/JPN/CO/5, para.10)を想起し、第18、19条の第3項における厳しい条件を満たさない限り、思想、良心、宗教の自由や表現の自由の権利に対するいかなる制約をも押し付けることを差し控えるように締約国に要求する。
Restriction of fundamental freedoms on grounds of “public welfare”
22.The Committee reiterates its concern that the concept of “public welfare” is vague and open-ended and may permit restrictions exceeding those permissible under the Covenant (arts. 2, 18 and 19).
The Committee recalls its previous concluding observations (CCPR/C/JPN/CO/5, para. 10) and urges the State party to refrain from imposing any restriction on the rights to freedom of thought, conscience and religion or freedom of expression unless they fulfil the strict conditions set out in paragraph 3 of articles 18 and 19.
上記の見解は、委員会が18条だけでなく、19条にも言及した背景に、学校における「日の丸」掲揚、「君が代」斉唱に抵抗した教員に対する懲戒処分が、思想、良心、宗教の自由を侵害するものであるという主張について考慮された見解である。国連・自由権規約18条第3項に該当しない「思想・良心・宗教の自由」に対する制約は、国際規約上許されるものではないので、「10.23通達」及び、「10.23通達」に基づく職務命令は、国際条約違反であり、職務命令違反の処分は全て無効である。
5.私たちは、この間、東京都教委が卒業式・入学式「君が代」不起立を理由にした被処分者への「服務事故再発防止研修」を長期間に渉って行っていることに強く抗議するものである。
東京都教育委員会が行う被処分者に対する「服務事故再発防止研修」は、私たちが再三指摘しているように、日本国憲法で保障された「思想・信条・良心の自由」違反、自由権の国際基準違反であり、「思想転向研修」である。被処分者は、「思想・信条・良心の自由」を侵害され、個人の尊厳を奪われ、精神的苦難と減給による経済的損失を受けるとともに、「再発防止研修」という名の「思想転向研修」を強制されるのである。
6.「再発防止研修」に関しては、2004年7月、不起立・不伴奏者対象に初めて再発防止研修が行われる直前の執行停止申立に対して東京地裁・須藤裁判官は、2004年7月23日、本件研修が未実施であることから現段階では却下と決定したものの、実際に実施される研修が「例えば、研修の意義、目的、内容等を理解しつつ、自己の思想、信条に反すると表明する者に対して、何度も繰り返し同一内容の研修を受けさせ、自己の非を認めさせようとするなど、公務員個人の内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば、そのような研修や研修命令は合理的に許容されている範囲を超えるものとして違憲違法の問題を生ずる可能性があるといわなければならない」として、やり方によっては「違憲・違法」の問題が生ずることを指摘していたことを改めて確認しなければならない。私たちは、「君が代」不起立被処分者に対するすべての「服務事故再発防止研修」の中止を強く求めるものである。
7.私たちは、東京都教育委員会による「日の丸・君が代」強制、「日の丸・君が代」不起立処分、そして「日の丸・君が代」不服従被処分者への転向強制研修の3点をセットにした東京都教育委員会による権力的行為が、学校現場で、子どもたちや教職員の人間としての尊厳を奪い、「思想・信条・良心・教育の自由」を全面的に破壊していることに対し断固抗議する。
8.私たちは、東京都教委が行っている「都教委という行政権力の命令・行為にひとりの不服従者も許さない」ことにより「もの言わぬ教員」をつくろうとする暴挙が、2016年3月29日の安保法制の施行により「新たなる戦前」に向かう日本の「軍国主義教育」の新たなる始まりと密接に繋がっていることも重視している。
東京都教育委員会は、安倍政権による集団的自衛権行使容認と安保法制施行を前提に、戦争準備体制の強化と軍国主義教育の開始とが密接に結びついた事実を積み重ねている。
2017年3月31日、安倍内閣は民進党初鹿明博衆議院議員の質問趣意書に答える形で、「排除や失効の確認を決議した教育勅語について、先の閣議で教育の唯一の根本とするような指導を行うのは不適切だ」とする一方、「憲法や教育基本法に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではない」との閣議決定を行った。
教育勅語は、1948年に、日本国憲法や教育基本法に反するとして、軍人勅諭とともに衆議院で排除に関する決議・参議院で失効確認に関する決議が行われている。今回の閣議決定は、衆・参両院の決議との整合性がとれず、憲法違反の決定であることは明らかである。「朕惟フニ」で始まり「朕カ忠良ノ臣民タル」と呼びかけ、「朕爾臣民ト俱ニ拳々服膺シテ咸其德ヲ一ニセンコトヲ庶幾フ」で終わる教育勅語は、主権在君の明治憲法下のものであり、主権在民の日本国憲法の理念に反することは自明の理である。「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」との文言が、国家への忠誠を強要し、徴兵制の下で戦争遂行の基となった。「教育勅語」排除・失効決議が「軍人勅諭」とともに行われたことの意味をも考えなければならない。
今回の答弁書は、政府が個別の教材の位置づけを明示することになり教育に対する政治介入に等しい。国民を戦争へ駆り立てた教育勅語は、1890年、明治天皇が国民に守るべき徳目を説いた言葉として発布された。自由民権運動や欧化主義と儒教主義や皇国主義との対立を収め、教育の基本理念を定める狙いがあった。学校での「教育勅語」朗読が強制され神聖化が進んだ。「教育勅語」は天皇制の精神的支柱の役割を果たし、昭和期の軍国主義教育と結びついた歴史がある。教育勅語は、国民に国家への忠誠を誓わせるために使われた戦前、戦中の教育規範だ。軍国教育の支柱とも言える。その内容は、自由や平等、個人の尊厳など、日本国憲法が掲げる理念とは大きくかけ離れているのになぜ教材として「否定されない」のか。「教育勅語」がたどった歴史を直視しなくてはならない。教育勅語は友達と仲良くしたり人々に優しくするなど、守るべき徳目を「臣民」に説いている。その上で、いざというときはお国のために身をささげ、「天壌無窮ノ皇運(永遠の皇室の運命)」を助けるよう求めている。つまり、このような徳目を守るのは、すべて皇室国家を守るために行うべきだとしているのだ。本質を見誤ってはならない。「教育勅語」は日本国憲法の理念と相いれるものではないからこそ、戦後、国会が衆参両院でそれぞれ「排除決議」と「失効決議」を行い、「教育勅語」と決別したのである。
「教育勅語」を唱和し、軍歌を歌い、「安倍首相ガンバレ」を宣誓する塚本幼稚園の映像は、安倍首相が当初国会答弁で「いわば私の考え方に非常に共鳴している方」「妻から森友学園の先生の教育に対する熱意は素晴らしいと聞いている」と塚本幼稚園の教育へ賛辞を送り、稲田朋美防衛大臣は、「道義国家をめざすとする教育勅語の精神は、取り戻すべき」と国会で述べている。
さらに、政府は4月18日、「憲法や教育基本法に反しない形で教育勅語の教材活用を容認した先の答弁書に関連し、どのような使い方が憲法や教基法に反するかの判断や、不適切な使用があった場合の対応を、学校の設置者や自治体の教育委員会などに委ねる」とした新たな答弁書を決定した。答弁書は「まずは学校の設置者や所轄庁で、教育を受ける者の心身の発達などの状況に即して、憲法の理念などに反しないような適切な配慮がなされているか、さまざまな事情を総合的に考慮して判断されるべきものだ」としている。
菅官房長官は、4月3日、これに関連し、菅官房長官は午前の記者会見で、「教育勅語には、親を大切にするとか、兄弟姉妹が仲よくするなどの項目もあることも事実で、憲法や教育基本法に反しないような適切な配慮のもとで取り扱うことまで否定することはない」と述べた。「教育勅語は、日本国憲法や教育基本法の制定等をもって、法制上の効力は喪失している。したがって学校で教育勅語がわが国の唯一の根本となるような指導を行うことは不適切だ」と述べ、記者団が「今回の閣議決定で教育勅語を教育現場で使うことにお墨付きを与えるのではないか」と質問したのに対し、「教育基本法の制定によって政治的、法的効力を失った経緯がある。ご指摘のような懸念は生じない」と述べた。
2017年4月3日、松野文部科学大臣は衆議院決算行政監視委員会で、戦後、衆参両院が排除や失効の確認を決議した教育勅語について、「戦前の教育の間違いの例として用いることはありうるが、それ以外なら問題だ」と指摘されたのに対し、「憲法や教育基本法に内容自体が反するものでも『教え方がどうか』がポイントだ」と述べ、「教育勅語」を歴史的事実として学ぶため、中学校の社会科や、高校の歴史や公民の教科書には、全文または一部を参考資料として掲載している例があると説明した。そのうえで、松野大臣は、「わが国の歴史の理解を深める観点から使っており、そのように教育勅語を教材として用いることには問題がないというのが答弁書の趣旨だ」と述べた。
これらは、「日本会議」とともに新たな戦前をめざす安部政権の本質が象徴的に表れている。
教育勅語容認の閣議決定に先立って、小学校及び中学校の指導要領が改定になった。小学校用の道徳の教科書では、「パン屋」が「和菓子屋」に変えられ、「公園の遊具」が「和楽器店」に変更された。2006年の第1次安倍内閣で成立した改正教育基本法に示された「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」とする教育目標に沿った修正意見と思われるが、これらの変更は偏見に満ちたものと言わざるを得ない。
一方で、中学校の指導要領では「武道」に「銃剣道」が導入された。銃剣道はフランス軍隊から学んだ西洋銃剣術を基本に、日本の槍術などを組み入れて旧日本軍の戦闘訓練に取り入れられたものである。木銃を手に行う競技であり、その長さは旧陸軍の三八歩兵銃を基本にしている。自衛隊などでは訓練として導入され、競技人口の多くが自衛官でしめられている。地方の道場・クラブの多くが自衛隊駐屯地内に存在する。このような特異な競技を、中学生に教えることの意味がどこにあるのか。戦場における戦闘を想定する銃剣道の導入は、日本国憲法の理念に反する憲法違反の教育と言わざるを得ない。「日本会議」と結びついている安部政権の教育改革は、子どもたちを侵略戦争と植民地支配に明け暮れたアジア・太平洋戦争の時代、明治憲法下の天皇制の時代へと誘うものである。国家主義的な教育は、国家や「公」なるものに対する個人の犠牲を強要し、そのことを美化し、個人主義を否定する。画一的な価値観を植え付け、多様な個性と多様な価値観を認めない社会は、衰退への歩みを進める。集団で一斉に「教育勅語」を唱和するような社会としてはならない。
日本の戦前の教育は、国家が教育を全面支配し、学校は「教育勅語」に基づく教育によって、忠君愛国の精神で天皇のために命を捧げる「少国民」を育成する場として、子どもたちと人々を侵略戦争に動員する上で決定的な役割を果たした。「教育勅語」が歴史的事実としてだけでなく、確実に日本の現実の話になってきている。「教室から、学校から、戦争は始まる」。
9.東京都教育委員会による、卒業式・入学式などで「君が代」斉唱時の起立・斉唱、ピアノ伴奏を強制する2003年「10.23通達」による処分が、今回の処分で480名になったことに驚愕する。そして、処分が「思想・信条・良心・教育の自由」に基づく正当な権利行使としての「君が代」不起立への「弾圧・いじめ」であり、日本国憲法で保障された内心の自由・良心の自由・思想の自由・表現の自由・教育の自由を侵害し、自分で考えずに指示に従う子どもや教職員にすることに繋がる「君が代」処分であることに、私たち、<許すな!「日の丸・君が代」強制、止めよう!安倍政権の改憲・教育破壊 全国ネットワーク>は断固抗議する。
私たちは、断固として不当処分を許さず、また、「服務事故再発防止研修」という名の「思想転向強制研修」の中止を強く求めていく運動を進めていくものである。
文科省は2015年、国立大学の入学式や卒業式で、国旗掲揚と国歌斉唱をするよう要請した。「新学習指導要領」では、幼稚園でも国歌に親しむことが盛り込まれた。これを受け、厚生労働省は「保育所の新運営指針」で「国旗国歌と親しむように」と明記した。これらは、教育現場での「教育勅語」復活を認めるのと軌を一にしているものである。
私たちは、全国各地の現職教員や退職教員、保護者、市民、労働者とともに、今回の都教委の不当処分と「君が代」不起立被処分者への不当な「思想転向強制研修」を止める日まで、東京都民・全国各地の教員・保護者・市民とともに、その中止を求め、徹底して抗議の声を上げ屈せず諦めず闘い続ける決意である。
10.政府は計画段階での処罰を可能とする「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を閣議決定し政府・与党が進める共謀罪新設の「組織犯罪処罰法改正案」を国会に提出した。
「共謀罪」は、東京都教育委員会が進めてきた日本国憲法で保障された思想・良心の自由を侵す、「日の丸・君が代」強制・「日の丸・君が代」処分・「思想転向強制研修」と軌を一にするものである。
法案では、処罰対象となる団体や合意の方法、処罰の前提となる「準備行為」の定義がいずれも曖昧であり、捜査機関の裁量で、テロと関係のない市民団体などにも適用され、日常的な行為が準備行為と認定される恐れがある。実行後の処罰を原則としてきた刑法体系は大きく変わる。共謀罪は組織的犯罪集団の活動として、二人以上で犯罪の実行を計画し、そのうちの一人でも物品の手配など準備行為をした場合、全員が処罰される。実際に犯罪を実行していなくても犯罪への合意を処罰するため、捜査では外部からは分からない内心を調べることになる。
共謀罪は、日本国憲法で保障された思想・良心の自由を侵す懸念があるとして、これまでに3回、法案が国会に提出されたが廃案となっている。今回、新設を目指すのは「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画」を処罰する罪。政府は「テロ等準備罪」と呼ぶが、処罰すべき犯罪の核となるのは、犯罪の計画や合意で、これまでの共謀罪と本質的に変わらない。適用対象となる組織的犯罪集団は、条文では例として「テロリズム集団」を挙げるが、言葉の定義はされていない。「その他」の文言もあるため曖昧だ。政府統一見解では、普通の団体でも、目的が犯罪の実行に変われば認定される可能性がある。犯罪の合意は、対面以外にも電話やメール、無料通信アプリ「LINE」で成立することを、政府は認めている。これまでの合意に関する判例によれば、メールなどに返信しなかった場合でも、積極的に異議を述べなければ合意したと捜査機関に推認される可能性が否定できない。合意に加えて必要とされる準備行為は「資金や物品の手配、関係場所の下見」と具体例が示されたが、こちらにも「その他」とあり、幅広い解釈を生む余地がある。準備行為そのものは犯罪である必要がないため、捜査機関が、犯罪の計画と関連が希薄な日常的行為を準備行為と判断する可能性がある。
私たちは、東京都教育委員会が進めてきた「日の丸・君が代」強制・「日の丸・君が代」処分・「思想転向強制研修」と軌を一にする、日本国憲法で保障された思想・良心の自由を侵す、政府・与党が進める共謀罪新設の「組織犯罪処罰法改正案」にも断固反対することをここに表明する。