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グループZAZA

「君が代」不起立処分大阪府・市人事委員会不服申立ならびに裁判提訴当該15名によるブログです。

大阪は、中原教育長の実教「日本史」外しを今年も阻止しました!

2014-08-22 16:06:47 | 教科書排斥問題

本日(8月22日)、大阪府教育委員会会議で、来年度の教科書採択がありましたが、今年も大阪は、教育委員会による「実教外し」を阻止することができました。

これは、危ない教科書を子どもたちに渡すな!大阪の会が、粘り強く情報公開制度等を利用し、中原教育長の行動の不当性を明らかにして来た成果といえます。

8校の実教日本史学校選定は「条件付き採択」ではありますが、採択されました。しかし、補完教材の使用の強制等まだまだ問題は残っています。今後もみなさんとともに教科書への不当な介入を許さず声をあげていきたいと思います。以下、大阪の会のIさんからのメールを転載します。

 
8月22日、大阪府教育委員会議で、高校教科書採択がおこなわれました。結論から言いますと、実教日本史については、高校日本史A(302)を選定したのが3校、高校日本史B(304)を選定したのが5校となり、合わせて8校での選定となりました。昨年度から引き続き実教日本史を選定したのが3校で、今年度から新たに選定したのが5校となっています。これらの8校の選定に対して、教育委員会議では、「条件付き採択」とはいえ実教日本史を採択しました。教育委員会議の中では、事務局から選定教科書の報告があり、ほとんど議論がなく採択がおこなわれました。  
    
 
昨年、中原教育長と歩調をあわせて強烈な政治介入をおこな った大阪維新の会(以下「維新」)は、表だって政治介入の動きを見せませんでした。昨年、私たちは、「維新」の介入をことあるごとに問題にしました。そのことは、マスコミでも取り上げられたり、府議会でも議論となりました。また、今年の7月には昨年8月8日の中原教育長と「維新」との勉強会のやりとりを公にさせ、政治介入の実態を明らかにしてきました。そういったことの結果として、今年の維新の会の介入を事実上封じることもできました。
 
しかし、いくつかの学校では、各学校の教科担当者から実教の選定をしようとしたところ、校長の圧力で覆されたところもありました。また、実教を採択した学校では、今後「補完教材」使用が強制されていきます。今後、各学 校での校長圧力の実態を明らかにしたり、「補完教材」の問題点を明らかにし、強制をやめさせる取り組みをおこなっていきたいと思います。
 
昨年度、明成社(旧課程版)を採択した1校が、同じく3年生で明成社版(新課程版)を選定し、そのまま採択されました。このことについての取り組みも必要となっていることを痛感しました。
 
 
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あまりにもなまなましい中原大阪府教育長と維新の会の二人三脚

2014-08-13 09:57:19 | 教科書排斥問題

昨年の大阪府教育委員会の教科書採択の件を覚えていらっしゃるでしょうか?中原教育長は教育委員会議にも諮る前に、すなわち教育委員も知らないうちに大阪維新の会の意向を聞き、それを教科書採択に反映させていたのです。この件については、その後の大阪府議会でも大きな問題となりました。

しかし、中原教育長は、大阪維新の会に限らずだれであっても意見は聞くというような、およそ弁解にもならない理屈で逃れようとしました。

今回ようやく、昨年8月8日、中原大阪府教育長をはじめとする教育委員会事務局が大阪維新の会の勉強会に呼ばれ、そこでどのような話があったか判明しました。

あぶない教科書大阪の会伊賀さんによる情報公開請求を教育委員会は拒否してきましたが、今回、情報公開審査会の公開決定を受けて、1年経ってようやく公開されました。

どうか、みなさんお読みください。あまりにもなまなましい大阪維新の会と中原教育長の癒着がそこには表れています。

高校教科書採択に関わって大阪府教委が公開を拒否してきた昨年の8月の大阪維新の会との勉強会の概要が情報公開審査会の公開決定を受けて、1年たってようやく公開されました。

このようなことを府民として許せば、教科書は難なく政治によって支配されていきます。それがいかに危険なことかは昨今の状況を見れば言うまでもないのではないでしょうか。

以下、公開された資料を記載します。作成は大阪府教委です。再度繰り返しますが、中原教育長が維新の会府議団に呼び出されて、その場でまだ教育委員にさえ見せていない実教日本史を選定した学校名を維新府議団に伝えてきたことの一部始終です。あまりにも生々しい政治介入が赤裸々に表れています。

多くのみなさんの力により、教育委員会中原教育長に責任を追及していきたいと思います。

以下、情報公開により明らかになった大阪維新の会 勉強会概要メモ

(改行等編集しています。編集前の公開資料は末尾に添付しています。)

****************************

大阪維新の会 勉強会概要メモ

【日 時】 平成25年8月8日(木)13:30~14:15

【場 所】 維新団総室

【出席者】 

大橋政調会長、久谷議員、奥田議員、和田議員、阿部議員、堀口議員、中野(稔)議員、上島議員
【対応者】 
中原教育長、(高等学校課) 和田室長、丸岡課長、植木総括主査
(教育総務企画課) 木寺
【概要】
大橋政調会長:
 教科書の選定の状況について、昨日事務局から説明を受けたが、ゆゆしき問題だということで、上島議員と相談して、教育常任委員の方々に急きょ集まってもらった。

中原教育長:
本日はすごくいい機会をいただいた。教科書採択について事務局内で議論していたところ、ウミが出てきた。教科書を採択する権限のある教育委員会の事務局が、これまで全<教科書を読んでいなかった。そういう実態を今日まで知らなかったが、これは大問題。さっそ<手分けして読むように指示をした。

5月の教育委員会で議決をしたが、虚偽の報告に基づく決定なので無効になる。8月30日の教育委員会議で採択のプロセスを見直し、議決をやり直す。府教委として問題と思っている箇所は、実教出版の「日本史A」「日本史B」の国旗・国歌法に関する記載の脚注の部分。
 
具体的には、内心の自由をどう保障するかが議論になり、政府が強制するものでないことを国会審議で明らかにしたのは事実で、後段の「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」を「しかし」でつないでいる点。通常「しかし」には否定的な意味が込められている。また、起立斉唱は最高裁で合憲となっているのに載せていない一方、その下の家永裁判の記述では最高裁判例を引用している。あえてそうしているのかどうかは分からないが、バランスを失しているのはたしか。
 
対応としては、
①採択時にはねてしまう(東京、神奈川)、
②生徒に見せた上で、「教科書にも編集者の意図がある」ということを理解させる場合等は認める、
③校長が選定の責任を負って議会でも自ら説明を行う、
④学校から上がってきても事務局で説得して使わせないようする(大阪市)、が考えられる。

阿部議員:
①と④の違いは?

中原教育長:
①ははじめから採択させない。④は取り下げてもらうという圧力をかける。④は現実的ではあるが、教育委員会と学校の責任が見えなくなり、責任と権限の明確化を言ってきたこれまでの自分のやり方に反することになる。

大橋政調会長:
さっきまで、採択予定の8校に乗り込んでいこうと思っていた。

中原教育長:
府民の代表である議員には、ぜひ行って大いに議論してもらってかまわない。

阿部議員:
実教出版の教科書の記述は、いつから載っているのか。我々が条例を作った後なのか。

和田室長:
日本史Aは24年3月から、日本史Bは25年3月から。出版社に確認したところ、東京都の動きを記載しており、大阪のことは念頭においていなかったとのこと。

阿部議員:
それはどうか分からない。教科書でそういうことを絶対やったらあかん。

中原教育長:
政府は強制するものでないとしているが、一部で強制があると書くと、内心の自由を害するかのような表現。これを読んで憲法違反だと思ってしまう生徒もいるかも。

上島議員:
最高裁判決でも問題ないとなっている。それなのにこういう記載をするというのは、起立斉唱や府条例に反対するものと考えるのが普通。選択している学校の取組みも色々書いているが、生徒一人ずつの教科書に注意書きを張り付けるのは現実的ではない。副教材も何が配られているか分からない。教科書を採択するのは教育委員会であり、責任は教育委員にある。学校が何を選んでこようと、6人の教育委員でしっかり選んでいただきたい。自虐史観の固まった教師が教科書を選ぶことなど誰も望んでいない。

阿部議員:
上島さん、あんまり全部言うてしまわんといて<れ。我々教育常任委員が集まった意味がなくなる。採択で×にしたらいいだけの話。

大橋政調会長:
昨日の説明では、高校から出てきたものが8/30に決定するとのことだったが。

和田室長:
府教委として教育委員会議で採択するということ。

大橋政調会長:
その際に拒否の決定をすればどうなるのか。

中原教育長:
拒否すれば、また次の教科書を選ぶという次のステップに行く。8/30はそれをどうするかを6人の教育委員で議論して決定する。

大橋政調会長:
中原教育長のガバナンスがしっかり効いているのであれば問題はない。今日の意見交換を踏まえ、会としてどうしていくか決めた上で、また連絡する。

和田議員:
少しだけ。本当に今まで教科書を見ていなかったのか。

中原教育長:
そこが大問題。一事が万事で、どの情報を信用していいか分からない。こんなことでは教育委員会が情報操作していると思われても仕方ない。裏切られた気持ら。

堀口議員:
タメなものは採択しなければいいが、既に今年度使っているところもある。去年は認められて今年はタメというのは整合性をどうするのか。

中原教育長:
事務局では誰も見ていないのだから、そこは謝るしかない。実際、東京都が問題にするまで気ついていなかったわけだし。

上島議員:
採択のやり方を見直してほしい。大阪市はこれまで順位づけを示し、あとは現場からの意見を追認していたが、今後、教委が決定することにした。東京都では、学習指導要領に基づいているかどうか等の項日に基づいて点数化している。ぜひとも参考にしてやってもらいたい。データに基づく客観的な根拠になる。

和田室長:
小中学校分は選定のための資料を作っているが、点数はつけていない。

中原教育長:
見ていないのだから点数のつけようもない。東京都の状況を確認してゼロベースで考える。議会では100人超の人員に喧々諾々の議論をして物事を決める。教育委員会はたった6人(うち、5人は非常勤)で物事を決めてしまうということ。外向きには教育長の自分か陰山教育委員長のどららかが責任を問われる。議員の先生方には、細かいところまで実情を説明する必要があるので、今日は高等学校課が教科書を見ていなかったことをご説明した。

大橋政調会長:
8校の選定理由の資料はどういう扱いになるのか。

和田室長:
最終的な意思決定をしていないので、内部資料という扱い。

大橋政調会長:
この後、会派としての対応を協議して、連絡することとしたい。

阿部議員:
今決めたらいい。間違ったことを書いているので採択はタメというだけ。

奥田議員:
これまでも教科書の問題はずっと議論があった。にも関わらず、そういう状況でこれまで採択が行われてきたのは問題。今後の話としては、採択しないということでいい。

中原教育長:
府議会の最大会派である維新の会からの意見として、受け止める。他会派からも意見があれば、それらも踏まえて採択していく。

阿部議員:
我々としては、採択したらアカンと言っている。その上で府教委として採択するのであれば、それなりに説明してもらう必要が出てくる。

上島議員:
高校生がこの「強制」という記述をみれば、悪い意味にとらえる。やはり意図を感じると言わざるとえない。

堀口議員:
不採択でいい。これまで読んでいなかったというところへの対応もしっかりと。

大橋政調会長:
せっかく教育長が来てくれているので、他に確認しておくことはないか。なければ今日はこれで終了する。
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井前さん、大阪府人事委員会に不服申し立て!

2014-08-09 14:17:33 | 大阪ネット
昨日、府立高校教員井前弘幸さんは、職務命令も出されていないのに職務命令違反で戒告処分されたことを、大阪府人事委員会に不服申し立てしました。

大阪ネット事務局のまおたにさんからの報告です。


昨日の、井前さんの人事委員会への申し立て、府教委への署名提出行動、記者会見はいずれも十数名の参加を得て、滞りなく終了しました。参加いただいた皆さん、ご苦労様でした・

さて、井前さんの署名の第2次集約は8月31日になっています。引き続きご協力お願いします。

教育委員会に処分撤回の第一次署名を提出!



その後の記者会見の模様です。

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それでも私は卒業式に参列してよかったと思う

2014-08-08 05:42:28 | 当該から

私は、2012年4月枚方なぎさ高校第9回入学式において「君が代」斉唱時不起立であったことにより戒告処分を受けました。そして、翌年2013年3月同校第7回卒業式では、減給処分を受けました。

条例ができ、職務命令が出、「君が代」斉唱に疑義を持つ教職員は、卒業式から排除されるようになりました。しかし、私はそんなことで卒業式をあきらめたくはありませんでした。以下は、その折に校長に出した顛末書です。お読みいただければ幸いです。

顛 末 書

2013年3月7日

志 水 (辻 谷)博 子

瞬く間に、定年までの最後の1年が過ぎ去りました。

およそ1年前、私にとって最後となる新入生を迎え枚方なぎさ高校第9回入学式に参列しました。国歌斉唱時、私は立ちませんでした。そしてそのことにより戒告処分を受けました。また、再任用を希望していたにもかかわらず、「否」とされました。国歌とりわけ“君が代”の恐ろしさを目の当たりに見た思いがしています。つくづく恐ろしい時代がやって来たと痛感しました。なぜ、立てなかったのか、そのことについては昨年提出しました顛末書ならびに顛末書追加資料に記載した通りです。弁明が認められず、結果、私は昨年4月25日戒告処分を受けました。しかし、決して後悔はしていません。私は、たとえ処分を受けることになっても入学式に参列することができてよかったと思っています。入学式の折、私は私なりに新入生が一堂に会したありさまと向かい合い、残されたあと1年の教員生活をスタートする心の拠り所とすることができました。学校と言う場において、4月とはそういう意味合いを持っているのです。 

さて、2013年2月25日、校長は職員会議において昨年通り役割分担表を示し、式場内勤務の教員に、国歌斉唱時に起立し斉唱するように職務命令を発出しました。

私は、「これは異常なことだ。様々な考えを持つ教職員全員に、国歌斉唱時に『立て、歌え』という職務命令を出すなど極めて異常な事態である。次に来るのが、生徒への起立斉唱の強制であることは目に見えている。全教職員が内心はどうあれ起立斉唱すれば、後は、教員の「指導」によって生徒は難なく立ち、歌うだろう。学校でナショナリズムが身体を通して植え込まれていくとき、少数者の存在を許さない極めて危険な時代を生み出すことになる。再び学校が子どもたちを戦争に駆り立てていく時代が目に見えて近づいてきているのではないか」と意見を述べました。

本当に、こんな時代が来るなんて正直今でも信じられない気がしています。

話を戻します。3月1日の枚方なぎさ高校卒業式、(余談ですが、いつから『卒業式』が『卒業証書授与式』になったのでしょう。「卒業式」の果たす役割は、私が府立高校教員として在籍したこの38年間で実に大きく変遷していますが、時間がないゆえ、ここではそのことに触れません)第7期生卒業式において、私は国歌斉唱時に起立をしませんでした。事の顛末をできるだけご理解いただけるようお話したいと思います。

そもそも、私は、枚方なぎさ高校第7期生入学時担任を希望していました。では、なぜ希望通り担任ができなかったか、少し長くなりますが、前任校四條畷で起こったことから、枚方なぎさ高校で起こったことをかいつまんでお話ししたいと思います。

2003年、四條畷高校で100周年記念行事が執り行われました。式次第には「国歌斉唱」が入れられることになりました。当時、私は四條畷高校第57期2年生の担任をしておりました。また、東京都では教員に対し君が代起立斉唱を職務命令でやらせよと言う、いわゆる「10.23通達」が問題となり、学校における国歌国旗の強制は社会問題ともなっていました。人権教育係として私に何ができるだろうと考え、かかわる2年生に対し、憲法で保障されているところの「立つ・立たない、歌う・歌わない」の選択の自由を記載したプリントを配布しました。生徒たちは自らの選択で起立・不起立を選んだようでした。ところが、私はこのことによって、T校長(当時の四條畷高校長)から、呼び出され、強い叱責を受けることとなりました。校長は厳しい口調でえ「これは自分に対する人権侵害である。こんなことをしてもらったのでは、本校で勤めてもらうことはできない」と私を責めました。私も私の思いを述べましたが、残念ながら理解していただけませんでした。校長の言葉に恐怖感を持ち、私はその後大阪教育合同労働組合に加入しました。 

2005年春、担任する四條畷高校第57期卒業式を前にしたある日、私は担任するひとりの生徒から相談を受けました。「自分は卒業式予行の折、校長に、国歌斉唱時座ってもよいか質問をしたいと思っている。先生、サポートをしてほしい」と。内容のいかんにかかわらず、意見表明の重要性は国語の授業や人権学習を通して私自身が述べてきたことです。私はふたつ返事で引き受けました。そして、予行当日、彼女の質問になかなか答えない校長に対し、「どうか、彼女の質問に答えてあげてください」と発言しました。他回答を求めた卒業生もおり校長は、すわる自由があると答えました。本番の卒業式において、式は滞りなく進みました。国歌斉唱時には、たしか、担任席では半数の教員が、そして卒業生席では、数ははっきりわかりませんが、かなりの生徒(1~2割ぐらいの生徒でしたでしょうか)が、いわゆる「不起立」(国歌斉唱時に立たないこと)でした。

ところが、年度末思いもよらないことが起こりました。「評価・育成システム」の開示面談において、戸谷校長から、「あなたの能力評価はCとした。理由は、卒業式における君が代のことだ」と告げられました。納得がいかず、評価について苦情申出を行いましたが、結果は、校長評価は妥当である、とのものでした。「不起立」の教員は他にもおりましたが、C評価は四條畷高校で唯一私だけでした。卒業式国歌斉唱について質問した生徒に答えてあげてほしいと発言しただけで極めて低い評価がつけられ、苦情審査においてもその不当性を認めてもらえない。それが“君が代”のなせる業なのでしょうか。私はこのとき職業倫理すら失った教育行政のあり方に、改めて“君が代”の恐ろしさを感じました。

多くの方々からお知恵を拝借し、私は大阪弁護士会に人権救済の申立を行いました。同僚や保護者からも支援をいただきました。なにより嬉しかったのは、C評価は不当なことと声をあげる教え子たちがいたことです。正直、教育行政のあり方に幻滅を感じていたときだけに、応援してくれる教え子たちの存在に私は何よりも励まされました。

2008年秋、大阪弁護士会が大阪府教育委員会と四條畷高校校長に対して、「C評価は、申立人の思想・良心の自由を侵害するものであるから撤回せよ」と勧告を行いました。私は学校内外で、この弁護士会勧告を知らしめました。そして、勧告の実施を大阪府教育委員会と校長に迫りました。ところが、撤回はせず、大阪府教委委員会は当時2年生担任であり、次年度は引き続き3年担任への持ち上がりを希望していたにもかかわらず、突如、私を枚方なぎさ高校に異動の辞令を出しました。勧告を事実上葬り去り、そして3年担任として私が四條畷高校62期卒業式に参列することを阻止するための人事異動だとしか思えませんでした。納得はできませんでした。このような形で人事異動が行われること自体が許せませんでした。人事委員会に不服申立をしたものの俎上にさえあげられませんでした。

2009年4月、私は枚方なぎさ高校に赴任しました。2年目には通例にしたがって担任を希望しました。国語科でも、第7期生の担任として入試業務なども担当することになりました。ところが、任命制人事のもと、当時のO校長は私を人権教育委員長に任命し、またしても、私は担任から外されました。話は戻りますが、赴任したその日にO校長は前任校の四條畷高校楠野校長から私のことは聞いている旨の話がありましたので、担任から外されたとき、すぐわかりました。入学式・卒業式で国歌斉唱時に不起立であることが予想される私を排除したかったのです。“君が代”とは一体何なのでしょうか。卒業式や入学式で国歌斉唱時に「不起立」であることはそんなにいけないことなのでしょうか。

2010年4月、私は人権教育の係として、新入生に人権とは何かについて話をしました。7期生とは、そういった人権学習を通して関わり続けて来ました。また教科担当としては、1年次は7クラス中6クラス「現代文」や「古典」を通してかかわって来ました。2年次は、副担もはずれましたので「基礎国語」2講座だけになり、3年次では、わずか「現代文探求」1講座だけになってしまいました。それでも、定年を前にして3年間かかわって来た枚方なぎさ高校第7期生は私にとって忘れがたい生徒たちです。

昨年4月、入学式国歌斉唱時不起立で戒告処分を受けましたが、到底納得できるものではありませんでした。たとえ条例ができ職務命令が発出されたとは言え、それに従うことは絶対的なことなのでしょうか。その条例や職務命令が違憲・違法の可能性をもったものであったとしても従わなければならないのでしょうか。自らの良心に照らし合わせて

(この場合の「良心」とは道徳的かつ一般的常識的なものではありません。人一人ひとりが生きていくときにこれだけはどうしても譲ることのできないといういわば「背骨」のようなものです)従うことができない場合でも、自分の良心を捨てて、つまり自分の精神を自ら殺してでも従わなければならないものなのでしょうか。

人権教育において、差別を許さない取り組みの中から生まれた「近畿統一応募用紙」の精神を活かす取り組みは、広く大阪の人権教育のなかで行われて来ました。違反質問があったとき、何と答えればいいか多くの高校生は悩みます。質問に答える方が有利ではないだろうかと。それに対して、「自分は被差別出身ではないからと答えることは、差別を許すことにつながっていく。できれば学校から答えなくてよい、と指導されています」答えては、等の指導をします。おかしなことに対して声をあげていくことは難しいけれど、差別や偏見を許せばそれに加担することにひいてはつながっていくことを様々な事例や教材を通して私は話し続けて来ました。それだけを考えても、学校に国歌国旗が強制されることの危険性を母の話や自分自身の高校生時代の体験を通して人一倍認識している私は、国歌斉唱時に内心と切り離して立ち歌うことなど到底できることではありません。それをすれば、私は、私自身の精神を自ら殺すことになります。

では、参列しなければよいのでしょうか。それも私にはとても奇妙なことに思えるのです。予め、国歌斉唱時には起立するとの確認できた教員しか参列できないとすれば、一体卒業式とは何なのでしょうか。つい数年前までは、「お手すきの先生方はできるだけ卒業式に参列し卒業を祝ってやってください」と言われていたのに、今では、厳しい思想検閲を受け、それを突破したものだけが卒業式に参列できるなど、どう考えてもおかしな事態です。

昨年処分を受け、ただいま、人事委員会に不服申立を行っていますが、私はできれば君が代強制の問題をはじめ様々な課題を、生徒と直接日々かかわっているから現場の教職員と話し合いたいと思って来ました。しかし、教員管理が年々徹底していく中では、自由な論議は望めません。まして“君が代”問題で処分を受けたとなると、どうしても「見ざる聞かざる言わざる」という形で他の同僚たちが身を守ろうとするのは仕方がないことだと思います。強制異動や人事査定でどのような報復措置を受けるかわからないような現場の有様です。私はこのことに対しても強い怒りを禁じ得ません。   

私は、3年間、いろんな形でかかわってきた第7期生の卒業式に参列したいと考えました。本来なら、校長を説得する必要があったかもしれません。誰かに役割分担を変更してもらう道もあったかもしれません。しかし、役割分担と起立斉唱の職務命令が出ている以上は、私は、できるだけ他の現場の教員に被害が及ばない形で参列したいと考えました。

そして自らの意思で卒業式に参列しました。3年生答辞のなかに「枚方なぎさ高校で過ごした3年間、無駄なことなど一つもなかった」とありました。そう第7期生一人ひとりにいろんな出来事があったと考えます。彼彼女らは、それを糧に生きていくでしょう。この言葉を聞くことができただけでも、たとえ、処分されるようなことになろうとも、私は卒業式に参列できて本当に良かったと思います。

縷々述べて来ましたが、申し述べたいことはまだまだあります。

なぜ、大阪がこのような事態に陥ったのか、“君が代”をそこまでして徹底させようとする狙いは何なのか、今後も考え続けていきたいと思います。

なお、取り急ぎしたためました文章ですので、誤字脱字等ありましてもご容赦をお願いします。

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それでも私は入学式に参列してよかったと思う

2014-08-07 21:00:07 | 当該から

橋下維新政治によってる教育諸条例が制定された後の初めての入学式、私は「君が代」斉唱時、起立しませんでした。そのことを現認され(管理職によって起立していないことを見咎められ)、その顛末を記し校長に提出しました。「不起立」の思いを精一杯書きました。お読みいただきご意見いただければ嬉しいです。

顛 末 書(私が「君が代」不起立だったわけ)

2012年4月13日

辻 谷 博 子

  私は、2012年4月6日の職員会議において校長から出された役割分担表によって、「入学式において、正門警備を行うよう」職務命令を受けましたが、4月9日に行われた入学式に参列し教職員席に座り国歌斉唱時に起立をしませんでした。

 起立しなかった理由は、教育公務員としての倫理上の責務の自覚にあります。教育という仕事を国家のために為すべきことと考えれば、当然、入学式国歌斉唱時に起立しました。しかし、教育という仕事は多様な子ども一人ひとりの教育への権利を尊重することにあると考えます。厳粛な式典における国旗掲揚、国歌斉唱の強制は、無意識のうちに子どもを一つに束ね国家への帰属意識を強調することになります。小学校、中学校、高校、その入学式・卒業式において繰り返しその一元的な価値を子どもに強制することは、子どもたちが存する、この社会における不寛容性、排他性を伸張させることにもつながりかねません。私は教育公務労働者として、そのことを危惧します。本校では多様な生徒が学んでいます。日本以外の民族的ルーツを持つ生徒、障がいを持つ生徒、社会的あるいは家庭的に経済的に被差別の状況にある生徒。個々人の生徒の教育への権利の実現に尽力すべき教育公務労働者として、常にそのことに自覚的でありたいと考えています。

 そもそも、近代史における学校の役割を振り返ってみたとき、学校は常に国家の要請するところの国民を排出してきました。学校は、西欧の軍隊をモデルとして日本が近代国家として体を為すことを目的として誕生しました。近代の戦争は、学校なくしては起こりえなかったといっても過言ではないでしょう。そして学校における皇民化教育によって誕生したのは天皇の軍隊でもありました。近代天皇制と軍国主義教育は過分に結びつき、日本国家の戦争遂行を実現させ、そのことによって本来一人ひとりが持つ人間の生存の権利を奪い尽くして来たと言えます。そう言った過去の歴史を学ぶとき、国家が要請するところの愛国心教育に警戒し、それに抗うことは、現代における教育公務労働者の最大の職務であると考えます。

  また、昨今、格差社会における労働現場の苛酷さが問題となっています。子どもたちが学び、それを糧として働く社会において必要なことは労働者としての権利主張であると考えています。

 入学式や卒業式で必要なのは、天皇を讃える「君が代」ではなく一人ひとりの人間存在を讃える「我が代」的な歌こそがふさわしいと考えます。たとえ、子どもたちがそれに無自覚でいようと、学校における厳粛な儀式で繰り返し執り行われる「君が代」は身体化されることによって子どもに影響力を持ちます。意味もよく理解しないまま、その歌詞とメロディーを通じ「国民」化する装置として機能します。このことは特に問題だと考えます。意味すらわからない国歌を受容することをよしとする教育によって権利主体としての市民は生まれ得ないと考えます。 

 憲法は一人ひとりの人間の権利を謳っています。学習権しかり、教育権しかり、生存権しかり。主権は国家ではなく民にあります。憲法によって規定された権利を尊重してこそ公教育労働者の責務は果たすことができると考えています。憲法によって保障された自由と権利を損なうことは許されることではないと考えました。よって、ぞの虞が濃厚な儀式における「国歌斉唱」に不起立という形で抵抗をした次第です。私自身の自由と権利を侵害し、そして、子どもの教育への権利を侵害することにつながる国歌斉唱を入学式で執り行うことにはあくまで反対です

顛末書 追加資料

2012年4月23日

辻 谷 博 子

                                                   

(1)2012年4月9日入学式に至るまで

 本年度も、一昨年度、昨年度に引き続き、校長より人権教育推進委員長に任命され、その職務を引き受けました。人権教育を推進していく上で、4月1日に施行された教育行政基本条例・大阪府立学校条例・職員基本条例下、子どもの教育への権利が侵害されることのないように考慮していくことの必要性を痛感していました。

 さて、例年通り、新入生について中学訪問ならびに電話による問い合わせが行われましたが、ある中学からの情報で、「クリスチャンゆえ、『君が代』斉唱はしない新入生」がいることがわかりました。そのような立場を抱えている新入生がいることに、改めて入学式や卒業式で、「君が代」を斉唱することが人権侵害につながる虞があることについて怒りを感じると共に憂慮を感じました。その件につきましては、学年主任と相談し、詳細を聞くため改めて中学訪問をし、当該生徒の立場の把握に努めました。入学式においては、新入生と高校との信頼関係もまだできていないゆえ、思想・信条・良心・信仰の自由を保障することは極めて困難な状況にあります。

 本年度入学の第9期生は私にとって定年まで最後に教える生徒となります。1年副担任として、また人権教育推進委員長としても、強く入学式への参列を希望し管理職に訴えました。ところが、以前より、入学式・卒業式における「君が代」斉唱には反対だと意見表明していることから、どうしても参列は許されませんでした。これは、極めて異常なことです。入学式への教員の参列が思想調査によって不許可となるわけですから。現に他校でも1年担任でありながら、式場外勤務を命じられた教員もおります。

 4月6日職員会議で、役割分担が示されました。私は正門警備となっていましたが、その場で異議申し立てをするわけにはいきませんでした。学校現場では新年度入学式・始業式を控えて時間はいくらあっても足りない状況でしたので、意見表明しても平行線に終わる論議の時間を取るわけにはいかなかったのです。職員会議では、参列者をはじめ式場配置の教職員のうち、様々な理由で式場外勤務を望む方がいれば配慮してほしい旨を発言し、また、この異常な状況のなかで、今後、公教育の在り方を模索していきたいと述べるに留めました。

 入学式当日、公教育の担い手として自分の取るべき道について考えました。自分はどうすればいいのだろうか。「君が代」という国歌の持っている問題性もさることながら、教育行政から校長を通じて教職員全員に職務命令という有無を言わさぬ形で国歌斉唱を義務づけられるような異常な事態において、自らの教師という仕事を続けていくために自分がなすべきことはなんだろうと考えました。

 大阪維新の会橋下徹代表は、3月20日テレビ出演をし、「国歌斉唱の折に立てないと考えている教員には逃げ道を与えている」「立ちたくなければ欠席という選択をするのは大人の知恵」「逃げ場を全部閉ざした上で、何でも締め上げることはしない。大人の対処法がある」と言われたことを報道によって知りました。教員を式場外の係に配置することについても「式場内での不起立を許さないよう現場でしっかりやってもらえればいい」と話したそうです。 結局、橋下氏が考えていることは、条例の下で、「成果」をあげることなのだと思いました。つまり、条例ができ、表向き入学式における「君が代」斉唱不起立者がゼロになればいいといいうことなのです。学校における君が代斉唱不起立は、そもそも重篤な憲法問題であり、一人一人それぞれの根幹をなすところの歴史観・世界観に委ねられる問題です。2010年度卒業式で4名、2011年度入学式で2名の不起立者に、橋下知事(当時)は激怒し、「君が代」斉唱時に立たない教員は辞めてもらうとまで発言したことは周知の事実です。そこで君が代斉唱をルール化し「大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例」を制定し、それを教員を支配するためのルールの問題としていきました。そして挙句の果てには、そのルールについてダブルスタンダードの対応を迫ったのです。これをそのままにしておいたのでは、学校でも同じようなことが起こりかねません。生徒が納得しようがしまいが、規則を作る権限を持っている教員がルールを策定し、子どもらに迫る、そして、そのルール策定の成果をあげるために二枚舌の対応を子どもに迫る。これは人事査定制度で教員一人ひとりが不合理かつ理不尽な勤務評定を受け賃金に反映されている現状からみると、あながち飛躍した予想ではないかもしれません。

 (2)2012年4月9日入学式

 通勤途中、ある親子連れに出会いました。2010年度本校の教職員人権研修で共生共育についてお話しいただいた方でした。そして息子さんは、府立高校に入学し、今春2年生に進級がかなったそうです。障がいのある生徒との共生共育教育は大阪は進んでいると聞きます。しかし、その一方まだまだ課題は多く残されています。新しい3条例のもと、共生共育が今以上に進んでいくのかを考えると、競争原理の強化と成果を求める教育改革では、後退していくのではないかと憂慮します。

  さて、午前中の仕事を終え、13時に正門に行きました。正門警備は私を含め3名が担当していまいしたが、他の2名の姿はなく、自転車の整理係りの教員が数多くいました。間もなくあと2名の教員もやって来て、多数で、警備というよりは新入生と保護者に声にお祝いの声をかけるというようなものでした。13時45分頃のことです。私は、一人の保護者から子どもが入学式で身に着けるはずのリボンを忘れたので届けてほしいと依頼を受けました。その旨を他の教員に断って教室に届けに行きました。

  その後のことです。正門には多数の教員が待機しており、万が一何かが起こっても対処する体制はあると判断できました。つまり、私が14時から始まる入学式に参列しても支障はないと判断したわけです。私は、そのまま、体育館の入学式式場に向かいました。開式の5分前のことです。私は迷わず参列者の席に座りました。保護者はその時点で大半が着席されていました。私が座ってまもなく、教頭から「自分の持ち場にもどってください」と声をかけられました。参列を決めていた私は、保護者を前にしてその場で言い争いになることは何としても避けたいと思っていました。おそらく教頭も同じ気持ちであったろうと思います。着席したまま、「騒ぎになりますよ」と答え、そしてそのまま式は始まりました。開式の辞の後、国歌斉唱の号令時、黙ってそのまま座りました。座ったのは私一人であったように思います。あのとき何を考えていたのかよく覚えていません。ただ、国歌斉唱の後、吹奏楽部による校歌演奏を聴きながら、私は自分が思い描くような教育をして来ただろうか、後1年しかない。そう思うとふいに目頭が熱くなりました。私はこの1年を精一杯に生徒たちと付き合っていこう思ったことを覚えています。校長の祝辞、PTA会長の祝辞、それを聞きながら入学生の背中を見ていると、緊張感とそこから来る疲労感のようなものが私にまで伝わってきました。心引き締まる思いがしたのを覚えています。入学生たちが退場するときは万感の思いを込めて拍手で見送りました。そして、この定年までの最後の入学式に参列できたことを心からよかったと思えることができました。

  仕事一段落した頃、校長・教頭に不起立であった事実を認め、そして改めて職務命令で従わせるようなやり方はおかしいと主張しました。

  学校にはいろんな生徒がいます。そしていろんな教員がいます。そこで一番大事なことは、ありきたりですが、やはり対話――話をすることだと思います。今回、君が代起立を強制するような条例を制定し、職務命令を発出し、違反すれば処分、しかも3度不起立であれば分限免職を定めるようなやり方はどう考えても納得できません。

                                       

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