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「君が代」不起立処分大阪府・市人事委員会不服申立ならびに裁判提訴当該15名によるブログです。

東京「日の丸・君が代」処分取消(2次)訴訟原告団・弁護団声明

2013-09-08 17:25:28 | 「君が代」裁判

「君が代」最高裁第二小法廷判決に対する東京「日の丸・君が代」処分取消(2次)訴訟原告団・弁護団の声明を掲載します。被処分者の会HPよりの転載です。(T)

「日の丸・君が代」不当処分の撤回を求める被処分者の会HPhttp://www7a.biglobe.ne.jp/~hishobunshanokai/

 

 

声    明

 

1 本日,最高裁判所第二小法廷(鬼丸かおる裁判長)は,都立学校の教職員62名が「日の丸・君が代」強制にかかわる懲戒処分(戒告処分,減給処分,停職処分)につき,戒告処分の取り消しを求めて最高裁に上告していた原告らの上告を棄却する判決を言い渡した。停職処分1件,減給処分21件については、本日の判決に先立つ上告不受理決定によって、東京都教育委員会に裁量権の逸脱濫用の違法を認め処分の取消しを命じた東京高裁判決が確定している。

 本日の判決は、戒告処分の取り消しを認めなかったとはいえ,最高裁が,2012年1月16日の判決及び本日の判決によって,都教委による教育行政の暴走に一定の歯止めをかけるものと評価するものである。

2 都教委は,2003年10月23日に「入学式,卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について」との通達を発令し,全ての都立学校の校長に10・23通達と同内容の職務命令を出すように強制することにより,都立学校すべてにおいて画一的な内容の卒業式・入学式を強制した。10・23通達によって,教職員は,画一的に,卒業式等における国歌の起立斉唱が義務付けられ,10・23通達に基づく職務命令に従えない教職員に対しては,1回目は戒告,2,3回目は減給(1~6ヶ月),4回目以降は停職(1~6ヶ月)と,処分回数のみを基準として処分が累積的に加重されていく,いわば「累積加重システム」を作りあげ,これを実施してきた。職務命令に従えなかった教職員の中には,国旗国歌自体ではなく,都教委による教育現場への介入について問題意識を持った者も多く含まれている。

 今回、最高裁は,「不起立行為等に対する懲戒において戒告を超えてより重い減給以上の処分を選択することについては,本件事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が必要となる」とした上で,「過去に戒告1回の処分歴があることのみを理由に減給処分を選択した都教委の判断は,重きに失するものとして社会観念上著しく妥当を欠」くとして,減給以上の処分の取消しを命じた東京高等裁判所の判決を結論として是認した。

 そして,「毎年度2回以上の式典の度に懲戒処分が累積して加重されるという短期間で反復継続的に不利益が拡大していくこと等を勘案」し,減給以上の懲戒処分が違法であることが確定したことは,きわめて重要な意義を有するものであり,東京都が実施してきた「累積加重システム」は、断罪されたというべきである。

3 鬼丸かおる裁判官は補足意見において,「個人の思想及び良心の自由は憲法19条の保障するところであるから、その命令の不服従が国旗国歌に関する個人の歴史観や世界観に基づき真摯になされている場合には、命令不服従に対する不利益処分は、慎重な衡量的配慮が求められるというべきである」として,「当該不利益処分を課することが裁量権の濫用あるいは逸脱となることもあり得る」と判断している。これは,戒告処分であっても「裁量権の逸脱濫用」として取り消される場合があることを示唆したものである。

 また,同裁判官は、都教委に対し「謙抑的な対応が教育現場における状況の改善に資するものというべき」とも述べており,これは,教育行政による硬直的な処分に対して反省と改善を求めたものというべきである。

4 もっとも,今回の最高裁判決においても,10・23通達,起立斉唱命令,懲戒処分が,憲法19条,20条,23条,26条違反及び改定前教育基本法10条(不当な支配の禁止)に該当し違憲違法であるという原告らの主張については,従前の判決を維持し,これを容れずに原告らの上告を棄却した。さらに,そもそも立憲主義においては「国家(権力)が自らに対する敬意の表明を強制すること」が許されないこと,それ自体,国家(権力)が国民に対して強制できる事柄の限界を超え立憲主義に違背することを看過したものであって,最高裁判決が事案の本質を正しく見定めて判断したものとは言い難く,遺憾というほかはない。

5 最高裁は,結果として都教委による「累積加重システム」に基づく減給・停職処分が違法であるとして,処分の取り消しを認めた。都教委は,最高裁の司法判断を踏まえて国旗・国歌の「強制」を見直し,教職員に対する全ての懲戒処分を撤回すべきである。

 また,直ちに10・23通達を撤回し,職務命令の発出をやめ,教育現場での「国旗・国歌」の強制と,「国旗・国歌」強制に象徴される,教職員に対する画一的な管理統制をあらためなければならない。

 わたしたちは,今回の最高裁判決を機として,今後も「国旗・国歌」のための卒業式・入学式ではなく,生徒のための素晴らしい卒業式を取り戻すことを求めるとともに,学校現場での思想統制や行政による教育支配を撤廃させ,児童・生徒のために真に自由闊達で自主的な教育を取り戻すための取り組みを続けていくことをここに宣言する。

2013年9月6日

東京「日の丸・君が代」処分取消(2次)訴訟原告団・弁護団

 

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東京「君が代」最高裁判決―鬼丸かおる裁判官補足意見―

2013-09-08 08:51:31 | 「君が代」裁判

東京「君が代」最高裁判決、第二小法廷(9月6日判決)では、補足意見がつきました。

第一小法廷(9月5日判決)では、一切補足意見や反対意見がつかなかったことを考えればかろうじて最高裁の良識を示したとも言えます。いや、あらゆる方面から批判されている最高裁の憲法19条保障問題を巡って、何らかの補足意見なしでは司法の役割りを果たし得ないとの判断であったかもしれません。いずれにしても、私たちは、さらに憲法19条の保障を求めて、「君が代」不起立裁判を積み重ねていく必要があります。この補足意見を足がかりにして、司法に対して揺さぶりをかけていくことが私たちに求められています。(T)

下記に、鬼丸かおる裁判官の補足意見を記載するとともに、9月6日判決を掲載します。なお、判決は、被処分者の会HPから転載しました。http://www7a.biglobe.ne.jp/~hishobunshanokai/

 

鬼丸かおる裁判官の補足意見

法廷意見の引用する最高栽平成23年5月30日第二小法廷判決、最高裁平成23年6月5日第一小法廷判決、最高裁平成23年6月14日第三小法廷判決及び最高裁平成23年6月21日第三小法廷判決の各判例が指摘するように、

卒業式における国歌斉唱の際に国旗に向かって起立し斉唱すること等を命じた職務命令は、「日の丸」「君が代」に関する当該教諭の歴史観ないし世界観に由来する行動と異なる外部的行為を求められることとなる面があり、個人の思想及び良心の自由についての間接的な制約となり得る面の存在することは否定し難いものである。

個人の思想及び良心の自由は憲法19条の保障するところであるから、その命令の不服従が国旗国歌に関する個人の歴史観や世界観に基づき真摯になされている場合には、命令不服従に対する不利益処分は、慎重な衡量的な配慮が求められるというべきである。

求められる配慮としては、①当該教諭の国旗国歌に関する思想についての従前からの表明の有無、②不服従の態様、程度、③不服従による式典や生徒への影響の内容、程度、④当該職務命令の必要性と代替措置配慮の有無、⑤不利益処分が当該教諭や生徒に与える影響度、⑥当該職務命令や不利益処分を課することが裁量権の濫用あるいは逸脱となることもあり得るところ、これらの事情を総合的に勘案した結果、当該不利益処分を課することが裁量権濫用あるいは逸脱となることもあり得るところであり、これらの事情に配慮した謙抑的な対応が教育現場における状況の改善に資するものというべきである。

しかし、本件の事実関係及び訴訟経過等の下においては、これらの視点から結論が左右されるような事情はうかがわれないので、付言にとどめる。

 

 

コメント (1)
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