きっと多くの方は、高校時代の教科書のことなど覚えておられないかもしれません。しかし、どんな教科書を使うかは教育内容の根幹にかかわる大きな問題です。現在は、各高校や支援学校の教員が、専門知識をもとに選択しています。した。ところが大阪府教育委員会は、現場の教員の意見を無視して教科書を選定できる制度に改悪しようとしています。これは極めて危険なことです。トップダウンで教科書が選定されるなら、政治的介入を招く危険があります。教育は政治に左右されてはなりません。
下記に教科書問題に取り組んでいる伊賀さんからのメールを転載します。
子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会の伊賀です。
大阪府教委は、4月の教育委員会議で、大阪府立高校・支援学校の教科書採択制度を改悪し、現場教員の調査研究を無視し、校長が独断で教科書を選定できる制度に改悪しようとしていることが明らかになりました。
詳しい経過は、以下のブログにあります。
http://blog.goo.ne.jp/osakaedu/e/84fa952fd1eff493b8b8b71b5a11bb6d
子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会で、大阪府教委に対して「要望書」を提出しました。様々なところで、府教委に要望や抗議の要請をお願いします。
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2014年度使用府立学校教科書採択に関する要望書
2013年5月29日
大阪府教育委員会教育長様、教育委員長様
子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会
貴教育委員会におかれましては、日頃の教育行政に尽力されていることに、敬意を表しています。
さて、先般5月17日の教育委員会議において「平成26年度使用府立学校教科省図書採択要領」(以下、「採択要領」)及び、「教科省図書選定の手引き」が提案されました。昨年度までの高教科書採択においては、各学校の校長のもとに「教科用図書選定調査委員会」が組織され、各教科ごとに調査研究され、校長に提出された「調査研究の報告」に基づて選定教科書が報告される制度となっていました。そこでは、各教科の教員が教育的専門的視点から「調査研究」をおこなうことが定められ、専科制を前提とする高校教育における教科書選定の手順が適正に定められていました。
しかし、今回提案された「採択要領」には、「校長は、教科用図書の調査研究を十分に行い選定すること」とあるだけです。「調査研究」について教科用図書選定調査員会と各教科で調査研究することが全く規定されていません。この規定では、校長が「調査研究」にあたり、「教科用図書選定調査委員会」を組織しなくても良いことになり、現場教員の意見を反映しないまま校長の独断、あるいは恣意的「選定」という疑いを持たれる事態が生じかねない制度となっています。そのような事態となった場合、高校段階の教科書は無償制の対象ではなく、保護者の負担で購入するものとなっていますので、選定及び採択の過程が不明瞭かつ不公正であるとして、保護者が購入を拒否、あるいは監査請求をすることも予想されます。そうした状況を避けるためにも、昨年度までの制度を継承すべきです。
また、教育委員会議において「教科書選定に当たっての基本的留意事項」にある「人権教育の観点」の削除を求める意見が教育委員から出たとも聞いています。ご承知の通りこれまでの大阪の教育には人権尊重の精神が基盤としてあり、教科書選定において削除することなどあってはならないことです。
以上の点を踏まえ、私たちは、憲法の理念や近隣諸国との友好関係を深める観点から、公正かつ民主的に教科書採択が行われるよう貴教育委員会に以下の点を要望します。さらに、それらについての貴教育委員会の見解を明らかにしていただきたいと思います。ご多忙とは思いますが、回答を6月12日(水)までにお願いします。
【要望事項】
1.「採択要領」に昨年度までと同様に「教科用図書選定調査委員会」と各教科での「調査研究」を明確に位置づけ、現場教員の調査研究を重視して教科書の選定をおこなうこと。
2.教科書の調査研究、選定に当たって、「教科書選定に当たっての基本的留意事項」に規定されている「人権尊重の観点」を重視するように明示すること。
以上