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「君が代」不起立処分大阪府・市人事委員会不服申立ならびに裁判提訴当該15名によるブログです。

「ピースボート日記」 その3

2023-06-25 19:23:53 | ピースボート日記

「ピースボート日記」 その3

 これを書いているのは、6月24日です。ピースボート(PB)の旅程は3分の2を過ぎ、残すところ約1か月となりました。今回は、乗客の様子と、PBの日常生活についてレポートしたいと思います。

 乗客は、約1400人。コロナ対策もあって、船の収容人数にはかなりの余裕があるようです。実際、5月頃コロナ感染者がかなり出たようですが、隔離のために予備の客室を利用していました。20代前後の「若者」は1割程度で、乗客の平均年齢は70代だそうです。60代になったばかりの私は、よく「若いねえ~」と言われます。国籍は、「日本」が圧倒的に多いのですが、中国本土、台湾、香港、韓国、シンガポールなどの人もかなりいて、船内の案内は、常に「日本語」「中文」「英語」「韓国語」の4言語対応です。6月19日には、世代・国籍の壁を超えた「洋上運動会」が開催されました。

船内での生活は、基本的に乗客の自由意思に任されています。私は大体6時ころに起き、デッキを船首から船尾までぐるーっと散歩してから、デッキで開催される「洋上ラジオ体操」に参加しています。「ラジオ体操なんて…」と思っていましたが、100日以上の船内生活を規則正しく送るために役立っています。そこで会った知り合いと朝食をとり、いったん部屋に戻ってギターを担ぎ「楽器練習ひろば」に向かい、前回紹介した船内バンドの練習をしています。6月23日には、「沖縄デー」の関連企画として、三線奏者や沖縄県人会の方々ともコラボして、「島唄」「涙そうそう」「オジー自慢のオリオンビール」などを演奏して大いに盛り上がりました。エイサー隊にもたくさんの方が参加していたし、沖縄戦や基地問題などに関する講座やしゃべり場も充実していて、PBならではの1日を過ごすことができました。

                              
 (写真は、洋上運動会の「子ども玉入れ))

 


「君が代」調教NO!松田処分取消裁判控訴審:松田幹雄さんの報告

2023-06-14 09:56:29 | 「君が代」裁判
「君が代」調教NO!松田処分取消裁判控訴審:松田幹雄さんの報告
 
昨日(6月13日)16:00大阪地裁別館(高裁)84号法廷での「君が代」調教NO!松田処分取消裁判控訴審第1回期日には、多くのみなさんに傍聴支援に駆けつけていただき、ありがとうございました。
 
大阪高裁の本件控訴審の担当は第4民事部ハ係。阪本勝裁判長は岡山地裁所長から今年5月に大阪高裁民事部統括として転勤してきた人のようです。
 
最初に提出書面の確認と陳述。
控訴状、控訴理由書、控訴答弁書と原審口頭弁論の全陳述に加えて、控訴理由書に伴う寺中誠意見書と私の控訴審冒頭意見陳述(意見書)も甲57号証、甲58号証として確認されました。また、地裁からの書類に甲49号証、甲50号証の記載が漏れていたということで、この法廷での陳述扱いにすることを確認しました。
 
谷弁護士の方から、原審結審(2022年8月22日)以降に提出した原告第8準備書面(主張を総括的に述べた最終準備書面にあたるもの 2022年10月28日付)と原告第9準備書面(2022.11.3公表の自由権規約委員会勧告の紹介 2022年11月7日付)も陳述した形にしてほしいと要望し、確認されました。
 
次に、私・控訴人松田の方から、5分間の冒頭意見陳述を行いました。私がなぜ「君が代」不起立不斉唱だったのか、原審判決がそれにふれずに請求を棄却したことが問題であると訴えるとともに、今年の小学校卒業式・中学校入学式で「君が代」を起立・斉唱しなかった娘さんのお母さんのことばを引用して、教員の処分の問題は児童・生徒の人権に直結していることを訴えました。
 
その後、裁判長が、結審を宣言しそうになったところで、谷弁護士から、被告はきっちり噛み合った形での反論をすべきでそのための口頭弁論が必要と訴えました。内容は、原審結審後に出された「君が代」処分を自由権規約第18条違反とする国際人権自由権規約委員会勧告についての反論がなく、また、控訴理由書で、裁量権の逸脱濫用にかかわる詳しい主張をしたのに、それに対する反論もないことです。
 
裁判長が意見を聞くと、被控訴人弁護士は「反論はすべて原審でやっていてもう主張すべきことはない。直ちに結審を。」と述べました。それを受けて、裁判長は、「被控訴人もそう言っているので」と結審を宣言し、事前に決めていた判決言い渡しの日程を、こちらの都合を聞くこともなく、「7月27日(木)14:00(別館84号法廷)」と告げて閉廷しました。
 
傍聴いただいていた支援者のみなさんから、大きな抗議の声が上がりました。
 
その後、大阪弁護士会館に会場を移して報告集会を行いました。
 
敗訴判決が予想される訴訟指揮でしたが、論理の上では、被控訴人・大阪市側には反論できる内容がまったくなく、被控訴人を勝たせる判決を書くには、内容に入るわけにはいかないという裁判所の判断があるように思えました。私が控訴理由書で主張した内容、国際人権自由権規約委員会勧告についての寺中誠意見書の内容を広く宣伝し、仮に、控訴棄却の判決ならその判決理由に広く批判が沸き起こる状況を判決までにどうつくるのか、何ができるのかを今後考えていきたいと思います。その方針がはっきりしたら、協力を求めたいことをまた発信しようと思いますので、その際は、ご協力。よろしくお願いします。
 
以上、昨日の控訴審第1回期日の報告でした。
 
(参考)
 
 
 
 

 

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「君が代」調教NO!松田処分取消控訴審結審:寺中誠さん意見書掲載

2023-06-13 17:14:11 | 「君が代」裁判

「君が代」調教NO!松田処分取消控訴審結審

判決は7月27日(木)午後2時より高裁法廷84号にて!

いずれ控訴人松田さん、そして弁護団から報告があると思いますが、ここでは、控訴審に提出された意見書を掲載します。

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2023年松田氏控訴理由書に伴う意見書

2023年6月11日

東京経済大学 全学共通教育センター教員 寺中 誠

 9つある国連の主要人権条約のうち、世界人権宣言の条約化を担うものとして立案された二つの国際人権規約は、人権の包括的なカタログを示すものである。世界人権宣言とともにこれら二つの国際人権規約は、国際人権章典(International Bill of Rights)の別称で知られている。国際人権規約は、「市民的・政治的権利に関する国際規約」(以下、自由権規約)と「経済的・社会的・文化的権利に関する国際規約」(以下、社会権規約)からなる。特に自由権規約については、人権条約の履行監視機関として「自由権規約委員会(UN Human Rights Committee)」が設置され、各締約国から国際人権法の専門家(Expert)が個人として任命されている。委員会の主な任務としては、ほぼ5年ごとに予定される各国の人権状況の審査を実施し、人権状況の具体的改善案を総括所見(Concluding Observations)として各締約国に勧告すること、自由権規約の条文の解釈指針をまとめる一般的意見(General Comments)を委員会として審議し、採択することである。

 

 2022年の国連自由権規約委員会による第7回日本政府報告書審査では、日の丸掲揚や君が代斉唱に従わなかった教員が処分された件について、はじめての是正勧告が出された。これに先立つCEART(教員の地位に関するILO-UNESCO合同委員会)の第13回第14回勧告が、日本政府が市民的不服従の自由を行使した教員への処分を行なったことについて懸念と是正を求めたことに相応の注意を払ったものと類推できる。

 自由権規約委員会は、これまで毎回提出が遅れがちな日本政府報告書の数回の審査を経て、今回、総括所見において、第38パラグラフと第39パラグラフにおいて、新たにこの日の丸君が代に関わる処分の問題を重要な人権上の課題として取り上げた。今回の総括所見の第37パラグラフまでは、ほぼ前回からの積み残し案件に対して勧告を繰り返したものであったことを考えると、国連の条約機関の認識に新しい視点を加える変化が訪れたことを示していると考えられる。

 

 

  1. 委員会は、締約国における思想及び良心の自由の制限についての報告に懸念をもって留意する。学校の式典において、国旗に向かって起立し、国歌を斉唱することに従わない教員の消極的で非破壊的な行為の結果として、最長で6ヵ月の職務停止処分を受けた者がいることを懸念する。委員会は、さらに、式典の間、児童・生徒らに起立を強いる力が加えられているとの申立てを懸念する。(第18条)

 

  1. 締約国は、思想及び良心の自由の効果的な行使を保障し、また、規約第18条により許容される、限定的に解釈される制限事由を超えて当該自由を制限することのあるいかなる行動も控えるべきである。締約国は、自国の法令及び実務を規約第18条に適合させるべきである

 

 

 自由権規約第18条は、良心・信教・信条の自由を定めている。人権には、「拷問を受けない権利」や「奴隷的拘束を受けない権利」など、強行規定として絶対的に保障されるものと、表現の自由のように厳格な制約原理に基づいて部分的に限界を認めるものがある。18条1項にある思想・良心の自由は、前者の絶対的自由の典型例であるとされている。内心の自由とも呼ばれることがあるこの自由は、絶対不可侵であり、これに圧力をかけること自体も規約18条2項に規定されるように許されない。国際人権法上は、そうした絶対不可侵の自由を、いかなる緊急事態であっても逸脱不可能な権利として規約第4条に列挙している。なお、多くの学説では、この規約4条の列挙は例示列挙であり、他にも逸脱不可能な権利とされる権利が生じる可能性は認められると解されている。

 

 自由権規約18条1項と2項の思想・良心・内心の自由が絶対的自由としていかなる理由によっても侵害されてはならないことは、すでに自由権規約4条をはじめ、国際人権法上の前提となる常識となっている。そうであれば、内心の自由を絶対的に実現するために、万が一にも内心の自由への介入を許さない、制度的な保障が備えられていなければならない。自由権規約18条2項は「何人も、自ら選択する宗教又は信念を受け入れ又は有する自由を侵害するおそれのある強制を受けない」としていかなる強制も禁じている。

 その一方で、自由権規約18条3項は「宗教又は信念を表明する自由については、法律で定める制限であって公共の安全、公の秩序、 公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由を保護するために必要なもののみを課することができる」と規定する。この3項が適用されるのは「表明」(manifest)の行為のみであり、自らの意思を持って表明する場合のみが対象である。何らかの強制を加えることは2項で絶対的に禁止されているにもかかわらず、3項が一見権利制約を認めるかのような記載となっている点は、本来、18条の3項が、強行規定としての絶対的自由である18条1項と2項を制度的に担保するための規定として解釈すべきである。

 現実の社会では、しばしば事実上の強制が機能する場合がある。18条2項が禁じているとしても、何らかの理由で内心の意思の表明が不可避的に行われてしまった場合、内心の自由への介入を手続き的に制約するのが18条3項に規定された原理である。この点は、表現の自由への制約も含めて規定されている自由権規約19条の趣旨とは意義が異なる。

 表現の自由は、極めて重要な精神的自由の根幹ではあるものの厳格な基準に照らして制約し得る権利であると考えられている。この権利制約の原理については、自由権規約委員会一般的意見34号の第22パラグラフなどに指摘されるように、自由権規約19条3項にある条件をすべてクリアしなければならない。

 

 自由権規約委員会の一般的意見34号の22パラグラフは、以下のような解釈指針を提示している。

「22. (規約19条の)第3項は一定の条件を定めており,この条件を満たす場合に限り制限を課すことができる:その制限は「法律によって定められ」るものでなければならず;第3項(a)号及び(b)号規定のいずれかの根拠がある場合に限り課すことができ;必要性と比例性の厳格な基準に適合しなければならない。制限は,たとえそれが規約で保護されている別の権利の制限根拠として正当化されるものであっても,第3項に規定されていないものを根拠としては認められない。制限は,所定の目的のためにのみ適用され,かつ,制限の前提となる具体的な必要性事由に直接関連するものでなければならない。」

 

 一般的な権利制約原理であるが、これはもともと制約することが可能とされている表現の自由に関する制約である。いわゆる「二重の基準論」にいう「厳格な審査基準」が適用されるべき状況を想定している。

 絶対的自由である内心の自由を中核とする精神的自由は、表現の自由や言論の自由、プライバシーの権利などを包括する権利である。そのため極めて厳格な審査基準をクリアしなければ制約することができない。日本の司法ではしばしば公共の福祉の名の下にこれを一般的に制約できるかのような扱いが見られるが、国際的にはこうした一般的な制約は否定されており、また日本における公共の福祉の概念自体も、「曖昧で無限定であり」、国際基準に則った「法律によって定められ」たものとは評価されていない。この点は、自由権規約委員会が日本政府報告書の審査に際して以前から指摘しているところであり、2014年の第6回審査と2022年の第7回審査の総括所見など再三にわたって以下のような記述が見られる。

 

2014年総括所見

  1. 委員会は、「公共の福祉」の概念が曖昧かつ無限定であり、かつ、規約(第2条、第18 条及び第19条)の下で許容される制約を超える制限を許容する可能性があることについて、繰り返し懸念を表明する。

委員会は、前回の総括所見(CCPR/C/JPN/CO/5、para.10)を想起し、かつ、締約国に対して、規約第 18条第3項及び第19条に定める厳格な要件を満たさない限り、思想、良心、宗教の自由又は表現の自由を享受する権利に対して、いかなる制限も課すことを差し控えるよう、強く求める。

 

2022年総括所見

  1. 委員会は、思想、良心及び宗教の自由あるいは表現の自由の権利の制限につながり得る「公共の福祉」の曖昧で無限定な概念、並びに特定秘密保護法における秘密として分類され得る事項が広範であること及び分類の一般的前提条件についての前回の懸念を再度表明する。

 

 各総括所見とも、日本の憲法上の「公共の福祉」概念では、「曖昧で無限定」であるため、権利制約原理における前提である「法律による制約(法定主義)」を満たしていないと厳しく批判している。

 この点は、18条3項も19条3項も同様の制約原理が適用される。18条3項と19条3項は、前者が絶対的自由への侵害を禁止する上での権利保障措置として規定されているのに対して、後者はあらかじめ権利が制約される可能性を含めて規定されている。しかし、ともに厳格な審査基準による判断を要するため、法定主義については、現在の日本の司法審査の基準は国際的な基準に達していないことを明示している。

 直接的に内心の自由の表明を強制することはもちろん規約18条2項で禁止されているが、状況や間接的な事情によって内心の自由の表明を余儀なくされた場合、規約18条3項の制約原理に照らして、その表明行為に対する処分の正当性、必要性を判断することになる。法定主義を満たしていない時点で、すでに表明行為への処分は国際的基準の上では正当性を失っているが、さらにその表明行為が公共の安全や公の秩序を必要以上に害することを説明できない以上、表明行為への処分はまったく正当化できない。自由権規約委員会の2022年の総括所見は第38パラグラフで、表明行為自体が比例の原則を越えて過度な制限効果を与えていることに懸念を表明し、第39パラグラフにおいて、そのような処分の根拠の不存在を指摘することで、日の丸掲揚と君が代斉唱時の教育委員会の指示への不服従を処分することの不当性を指摘しているものである。

 本件は、権利制約の基本的な前提である法律にすら基づかず、一般的な意味しか持たない条例や、一介の通達により処分を行った事例である。権利制約を正当化する最初の前提である法定主義も満たしていない。さらに、被処分者の側にはそもそも公共の安全や公の秩序を破壊する行動すら一切存在しないなど、いかなる意味においても権利の制約の要件を満たしていない。自由権規約委員会は、そうした事情を踏まえた上で、日本が権利制約原理の基本を無視して条例や10.23通達にもとづいて権利侵害を行っていることを重大な懸念と捉えた(第38パラグラフ)。さらに、思想・良心の自由の絶対性を踏まえ、国際人権法は、良心的な理由に基づいた不服従には特に強い保護を与えていることを明らかにし、国内の制度的整備を強く勧告したものである(第39パラグラフ)。

 自由権規約委員会をはじめとした各条約機関の示す勧告は、条約の履行の一部を構成するものであり、日本国憲法第98条第2項にもとづいて、日本国政府ならびに地方公共団体や他の公共的機関には、誠実にこれを遵守する義務がある。2022年に発表された自由権規約委員会総括所見の第38パラグラフと第39パラグラフは、「思想・良心・内心の自由」を保障する義務からは、日本の当局は逃れられないことを示し、国内法制度を国際人権の水準に合致させるよう改善することを求めている。

 


「君が代」調教NO!松田処分取消裁判控訴審のご案内

2023-06-09 07:51:16 | 「君が代」裁判

「君が代」調教NO!松田処分取消裁判 控訴審が始まります

第1回口頭弁論では、原告(松田さん)が意見陳述します

 

6月13日(火)16:00 大阪高裁84号法廷 

ひき続き報告集会 大阪弁護士会館1110号

 

 「君が代」調教NO!松田処分取消裁判2022年11月28日大阪地裁不当判決(横田昌紀裁判長)

https://www.nakama-kyoiku.com/archives/1314

に対して、松田さんは控訴し、2023年3月10日付で大阪高裁に控訴理由書を提出。

https://www.nakama-kyoiku.com/archives/1375

被控訴人(大阪市からは、4月27日付で控訴答弁書が届きました。

https://www.nakama-kyoiku.com/archives/1434

控訴審の第1回期日は、一旦5月9日に決まっていましたが、裁判体の変更を理由に裁判所から延期の連絡が来て、調整の結果、6月13日(火)16:00高裁84号法廷となりました。口頭弁論終了後、引き続いて弁護士会館1110号室で報告集会も開催します。

 

この大阪高裁第1回口頭弁論では、原告(松田さん)の意見陳述も予定しています。今年の小学校卒業式・中学校入学式で「君が代」を起立・斉唱したくないと申し出て、その思いに沿う行動をしたむすめさんのお母さんから聞いたことばを入れて、教員への「君が代」強制は子どもにとっても人権侵害であることを訴える意見陳述です。

 

1回での結審を許さないためにも、ぜひ、多くの方の傍聴支援をお願いします

 

参考】(控訴審意見陳述内容にかかわって)

原審陳述書(2022.7.26

原告本人調書速記録2022.8.22

※本人調書速記録には、誤記誤植があると思われるので、指摘する文書を出しています。

間違い監督 訂正感得 ・間違い分書 訂正文書 ・間違い強化 訂正教化など

 

【読み原稿】

 

令和2年(行ウ)第168号 懲戒処分取消請求事件 控訴審 1回口頭弁論 

冒頭意見陳述 (20213() 16:00 大阪高裁84号法廷)   控訴人 松田 幹雄

 

意見陳述の機会を与えていただいてありがとうございます。控訴人の松田幹雄です。控訴の理由、控訴審にあたっての私の思いを述べさせていただきます。

 

原審判決では、国歌斉唱が式次第に位置づけられた卒業式にあたって、私が「指導」のあり方をめぐって校長に要請してきた事実が認定されています。しかしながら、私が何を主張し、何を要求したのか、その内容については、認定事実にありません。例えば、2015年2月16日に校長に提出した「2015.1.23大阪市教育長通知についての学校長への質問」や2015年2月23日に同じく校長に提出した「大阪市教委国旗・国歌通知にかかわる質問への学校長回答(2.18)に対する再質問」の内容や結果、2015年3月16日と3月19日に市教委に提出した上申書①、上申書②の内容についての記載はありません。

 

私は、2022年7月26日付陳述書や8月22日の証人尋問において、『「君が代」とは何か、その歴史についての私の認識』『「君が代」を起立・斉唱することの私にとっての意味』『教員としての良心の自由に基づく不起立・不斉唱』『大阪市立学校の「君が代」指導と卒・入学式の実態、及び、大阪市国旗国歌条例・教育長通知・職務命令が違憲違法であること』について陳述し、私が「君が代」を起立・斉唱しなかった理由・動機について説明しました。しかし、原審判決文は、それらにはまったくふれることなく、私の「君が代」不起立・不斉唱の理由・動機にかかわる記載は、「『日の丸』『君が代』に否定的な考えを有する原告」(判決文P32)の文言しかないのです。

 

私の処分取消請求の第一の柱は、「君が代」不起立・不斉唱の行為が、私にとってそれしか選択肢のない、私の「思想・良心」に基づく行動であり、憲法19条、国際人権自由権規約18条によって保護される権利であることです。私にとっての「君が代」起立・斉唱の意味についての認定抜きに判決を下すことはできないと考えます。

 

子どもたちへの権利侵害を見過ごすことはできず、「起立・斉唱」職務命令に従うことは、自らが子どもたちへの権利侵害に手を染めることだという認識が私の不起立・不斉唱の重要な理由・動機となっています。原審判決の経過にかかわる認定事実からも明らかなように、私は、『子どもたちに「君が代」の歴史を正しく伝え、どう考えるか、決めるのは子どもたち自身であるという立場での「指導」であるべきだと主張し、そうでなければ、子どもの権利条約違反であり、子どもの権利侵害となる』と指摘してきました。原審判決が、「君が代」強制による子どもたちへの人権侵害を問題とする主張は、この裁判の争点とはならないとしたことにはまったく納得がいきません。

 

大阪市ではないですが、今年の小学校卒業式・中学校入学式で「君が代」を起立・斉唱しなかったむすめさんのお母さんからお話を聞く機会がありました。お母さんとむすめさんが「君が代」を歌いたくない気持ちはお母さんのことばによると次のようなものです。

 

「私は子ども時代から、第二次世界大戦について考察し行動することが平和な世界をつくることに繋がると確信して生きてきました。日本の戦争責任についての総括で、いくつも納得できない点があり、その中に日の丸・君が代問題があります。いかなる見地からしても証明済みの、日本の他国への侵略。この際に用いられたものを戦後も引きずっているおぞましさは、耐えられないものがあります。」

 

小学校卒業式を前に、お母さんが、「卒業するむすめが『君が代』の起立・斉唱をしたくないと言っている」と小学校に申し出た時の学校の対応は、むすめさんに「あなたが起立斉唱しないと周りのみんなが驚く」「せっかくの卒業式を台無しにしてしまうかもしれない」「みんなで練習してきたのに、みんなに迷惑がかかる」と、起立・斉唱するように圧力をかけるものだったということです。これは、明らかに子どもの権利条約違反の対応です。

 

中学校の入学式前には、「君が代」不起立・不斉唱がきっかけでむすめさんがいじめられるのではと心配する校長に、お母さんは、「君が代」の簡単な歴史を示したうえで、「ぜひ、『君が代』の歴史をきちんと伝え、児童・生徒が自分の考えを深められるよう援助してください。子どもたちの意見を聞き、嫌だという子に強制することがないようにお願いいたします。」とお願いする手紙を渡したそうです。

 

そのお母さんは、原審判決に対して、「『日の丸・君が代』は教育委員会からの『命令』だから逆らえない。教員に対してのものだから児童の自由意思は関係ない!? そんな無茶苦茶な理論が通るわけがありません。先生のしていることは生徒に多大な影響を与えることを誰もが知っています。」と怒っておられました。

 

原審証人尋問にあたっての陳述書の最後に、私は、次のように書きました。

「『君が代』には歴史があります。また、現在、儀式的行事と呼ばれる卒業式・入学式にも歴史があります。これらは自然に今のような形になったのではなく、明治以降の国家意思によってつくられてきたものです。その実相を踏まえた判決をお願いしたいということです。次に、大阪市の国旗国歌条例と教育長通知の下での現在の卒業式・入学式の現実について、子どもの権利条約に照らして評価してほしいということです。最後に、それらの状況を踏まえた上で、私の『君が代』不起立・不斉唱の行為を罰するべきかどうかについては、『思想・良心の自由』『教員としての良心の自由』の適用を、国際人権自由権規約第18 条第 3 項の規定にそって判断いただきたいと思います。」

 

裁判官のみなさまには、私にとっての「君が代」起立・斉唱の意味、特に、子どもたちへの権利侵害に手を染めることはできないという私の不起立・不斉唱の理由について認定いただき、それが国際人権自由権規約第18 条で保護される権利であるとの判決をぜひともお願いしたいと思います。それが、子どもの人権保障に直結するものであることを確信しています。

 

 以上、意見陳述を終わります。

 

 


ピースボート日記 その3

2023-06-02 07:49:05 | ピースボート日記

増田さんから先ほど届きました。短かめですが、旅情が伝わってきます。白夜ですって!

 

「ピースボート日記」その3

今日は、近くの牧場でパンケーキやサワークリームや、コーヒーで歓迎を受けました。

既に、北極圏に入り、マヨナカヲ過ぎても暗くならず(白夜ってやつ)寝られない。というか、寝なくても大丈夫かな?