シャツをはみ出しネクタイを緩めた五輪出場のスノーボーダー国母和宏選手の国母流ファッション、批判の声が渦巻いた。TVメディアは我先にとくどいくらい繰り返し映像をみせた。時代離れしたコメンテーターという人種は、分別を忘れ国母をこき下ろした。ご覧のとおりで、あいた口が塞がらない。
これに比べ新聞は節度をわきまえた扱いだった。朝日の12日付の朝刊は、かっこいいとも危なっかしいとも読める≪やばい≫という言葉を頭に載せ、“「やばい」国母流スタイル”との見出しで、今回の騒ぎに言及した。微妙なニュアンスの記事なので、少し長いが引用しよう。
国母のファッションセンスが物議を醸した。
JOC専務理事は「税金で派遣された代表の自覚がない」と不快感を隠さなかった。
この騒動は世代で賛否が分かれると思う。ハーフパイプの選手は試合でも、だぶだぶのウエアを腰よりずる下げて着こなすのが主流。ストリート系の街着もそんな傾向が強い。
「やばい」を「かっこいい」の同義語で使う世代にとって、シャツをズボンに入れるセンスは耐え難いのかもしれない。国母の人生観では五輪に執着するのはかっこ悪い。メダルが目標といわせたがるメディアに従順でいたくない。礼節を欠く行動は、プライドを保つための抵抗に思える。
国母は一方でこうも言う。「五輪ははだん、スノーボードを見てもらえない人に知ってもらう価値がある。多くの人に魅力を知ってほしい」。
こっちの願望をかなえるのなら、自分流を貫く「演出」はプラスにならない。
この時点ではまだ橋本聖子団長は登場していないが、「国母選手を出場させる」という彼女の判断は、それもひとつの見識と思う。この点についてはあまり言及はないが、私は評価したい。
ともあれ、売れさえすれば飛びつく視聴率最優先のTVメディアは猛省を!!