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晴れ上がった空のように・・

日常の出来事や読んだ本の紹介

虚ろな十字架

2014年09月12日 | 
虚ろな十字架  東野圭吾 著

死刑制度の是非を問う、重い内容でした。
暗く、鎮痛な内容でしたが、読みやすさとミステリーの展開で一気に読みました。
仕事前なのに・・今日は睡眠不足です(@_@;)

中原と妻小夜子は幼い娘を仮釈放中の男に殺されてしまう。金銭目的で浅はかな犯罪であった。
その事件のせいで二人は離婚。小夜子は現行の裁判制度と死刑制度を見直す活動さなか
通り魔に刺され、殺される。。そして、21年前、16歳と15歳のカップルが妊娠、出産、嬰児殺し、、、
その、事件といつしかつながっていくのです。

登場人物と話の繋がりが複雑であったが、理解するのにそう時間はかからなかった。
東野圭吾の卓越した筆致力といえる。

殺された被害者の家族は遺族となる。
犯人は捕まって、裁判で死刑判決がでて執行されたとしても、遺族の心は癒えないのですね。
それは単に通過地点にしか過ぎないからです。愛する者は帰ってこない。

体験者でしかわからない切なくてやるせない思いでしょう・・

高校生と中学生の過ち。性に溺れ、妊娠、出産。。これはちょっとショッキングでした。しかし、周りの人達に誰にも
きずかれずに、とはちょっと無理がありますね。もちろん風呂場での出産シーンも。。そんなのありえない!
と、つぶやきましたよ~
赤ちゃんを、いとも簡単に殺してしまう・・これはいけません。リアルすぎます。生命の重みを考えてほしかった。
だから、、21年たっても十字架を背負い、誰も幸せにはなれなかったということか・・

再犯を防ぐためにも、人を殺したら、必ず死刑を!
という、小夜子の持論は一理あります。

死刑は無力だ・・

なるほど心に残るせりふでした。

表紙のうっそうとした森の写真は青木が原の樹海です。。この暗くて重いテーマにぴったりです。