晴れ上がった空のように・・

日常の出来事や読んだ本の紹介

草花たちの静かな誓い

2017年02月16日 | 
草花たちの静かな誓い   宮本 輝 著

久々に宮本輝さんの作品を読みました(*^^)v

400ページ近い長編で読み応えたっぷり、そして「あ~よかったぁ・・」幸福って何?と思わせる
感動作でした。
物語は・・

ロサンゼルス在住の叔母の、突然の訃報。甥の弦矢が駆けつけると、27年前に死んだはずの叔母の一人娘が、実は死んだのではなく、当時からずっと行方不明なのだと知らされる。
なぜ菊枝はそのことを長らく黙っていたのか。娘はいまどこにいるのか。弦矢は謎を追い始める――。
生き別れた母子の運命を豊かに描き出す長編説。

アメリカ西海岸の高級リゾート地ランチョ・バロス・ヴァーデスが舞台。美しい風景にセレブな雰囲気についうっとり
しながら話に引き込まれていきます
莫大な遺産、遺言書には「約3200万ドルとランチョ・バロス・ヴァーデスの家と土地は甥の日本人のゲンヤ・オバタに譲る」
全部?日本円にすると・・不動産が1000万ドルとしてざっと42億円!!
天文学的な数字でちょっと即座にはその大金が理解できないです。
しかし、これからがミステリーな展開へとつづくのです。死んだと思ってた娘が実は失踪していて行方も生死もわからず。
もし生きていたなら70パーセントを娘へと渡して欲しいという。27年も前の事件。誰もが迷宮入りでまず探すの不可能だと思うでしょう。
でも、ゲンヤは私立探偵ロシア系のニコ、に依頼するのです。遺産を独り占めしようなんてこれっぽっちも考えないのです。
善良な日本人男性ゲンヤでよかった。小説が美しくなりますね。

叔母キクエのアメリカでの生活が回顧される。事業の成功と夫婦円満で幸せ一杯なセレブな暮らし。
何故一人娘のメリッサが突然いなくなってしまうのか?なぞが徐々に解明されていくときは私までドキドキしながらページをめくりました。

しかしながら今でもアメリカでは年間1万人以上の子供が行方不明になったいるという事実には驚かされます
どうりで一人で歩かせちゃいけないっていうのね。
ゲンヤはアメリカ留学でUSCでMBAを取得。CPAも取った・・ってさりげなく
言うところがすごいなぁ~
やはりリッチな小説には登場人物にもハクをつけなきゃね^^
謎が解かれていくと、、以外なおぞましい性虐待?の様相があきらかになっていき・・菊枝の苦悩に満ちた選択と人生は
想像を絶するかんじです。
しかし、母は強し。というか・・やはり悲しいですね。

タイトルにもなっている草花たちの誓い・・お花畑が美しく咲き誇る背景があってそっと耳を傾けると草花たちの話声が
聞こえてくるんですって。それってとても哲学的で・・まるで宇宙のようで。
描写がきれいすぎて、やっぱり宮本輝さんだなぁとやけに感心しました。
ラストもきれいな映画の一シーンのようです。
ほんとに良書でした~