晴れ上がった空のように・・

日常の出来事や読んだ本の紹介

存在の美しい哀しみ

2010年05月03日 | 
哀しみに満ちた記憶を
嘆く必要なない。
それは、自分が懸命に 生きたという
美しい証なのだから。
         小池真理子

真理子さん直筆のキャッチコピーが帯に掲げられています

新刊で出たとき全く別の小説を想像していました
しかし、第一章を読んだとき、すぐにオール読み物ですでに出していたものだとわかりました。連作で読んでいなかったので、まさか、こんな一冊の本になろうとは、、驚きました。
でも、読み終えて、・・虫食いのジグソーパズルがすべてのピースが埋まって完成されたような、満足感でした。

第一章の「プラハ逍遥」から物語は始まります
28歳の菜緒子は死の病に伏した母から、異父兄がいることを聞かされる。そしてチェロの音楽修行のため、プラハにいると。母の死後、奈緒子は兄を訪ねてプラハに旅にでるのだが・・
第六章まではそれぞれの取り巻く家族の視点で物語は進行していきます。角度を変えてみると、視野が広まったようで物語に奥行きを感じます。
そして
最終章「ウイーン残照」
で、再び奈緒子と兄、聡の再会からのシーンに戻っていきます
ウィーン残照・・はとてもよかった。
ミステリアスな展開でちょっとどきどき感もあって、真理子さんお得意のパターンです。
そして・・ウィーンの哀愁満ちた丁寧な描写もともなって、ラストになり、、、映画みたい~と吐息がもれます。ロマンチックです。

「存在の美しい哀しみ」
なんて難しいタイトルなの・・って思っていました。

でも、ぼんやりですが、それは・・人間の生き方とか、家族のありようとかで・・そこには
不思議なつながりがあって、哀しいけれど美しいものなのです。

人と人とのつながり・・大きな家族愛を感じました。

塞翁が馬 (さいおうがうま)

2010年05月02日 | 日記
書店の仕事は、朝がとても忙しいです
大量の雑誌、新刊書籍などをチェック、所定の場所に並べます。定期購読の雑誌、客注の本や図書館への搬入ぶんやら・・さまざまです。
開店15分前には清掃も完了して、朝礼です。
業務連絡にはじまり、店長の予定やら、スタッフの伝達、そして、その日のニュース、トピックスなどの情報交換をします。
たまに最近近くにできたカフェに出向き、朝礼になることもしばしば。おいしいコーヒーが飲めるので、ちょっと嬉しいひと時です。

そんな毎日の朝礼ですが、たまにはハッとするような話題になることがあります
店長の雑談の中でご自分の友人の話になり・・「塞翁が馬」だよ・・と、感慨深くおっしゃっていたのが耳に残りました。「塞翁が馬」・?災い転じて福・・かな?
恥ずかしいことに意味が良く分からなかったのです。
どうやら中国のことわざのようなのですが・・
がぜん、気になってしかたありません
仕事中でしたが、調べてみました。

塞翁が馬

人生の幸福は絶えず入れ替わって定まることがないというたとえ。「人間万事塞翁が馬」ともいう。

「故事」~昔中国で、北の国境のとりで(塞)近くに住んでいた老人(翁)の馬が逃げてしまった。しかしそのうちに名馬を連れて戻ってきた。老人の息子がその馬に乗っていると落馬して足の骨をおってしまった。その後隣国との間で戦争が起きた。が、息子はその怪我のために徴兵を免れ、死ななくてすんだ。「淮南子」

そうか~
新しい発見をしたようにちょっと、感動しました。
こんなに奥深い意味があったんだ・・と。

中国のことわざには人生の道標になるものがいっぱいありますね。座右の銘にしたいですね

不幸を嘆いてばかりいてはいけない・・塞翁が馬のたとえのように、きっとそのうちいいことがあるよ~

これって、今の世の中にぴったり!だと思いませんか?