19日にホーム中銀スタジアムにて行われていたJ1リーグ2ndステージ第11節鹿島アントラーズ戦ですが、試合結果は0対1でヴァンフォーレは敗れてしまいました。
試合の立ち上がりから対戦相手の鹿島が積極的に動き、ヴァンフォーレはいつも通り守備を重視した戦いとなります。鹿島はこのところの好調さを窺わせる自信溢れる仕掛けを要所要所で存分に発揮しており、なおかつヴァンフォーレのウイークポイントを徹底的に突いてくるしたたかな攻撃を展開してきました。それはボランチの位置にいる柴崎選手や小笠原選手が相手の状況を良く確認して分析していて、ウイングバックの阿部翔選手や松橋選手が前に出てきた瞬間にその裏のスペースへ鋭いロングフィードを供給し、鹿島のサイドアタッカーをそのサイドの深い位置に走らせていましたね。また1対1の局面では積極的に勝負を仕掛けて相手のマークを剥がし、たまらず他のポジションからフォローに来た選手のマークのズレを狙って細かく＆素早く攻撃を展開してきました。通常なら細かく＆素早く攻撃を展開するとミスも多くなるのですが、白星を積み重ねている今の鹿島は自信を持って確実に任務を遂行していました。ヴァンフォーレのディフェンスの出来は決して悪いものではありませんでしたが、相手の攻撃の気迫に押されてついていくのがやっとの状態でした。シュートがポストに直撃したり、GK河田選手の神がかり的なセーブもあって前半はなんとか無失点で折り返すことに成功します。
後半も試合の展開は大きく変わらず、鹿島の攻勢が続きます。ヴァンフォーレの攻撃は前線で1トップとして待ち構えているFWバレー選手にロングフィードで合わせていくものでしたが鹿島のディフェンスはそこにボールが来ることは予め予測できており、複数人でプレッシャーをかけにいってもしバレー選手にボールを保持されてもそこからの展開で彼に仕事をさせないような囲い込む守備をしてきました。バレー選手を抑え込まれた状況で阿部拓選手はサイドで積極的に仕掛けていくプレーを披露しますが、味方のフォローも少なくて孤軍奮闘していた感は否めません。単発で終わってしまうヴァンフォーレの攻撃は鹿島は守りやすかったと思います。そんな中での金崎選手のヘディングゴール。先制されたヴァンフォーレは追いつくために＆停滞する攻撃に活力を与えるため、堀米選手と松本選手を同時に起用します。彼らは主に右サイドで攻撃を展開。堀米選手がボールを収めてゲームメークし、松本選手がそのスピードを活かしてサイドを駆け上がる連携をみせ、鹿島に傾いていた試合の流れを一時ヴァンフォーレにもっていく影響力をもたらしました。しかしサイドを突破できてもクロスボールの精度が悪かったり、ターゲットになるバレー選手とタイミングが合わなかったりと肝心なところでの効果的な攻めはほとんどできませんでしたね。最後の交代カードで後半41分に切り札マラニョン選手を投入するものの、時すでに遅し。GK河田選手の活躍と守備陣の懸命なディフェンスは目立ちましたが、通常時の攻撃方法と追いかける展開になったときのシュートまで繋げるラストパスに課題が残った試合だったと思います。
試合の行方を左右したポイントとして、やはり両チームの‘勢いの差’が如実に表れていたと思いますね。通常ヴァンフォーレと対戦するクラブは、固いディフェンスに阻まれた際に崩すための攻略をじっくりとしてくるのに対して、今回の鹿島は迷う暇なく積極的に1対1の場面で素早く勝負を仕掛け、個々の技術力の差を遺憾なく発揮していましたね。いつもはこちらがしっかりと守備ブロックを形成すると相手が攻めあぐねる場面でも、そううまくいかなかったのが今回の試合だったと思いますね。最終的には1失点で終わりましたが、河田選手の好セーブ連発がなければ大敗していた試合でした。
この結果により15位に後退したヴァンフォーレ。ホームで連敗となかなか勝ち点に結びつきませんが、やっているサッカーは決して間違っていないと思います。どう展開すればバレー選手にピタリと合う攻撃ができるのか、繋がった後の他の選手たちとの連携の取れた攻撃など、今のスタイルで一つ一つのプレーの精度を今まで以上に高めていく心がけをこれからしていくべきです。守備面は今まで積み重ねてきたものを自信を持ってその完成度を高めていき、自分たちのペースに再び流れを持っていけるように努力してほしいですね。個人的に今後の展開の鍵を握る試合は次節のアウェー鳥栖戦だと思います。新潟との残留争い直接対決の前に良い結果で弾みをつけるためにも、鹿島戦での敗戦の悔しさを鳥栖にぶつけてほしいと思います。
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