山梨県が甲府市の小瀬スポーツ公園内に建設を計画している総合球技場の完成までを追っていくコーナー『ヴァンフォーレ甲府新スタジアムへの道』。初回はスタジアム構想のスタートから2018年10月までの経過をお届けし、シリーズ化した第2弾は求めるべきスタジアム像を紹介してきました。約1年半ぶりとなる今回の第3弾では2018年10月から現在(2020年2月12日)までの総合球技場構想の進捗具合と、先日運用をスタートさせた京都サンガのホームスタジアム ‘サンガスタジアムby KYOCERA’ の計画から建設&完成までの流れを見て比較してみたいと思います。
まずは進捗状況から(以前の経過は新スタジアムへの道1で書いてあります)。山梨県総合球技場のモデルプランが2018年10月18日に発表され、翌2019年3月20日に山梨県防災新館にて第7回の基本計画検討委員会が実施されました。そこでは総事業費として110億~120億円、維持管理費は1億3000万円~1億4000万円と試算。ネーミングライツ収入も含めた利用料収入を考慮して県の財政負担が毎年、最大8000万円が生じる見込み&山梨中銀スタジアムを同等の設備に改修したら約85億円の総事業費がかかるという報告書を提出しています。その報告書を基に知事の判断を行うとされていました。2019年1月の山梨県知事選挙で現職の後藤氏を破り新知事に就任した長崎知事。2019年11月の定例会見でこの計画に対して言及し、総事業費が110億円~120億円&維持管理費が1億3000万円~1億4000万円と試算されたこの計画は、県の負担が大きいとして全面的に現計画を見直す考えを明らかにしました。ただし計画をただちに白紙にするわけではなく、収益を生む産業として県のスポーツをとらえ直しスタジアム自体が自立的に収益を挙げられる道筋を考えていきたいとし、収益性を重視し財政負担を減らす方向で検討に入る考えのようです。県は専門家を交えてスポーツで稼げる県づくりをテーマにした懇話会を立ち上げ、総合球技場を含めたスポーツによる地域活性化について意見交換を今後予定しています。また球技場の建設を検討している小瀬スポーツ公園は開発が制限される市街化調整区域となっているので、県は開発の許可について甲府市と協議をスタートさせています。ここまでが2020年2月12日現在の進捗状況。建設予定地が決まり、モデルプランが発表されるなど順調に進んでいるように見えた山梨県総合球技場構想でしたが、ここで一旦足踏み状態となりました。一方で京都サンガがホームスタジアムとして使用される予定のサンガスタジアムby KYOCERAは今年の1月11日に開場され、先日の2月9日にセレッソ大阪とのプレシーズンマッチがこけら落としの試合で大きな注目を集めました。こちらも山梨県と同じくサッカー&ラグビーも使える総合球技場。この京都のスタジアムも構想から完成まで相当苦労した様子。そこで簡単にその経過を紹介します。
京都府は2002年W杯や大阪に誘致を企てていた五輪開催に合わせて2000年初頭に幾度か新しいサッカースタジアム建設の計画が出るものの、開催地落選や収益面で困難が想定されたとして建設計画が凍結されていました。京都市内に建てる案も何度も立ち消えとなっていましたが、2010年に京都・サッカースタジアムを推進する会が設立され、本格的に建設に向けて動き出します。2011年に京都府が敷地の無償提供を条件に候補地を募ったところ複数の市町村が立候補。2012年5月に3箇所に絞り、その中から12月に専用球技場を亀岡市に建設されることが正式に決まりました。建設地に内定しスタジアムを含む都市の整備計画も着々と進められてきましたが、その亀岡市の建設予定地に希少野生動植物種であるアユモドキの貴重な生息地となっていることが分かり、その調査のために相当な時間を費やすことになります。2015年6月には京都府議会がスタジアムの設計費用を含む一般会計補正予算案を提出し、本体工事費は154億円と試算。工事の着工日を2016年4月に予定していましたが、アユモドキの影響調査分析が長引いており少なくとも1年以上は工事の着工が先送りされる方針が明らかになりました。アユモドキの保全とスタジアムの早期完成の両立を図るため、京都府と亀岡市は現在の計画予定地から亀岡駅北の土地区画整備事業地への変更を検討。2016年8月24日に建設地変更を発表します。2017年3月に京都府議会において可決され、4月にスポーツ振興くじtotoオフィシャルサイト上で、京都府の京都スタジアム整備事業に対する30億円のスポーツくじ助成が公表されました。工事着手の認可&スタジアム予定地の土地買収の議案の可決&一般競争入札による建設者決定を経て、2018年1月20日にスタジアムの起工式が行われます。そして2年後の今年(2020年)完成。竣工式が1月11日に実施され、2月9日のセレッソ大阪とのプレシーズンマッチ開催に繋がっていきます。
山梨県総合球技場はモデルプランと必要経費の試算がされていたので、スタジアムの設計費用を含む一般会計補正予算の提出前の段階だと思います。そこで足踏み状態になっていますが、京都の経過で考えてもし順調に話が進められていたら今から約1年半ほどで新スタジアムの起工がされていたと個人的には思います。早期実現が叶わずに残念ですが、これからまた一つ一つ課題に向けて解決していくことが夢への第一歩となります。具体的に言うのなら総事業費110~120億円のさらなるコストカットは当然求められます。最大収容人数を2万人から少し減らしてよりコンパクトにする方法や、椅子の質や背もたれの形状などを変更したりスタジアムに通じる階段をコンクリートで作らずに鉄板を用いた吹田スタジアムのような形式にして費用を抑え、スタジアムの配線が剥き出しにならないようにするカバーの撤去など、計画でも費用を抑えた方法で試算していると思うのでそれ以上に相当な努力のコストカットが必要だと思いますね。
小瀬スポーツ公園の現行の状態での収益性のさらなるアップは現実的にまず不可能なので、スタジアムや公園周辺に大勢の人の注目を集められるような大型の商業施設を作ることが解決への第一歩になると思います。そのためには先ほども挙げた小瀬スポーツ公園の市街化調整区域の設定を緩和し、周辺の開発が容易にできるような環境作りを行うことが必要不可欠。あとスポーツ公園なので、スタジアム内や周辺にヴァンフォーレの試合開催日以外にも使えるスポーツ施設の併設も考えられます。トレーニングやフィットネスエリア、レストランやカフェ&コンビニなど、学生や社会人の方が日常的に使える施設も需要があると思います。京都の新スタジアムはボルダリングやリード&スピードなどのクライミングができる施設をバックスタンドの下に設置(国際競技基準を満たす)。また大河ドラマ ‘麒麟が来る’ の京都大河ドラマ館がこれから1年間限定でスタジアム内にオープン。サッカー目的にこの場所を訪れた方やそれ以外の方にも興味を持ってもらえるような工夫をしています。山梨県の総合球技場にも試合日以外にも収益を上げられるような施策を検討してほしいと思います。
これからはスポーツによる地域活性化や収益性の確保&財政負担の軽減などさらなる話し合いが必要となり、スタジアムのコンパクト化や周辺地域の環境を変える道筋を見出ださなければいけません。そこから予算の策定に繋がっていくので、スタジアム工事の開始はさらに先になることは間違いありません。もちろん早く完成してほしい気持ちはありますが、完成を急いで見切り発車し後で後悔するよりは議論を重ねてリスクをできるだけ減らし、県民みんなから愛されるスタジアムにしてほしいですね。そして京都のサンガスタジアムby KYOCERAのような素晴らしいスタジアムを作ってほしいと思います。
『2019年熱血ヴァンフォーレ検定~飴~』
『2019年熱血ヴァンフォーレ検定~鞭~』
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まずは進捗状況から(以前の経過は新スタジアムへの道1で書いてあります)。山梨県総合球技場のモデルプランが2018年10月18日に発表され、翌2019年3月20日に山梨県防災新館にて第7回の基本計画検討委員会が実施されました。そこでは総事業費として110億~120億円、維持管理費は1億3000万円~1億4000万円と試算。ネーミングライツ収入も含めた利用料収入を考慮して県の財政負担が毎年、最大8000万円が生じる見込み&山梨中銀スタジアムを同等の設備に改修したら約85億円の総事業費がかかるという報告書を提出しています。その報告書を基に知事の判断を行うとされていました。2019年1月の山梨県知事選挙で現職の後藤氏を破り新知事に就任した長崎知事。2019年11月の定例会見でこの計画に対して言及し、総事業費が110億円~120億円&維持管理費が1億3000万円~1億4000万円と試算されたこの計画は、県の負担が大きいとして全面的に現計画を見直す考えを明らかにしました。ただし計画をただちに白紙にするわけではなく、収益を生む産業として県のスポーツをとらえ直しスタジアム自体が自立的に収益を挙げられる道筋を考えていきたいとし、収益性を重視し財政負担を減らす方向で検討に入る考えのようです。県は専門家を交えてスポーツで稼げる県づくりをテーマにした懇話会を立ち上げ、総合球技場を含めたスポーツによる地域活性化について意見交換を今後予定しています。また球技場の建設を検討している小瀬スポーツ公園は開発が制限される市街化調整区域となっているので、県は開発の許可について甲府市と協議をスタートさせています。ここまでが2020年2月12日現在の進捗状況。建設予定地が決まり、モデルプランが発表されるなど順調に進んでいるように見えた山梨県総合球技場構想でしたが、ここで一旦足踏み状態となりました。一方で京都サンガがホームスタジアムとして使用される予定のサンガスタジアムby KYOCERAは今年の1月11日に開場され、先日の2月9日にセレッソ大阪とのプレシーズンマッチがこけら落としの試合で大きな注目を集めました。こちらも山梨県と同じくサッカー&ラグビーも使える総合球技場。この京都のスタジアムも構想から完成まで相当苦労した様子。そこで簡単にその経過を紹介します。
京都府は2002年W杯や大阪に誘致を企てていた五輪開催に合わせて2000年初頭に幾度か新しいサッカースタジアム建設の計画が出るものの、開催地落選や収益面で困難が想定されたとして建設計画が凍結されていました。京都市内に建てる案も何度も立ち消えとなっていましたが、2010年に京都・サッカースタジアムを推進する会が設立され、本格的に建設に向けて動き出します。2011年に京都府が敷地の無償提供を条件に候補地を募ったところ複数の市町村が立候補。2012年5月に3箇所に絞り、その中から12月に専用球技場を亀岡市に建設されることが正式に決まりました。建設地に内定しスタジアムを含む都市の整備計画も着々と進められてきましたが、その亀岡市の建設予定地に希少野生動植物種であるアユモドキの貴重な生息地となっていることが分かり、その調査のために相当な時間を費やすことになります。2015年6月には京都府議会がスタジアムの設計費用を含む一般会計補正予算案を提出し、本体工事費は154億円と試算。工事の着工日を2016年4月に予定していましたが、アユモドキの影響調査分析が長引いており少なくとも1年以上は工事の着工が先送りされる方針が明らかになりました。アユモドキの保全とスタジアムの早期完成の両立を図るため、京都府と亀岡市は現在の計画予定地から亀岡駅北の土地区画整備事業地への変更を検討。2016年8月24日に建設地変更を発表します。2017年3月に京都府議会において可決され、4月にスポーツ振興くじtotoオフィシャルサイト上で、京都府の京都スタジアム整備事業に対する30億円のスポーツくじ助成が公表されました。工事着手の認可&スタジアム予定地の土地買収の議案の可決&一般競争入札による建設者決定を経て、2018年1月20日にスタジアムの起工式が行われます。そして2年後の今年(2020年)完成。竣工式が1月11日に実施され、2月9日のセレッソ大阪とのプレシーズンマッチ開催に繋がっていきます。
山梨県総合球技場はモデルプランと必要経費の試算がされていたので、スタジアムの設計費用を含む一般会計補正予算の提出前の段階だと思います。そこで足踏み状態になっていますが、京都の経過で考えてもし順調に話が進められていたら今から約1年半ほどで新スタジアムの起工がされていたと個人的には思います。早期実現が叶わずに残念ですが、これからまた一つ一つ課題に向けて解決していくことが夢への第一歩となります。具体的に言うのなら総事業費110~120億円のさらなるコストカットは当然求められます。最大収容人数を2万人から少し減らしてよりコンパクトにする方法や、椅子の質や背もたれの形状などを変更したりスタジアムに通じる階段をコンクリートで作らずに鉄板を用いた吹田スタジアムのような形式にして費用を抑え、スタジアムの配線が剥き出しにならないようにするカバーの撤去など、計画でも費用を抑えた方法で試算していると思うのでそれ以上に相当な努力のコストカットが必要だと思いますね。
小瀬スポーツ公園の現行の状態での収益性のさらなるアップは現実的にまず不可能なので、スタジアムや公園周辺に大勢の人の注目を集められるような大型の商業施設を作ることが解決への第一歩になると思います。そのためには先ほども挙げた小瀬スポーツ公園の市街化調整区域の設定を緩和し、周辺の開発が容易にできるような環境作りを行うことが必要不可欠。あとスポーツ公園なので、スタジアム内や周辺にヴァンフォーレの試合開催日以外にも使えるスポーツ施設の併設も考えられます。トレーニングやフィットネスエリア、レストランやカフェ&コンビニなど、学生や社会人の方が日常的に使える施設も需要があると思います。京都の新スタジアムはボルダリングやリード&スピードなどのクライミングができる施設をバックスタンドの下に設置(国際競技基準を満たす)。また大河ドラマ ‘麒麟が来る’ の京都大河ドラマ館がこれから1年間限定でスタジアム内にオープン。サッカー目的にこの場所を訪れた方やそれ以外の方にも興味を持ってもらえるような工夫をしています。山梨県の総合球技場にも試合日以外にも収益を上げられるような施策を検討してほしいと思います。
これからはスポーツによる地域活性化や収益性の確保&財政負担の軽減などさらなる話し合いが必要となり、スタジアムのコンパクト化や周辺地域の環境を変える道筋を見出ださなければいけません。そこから予算の策定に繋がっていくので、スタジアム工事の開始はさらに先になることは間違いありません。もちろん早く完成してほしい気持ちはありますが、完成を急いで見切り発車し後で後悔するよりは議論を重ねてリスクをできるだけ減らし、県民みんなから愛されるスタジアムにしてほしいですね。そして京都のサンガスタジアムby KYOCERAのような素晴らしいスタジアムを作ってほしいと思います。
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