☆先発変更は1人
アウェー富山の地に乗り込んだヴァンフォーレは第2節の大宮戦から先発を1人変更。鼻を負傷しフェイスガードを付けて試合出場していた宮崎選手に代わり、右ウイングバックには岡山から加入した田中選手を起用。田中選手は大宮戦で後半15分から途中出場し右ウイングバックを務めていたので今シーズンこのポジションでの実戦経験がありました。短い時間でしたが随所で良いプレーを発揮していた彼のウイングバックでの活躍が期待されていたと思います。
☆右サイドを崩される
試合が始まるとこの日がホーム開幕戦となった富山が積極的に進めていき最初の決定機を迎えます。前半21分、富山は左サイドから攻勢を仕掛けると伊藤選手が縦に振り切りクロスボールを供給。そのボールに鋭く反応したのが武選手でした。彼はタイミング良くニアサイドに走り込み頭で合わせて先制点を決めます。この失点シーンを詳しく見てみるとヴァンフォーレは右サイドで田中選手と鳥海選手が守備を担当していましたが、富山の選手のポジションを追い越しオーバーラップしてくる動きに翻弄されてうまくディフェンスできませんでしたね。3バックの右にいた土屋選手は他の中央にいた選手を見ておりフォローに行くことができなかったので、この状況のときにはボランチの右側にいた平塚選手がサイドにフォローに行って守備の数的優位の状況を作るべきでした。そしてサイド深くでクロスボール対応に当たっていたのがシャドーの鳥海選手ということで、彼に守備面で大きな負担をかけていたことは忘れてはいけません。攻撃的なポジションの選手が長い距離を走って守備対応するのではなく、チームが連携しマークの受け渡しによってディフェンスが得意な選手が組織的にサイドの守備をしたかったですね。田中選手や鳥海選手などいくら運動量&機動力の能力的な高さがあっても、守備の経験の浅さが露呈してしまった瞬間でもありました。
☆ボール回収&パスワークでリズムを掴む
前半21分に先制点を許したヴァンフォーレでしたが、その先制パンチで目が覚めたかのようにチームに積極性が戻ってきます。左足の高い技術力を持つ平塚選手が中心となって中盤の構成力を高めると、献身的な両ウイングバックやボランチ林田選手のサボらない守備への対応でこぼれ球への反応も鋭く相手に試合のペースを渡しません。細かいパスワークとマテウス レイリア選手を狙ったフィードなどでジリジリと相手陣地に侵入していきますが、肝心のフィニッシュに繋がる仕掛けるパスの精度があまり良くなくシュートまで結びつきません。前半21分過ぎからはヴァンフォーレのペースで進んでいき後半も途中までは富山を上回るようなアグレッシブさを発揮して試合を展開することができていたことは評価できるポイントだと思います。
☆痛恨の井上選手退場
後半も敵陣でボールを持つ機会が多いヴァンフォーレでしたが、なかなかシュートが打てずに慎重にパスを回していると思わぬアクシデントが起こります。後半25分、前目の位置でビルドアップしようとしていた小出選手がトラップミス。横にボールが流れて相手に拾われると、すぐさまスルーパスを出されて浅い最終ラインの裏へ富山に抜け出されます。GK河田選手と1対1の場面になりかけた次の瞬間、近づいてきた井上選手が富山FW碓井選手をスライディングで倒しファール。決定的な得点機会の阻止をしたとしてレッドカードで一発退場となってしまいます。1点を追いかけている状況で10人となる痛恨の退場は今後の展開に重くのしかかる結果に。このシーンでは井上選手は即座にボール奪取のチャレンジをしていますが、あのまま我慢してスピードを活かして相手にピッタリと付いていくディフェンスの選択をしていたら、井上選手が動きを抑制し正面に河田選手が待ち構えていたのでまた違った結果になっていたかもしれません。相手も来たと思ってその直前にボールの位置を変えて足が引っかかるような体勢になっているので、ファールをもらいに体勢を瞬時に変えた相手のプレーの方が一枚上手だったと言わざるを得ないと思います。
☆退場直後の追加点で万事休す
井上選手退場後のセットプレーの前に、富山は布施谷選手とヴァンフォーレアカデミー出身の末木選手を投入。富山はその交代がピタリと的中します。後半29分、その直接狙ったFKはヴァンフォーレ守備陣が一旦クリア。しかし富山がセカンドボールを拾いサイドに送ると、神山選手がファーサイド奥に狙い澄ませてクロスボールを供給。そのクロスに反応した武選手が中央に折り返すと、最後は逆サイドに走り込んできた末木選手に押し込まれて失点。決定的な追加点を決められてしまいます。このシーンは井上選手退場後のファーストプレーでまだ10人での守備組織が完全に整っていなかったことが第一としてあり、前に飛び出してクロスボールにプレッシャーをかけに行く選手がだいぶ遅れたことで狙い澄ました精度の高いクロスボールになったこと、そしてクロスボール時に浅いディフェンスラインを形成してなるべく相手選手をゴールから遠ざけたい意図がみられましたが、富山が素早くファーサイド深くに潜り込んだことで戻っての守備対応を強いられることになったのは致命的でした。クロスを折り返された瞬間この一連のプレーは勝負ありで、よく振り返ってみれば要所要所での心の油断が失点を招いたと言っても過言ではないと思いますね。
☆敗因は?
この試合ヴァンフォーレが敗れてしまった要因として2つ挙げたいと思います。まず1つ目は勢いの欠如。J3のプレーオフを制してJ2に昇格してきた富山は一つ一つのプレーに自信があり、チャンスと見るや前のポジションの選手を追い越し仕掛けて決定機を作り出していました。一方のヴァンフォーレはその後のリスクを恐れて前方に思い切って飛び出していくプレーがほとんど見られませんでした。陣形を崩さずバランスよく組織的に慎重に進めていると言えば聞こえは良いのですが、帰陣早くしっかりと守備ブロックを構成している状態の相手に対して普通に仕掛けてもそう簡単には崩すことはできません。富山が左サイドから仕掛けて得た先制点のように、2列目&3列目のポジションの選手が積極的に攻撃参加した結果サイドを抉ることができていたように、勝負どころは人数をかけて思い切って仕掛ける姿勢が今回の試合では必要だったように思います。
2つ目は局面での経験不足が出たこと。選手たちの能力は高く適応力も持っていると思いますが、ウイングバック挑戦の田中選手の右サイドを富山に攻略点として狙われていた感があります。もちろん田中選手と鳥海選手は頑張っていましたが、彼らの守備のフォローに他の選手があまり行けてなかったのは今後修正しなければいけないポイントだと思います。攻撃的な彼らを起用したならば守備に追われる展開よりも積極的に仕掛けていく展開に変えてその長所を最大限活かしたいですね。
…この敗戦により今シーズンのヴァンフォーレの成績は、1勝2敗の勝ち点3で順位は15位となっています。まだ3試合終わった段階なので順位はそれほど気にする必要はないと思いますが、試合を積み重ねても得点数が伸びないことや失点数が徐々に目立ってきたことは懸念しなければいけません。まずは早急に勝敗を五分に戻して今後白星が増えていくように選手たちには頑張ってほしいですね。
【カターレ富山×ヴァンフォーレ甲府|ハイライト】2025明治安田J2リーグ第3節|2025シーズン|Jリーグ