レオナルド・ダ・ヴィンチが絵画の中に残したコードを、解き明かしていく本だと思った、ダン・ブラウン著の「ダ・ヴィンチ・コード」。3月のはじめに読んだが、なんとなく納得できない気持ちが残っていた。
そもそも、「最後の晩餐」の絵から興味を持って読んでみた本だったから、もっと、塩野七海的に歴史を客観的に掘り下げていく本だと思っていたので。
この本は、ダ・ヴィンチのコードを解くというより、小説上の人物ルーブル美術館館長ソニエールの残した暗号を解いていき、シオン修道会(ニュートンなどそうそうたる歴代総長の中にダ・ヴィンチも名前も)や、フランスのレンヌ・ル・シャトー、キリスト教の謎に行き着くという物語だった。いうならば、シオン修道会などの謎を追っていたヘンリー・リンカーンの仮説を踏まえて書かれた小説だったのだ。
参考:ヘンリー・リンカーンの仮説(ダ・ヴィンチの暗号99の謎より)
南フランスでイエスの子孫は血を残し、子孫をつなげていった。北からやってきたフランク人(フランス人の先祖に当たる一民族)の王族は、それを知って、イエスの子孫と結婚した。もともとその王族もユダヤの血を引く人々だった。そして、彼らがメロヴィング王家を築き、イエスの血筋を守ってきた。シオン修道会の目的はその血筋を守ることである。
そこで、原点にもどって、「図解ダ・ヴィンチの謎」田辺清監修と「ダ・ヴィンチの暗号99の謎」福知怜著を読む。この本により、絵に託された謎を理解することができ、謎は謎として残るが、ダン・ブラウンが小説を書くにあたって土台とした事実の積み重ねもわかってきた。面白い。アンチ「ダ・ヴィンチ・コード」の本も読んでみたくなったわぁ。
かろうじて、映画が公開される前に読み終えた。映画は謎解き娯楽作品と割り切ってみた方がよさそうな気がするけれど。