悪妻愚母&鬼嫁

専業主婦のバタバタ日常。ドラマ、本、P、菓子なども気分に任せて語っています。My Homepage悪妻愚母もよろしく。

徹夜

2011-04-12 10:01:57 | 本 コミック

 新刊が出れば必ず手に取る作家のひとり、ジェフリー・アーチャー。

 彼の本とは、彼が投獄されてからすっかりご無沙汰。娘とランチ、デパートめぐり(震災直後より、大分人出が出ていて安心)をした夜、主人夕飯入らずで、のんびり買い置きの本に手を伸ばした。

 「百万ドルをとり返せ」に始まり、「大統領に知らせますか」「ケインとアベル」など、出るのを待ち遠しく読み漁っていたもの。およそ15冊以上になるかなぁ。収監もされたと言うこともあり、自然と離れていた。最近本屋さんをのぞいてみて、2007以降、出しているやん! 早速、「プリズンストーリー」、「遥かなる未踏峰」、「ゴッホは欺く」を購入。「プリズンストーリー」、かなり面白い。転んでもただでは起きない(笑)。上院議員様、投獄中のネタ。次ぎ、「遥かなる未踏峰。”そこに山があるから”という有名な言葉を残したマロニーは、はたして人類初のエベレスト登頂を果たしたのか否か。登山界の謎に迫っている。面白いことは面白いけれど、、? 彼独特のぐいぐい来る感じには乏しいかな。

 次、「ゴッホは欺く」。言い尽くされていると思うけれど優れたストーリーテラーである事を再認識。彼独特の、それぞれの登場人物の目線で話が進んで行く展開。舞台は、ニューヨーク、ロンドン、ブタベストと目まぐるしく変わり、実際に起きた9.11とも連動させた時系列は見事。彼の絵画への造詣の深さもさすが。徹夜させられちゃった!

 早朝、早速amazonをブルブラして、まだ、「運命の息子」と「誇りと復讐」を読んでいないことを発見。冷蔵庫の奥に、全部食べてしまったと思っていた大好物を、見つけた気分。すぐに食べようか、まだお楽しみに取っておこうか?! ちょっと洋菓子が続いたので、お煎餅も食べようか。とりあえず、これも出たらすぐ読むので、すでに手元にある上田秀人の最新「纂奪」「秘闘」を読んでから。


「沈まぬ太陽」全5巻

2009-10-26 17:09:07 | 本 コミック
 先月の東京行き前後に読み終わっていたが、重すぎてblogが書けなくて、、。まずは御巣鷹山の飛行機墜落事故で犠牲になられた方々のご冥福をお祈りします。

 航空会社の優秀な一社員に過ぎなかった主人公恩地。引き受けざるえない状況に追いこまれ、労働組合の委員長になったことから、企業に翻弄される人生が始まってしまう。わかっていたけど山崎豊子の作品は、どろどろと人間のいやらしさが描かれて行くんだよね。個人の力ではどうしようもない理不尽さ、「大地の子」しかり、「華麗なる一族」しかり。そして、すべて明らかなモデルあり。

 企業、政治家、権力者のエゴ、人間の出世欲、金欲、ねたみや仕返しの前に、道理が通らぬもどかしさ。企業戦士の壮絶さをあらためて知る。

 勿論、ハッピーエンドとは行かないとわかってはいたけど、読後の気分の重さといったら無い。映画、見に行こうか迷うところ。

 フジテレビの開局云々で、半年の力作で、同じ山崎豊子の「不毛地帯」も始まった。どうしても導入はロシア抑留で暗い。本もそれが嫌で読んでいないんだわぁ。でも、ロッキード事件が世に出る前にこの本が出たと言うのだから、作者の取材力には驚く。本まで読む気はしないので、とりあえず、録画したテレビ第一回は見るとしましょう。

沈まぬ太陽(携帯より)

2009-09-25 10:08:46 | 本 コミック
YUMIKONGの本の買い方。どうしても読みたいと思った物はAmazonで。普段は、買い物ついでに大急ぎで、書店に寄る。必然的に平積みの本を手に取ることが多い。すると、映画化、テレビドラマ化が決まっている本を読むことが多くなるんだよね。


この、何年か前に話題になった山崎豊子「沈まぬ太陽」もそう。渡辺謙主演だそうだ。


今巷を騒がせているJAL、読んだら面白そうだが、彼女の本は、読み進むうちに辛くなって来ちゃうからなぁ。五巻は長いし。そう思いながら読み始める。まだ、第一巻なのだけど、やっぱり。主人公、恩地元の人生の過酷さ、会社の理不尽さが、正直しんどい。


JALを愛用、、。この先どのように話が進むのかわからないが、今のところ、JALにはもう乗りたく無くなっちゃう。マイレージがたっぷり貯まっているんだけど、、。株主優待フルに使っているんだけど(笑)

なかなか読めなくて、、

2009-06-10 20:16:25 | 本 コミック
 今年に入って読書量は激減。忙しくて、本を開いたらバタンキュー(笑)最近読んだのは、
 
 「天使と悪魔」上中下 ダン・ブラウン
  去年イタリアに行ったばかりの親近感から、読んでみる気になった。ダビンチ・コードの轍は踏まず、キリスト教云々は切り離し、単なる娯楽作品として読む。ああ、あそこのことね、あの像の事ねと思いながら、地図を片手に読むには楽しかったし、ストーリー展開も興味深かった。最後には人間の性(さが)をみた思い。

  「上と外」上下 恩田陸
  淡々とした恩田ワールドと思ったら、思いの外、少年少女冒険小説と言った感じ。なぜ、こんな世界があるのかは疑問だが、スリルには引き込まれていく。

  「ジェネラル・ルージュの凱旋」上下 「ナイチンゲールの沈黙」上下 海堂尊
  なんか、映画化される作品ばかり読んでいるみたいで気がひけるけど、本屋さんで急いで本を選ぶとなると、どうしても平積みの本に手が伸びる。「チーム、バチスタ」で活躍した面々、医者田口、厚生省の白鳥、姫宮がここでも活躍。同じ時期の出来事を違う視点から描いており、その点が興味深い。作家海堂尊、どうしても死亡時画像病理診断のシステムを導入させたいんだね。海堂尊の医者としてのアピールを強く感じる。映画は見ていないけれど、ジェネラル役は堺なんとかはイメージ違い。田口先生も竹内結子じゃないでしょう?

  「螺鈿迷宮」上下 海堂尊
  上記の作品のスピンオフ的作品。厚生省の姫宮がなぜ、ジェネラル・ルージュで東城大学付属病院に潜入していたかがわかる作品。ここの登場人物もいずれ、これからの海堂作品に登場する可能性大で楽しみ。余談だけど、このごろ海堂尊先生、朝のワイドショーのコメンテーターとして登場しているんだぁ、、。イメージと違った、、。

  「むかし僕が死んだ家」 東野圭吾
  中野と昔の恋人さやかの二人しか登場しない作品。東野作品のなかでは、そんなに好きではないかも。

  「くちぶえ番長」 重松清
  重松作品は初めて。主人大絶賛で、勧められて読んだが、ありがちな話。主人がほめるとケチを付けたくなる天邪鬼。

  「卒業」重松清
  同じ重松清だが、yumikong、こちらは大絶賛。卒業と言うくくりで、4作品収められている。卒業とは何かからの卒業、同時にそれは出発。くちぶえ番長もそうだったが、必ず誰かの死が、今の自分に影を落としている作品。親友の死から、遺児とのかかわり。死んでいく母、死んでいく父から得るもの。すでに死んでしまった母の思い等等。

[深追い」 横山秀夫

2007-09-05 19:59:28 | 本 コミック
 すべて警察官が絡む7つの事件。

不慮の死を遂げた夫のポケットベルへ、ひたすらメッセージを送信し続ける女。交通課事故係の秋葉は妖しい匂いに惑い、職務を逸脱してゆく(表題作)。鑑識係、泥棒刑事、少年係、会計課長・・・。三ッ鐘署に勤務する七人の男達が遭遇した、人生でたった一度の事件。その日、彼らの眼に映る風景は確かに色を変えた。骨太な人間ドラマと美しい謎が胸を揺さぶる、不朽の警察小説集。(裏表紙より)

「捜査官ガラーノ」 パトリシア・コーンウェル

2007-08-31 10:58:23 | 本 コミック
 小さい頃は文学全集ものばかり読んでいた。毎月取っていた雑誌とともに、たまに重たい本が届くのが楽しみだった。大手出版社が競って盛んに全集を出していた頃が少女時代だったもんで、、。歳だね! そしてちょっと前は、メアリー・H・クラーク、ジェフリー・アーチャーとかの翻訳物ばっかり読んでいた気がする。すごく偏ってしまうのよね(笑)。

 パトリシア・コーンウェルの本もその頃よく読んでいた。特に、ケイ・スカーペッターが活躍する「検屍官」シリーズは次が出るのが楽しみで、楽しみで。ストーリー展開は勿論、コーンウェルの警察記者や検屍局のコンピューター・アナリストを務めた経歴が活きている。確かな知識から発する内容は、驚きだった。最新の犯罪捜査というもののすごさも教えてくれる。

 本屋さんをプラプラしていて彼女の新作が出ているのに気がつき、旧友にあったような気持ちで手に取る。

 アメリカ社会ではマイノリティに属する黒人の父とイタリア人の母を持つ、容姿端麗、頭脳明晰な捜査官ガラーノと言う新しいキャラクターだ。しかし、彼自身が自分のことをどう思っているかはわからない。容姿には絶大な自信を持っているようだが、テストが苦手なため、一流大学出身でないことに引け目を、合いの子と言われることへの異常な反発心をもっている。

 彼の脇の人物も興味深い。最新の科学捜査を繰るコーンウェルが、ガラーノの祖母に常にタロット占いをさせていたり、透視能力を持たせたところがシャレてる。また、彼が付き合っているサイクスは容姿のさえない中年というのも面白い。

 ガラーノは優秀だが、まだ若く、「検屍官」のケイほど出世はしていない。出世欲の強い上司には振り回され、翻弄されながらも見事複雑な事件を解決。なんだけれど、なんで私はこんなにコーンウェルが好きなんだろうと思う。確かにストーリーにはどんどん引き込まれ、科学捜査によって謎が解かれていくのは最大の魅力。でもそれだけではなく、主人公たちの設定、人間くささが深く描きこまれていることが、さらなる魅力となっていると思う。本編は彼女の本としてはページ数は少ない。シリーズ化されて、更なる肉付けがされたら嬉しい登場人物たちだ。
 
 コーンウェルの本で「真相」も読み落としているのに気がつき、次回はこれを読むことに。アフェリエイとはつける気はないのだけれど、自分で撮るよりきれいなので、画像だけ持ってきているけど、駄目でしょうか、、。

「神様からの一言」萩原浩

2007-08-21 18:20:59 | 本 コミック

 再就職先の珠川食品で、佐倉の行き着いた先は「お客様相談室」 
先に胸ぐらをつかんでこられたとは言え、上司を殴り返したことで大手広告代理店を辞め、移った珠川食品販促課でも、またもや上司と会議中に喧嘩してしまったのでは仕方がない。彼女も黙って部屋を出て行ってしまい、公私共にどん底となってしまった。

「お客様の声は、神様の一言」を社訓としている珠川食品だが、製造管理、商品管理は皆無。この会社の、お客様相談室は特に大変だ。しかも、リストラ要員の吹き溜まりで、常識では考えられない人たちの集まった課なのだからなお更。

しかし、右往左往するうちに、次第に要領もわかってくるし、みな変わってはいるが、社内で恵まれなかっただけで、一芸(?)には秀でているつわもの達。

才気と運も絡んで、最後にはたっぷり会社の上層部に一泡食わせることができ痛快。仕事に取り組む中で、彼女とも意思の疎通をはかるヒントも得ることができた。サラリーマン生活の理不尽さや悲哀を垣間見ることが出来る一冊。

おとうさん、感謝してます(笑)。ホント。

「ガンに生かされて」「天国で君に逢えたら」飯島夏樹

2007-08-20 09:31:54 | 本 コミック


 今の私、ガンと聞いたら何でも手にとって見る。 末期ガンを宣告された後の、生き様を少しでも知りたいと思って。まず、「ガンに生かされて」

作者はプロウィンドサーファー。38歳の若さで、2005年2月に帰らぬ人となってしまった。しかし、ガンの宣告を受けた後、宣告された余命をはるかに超えて戦い続け、書き続け、妻や息子たちにかけがえのないものを残していった。グアムから東京、そしてハワイへと移住した闘病生活は、美しい自然の中で、一層壮絶さを際だたせている。かれの生き様は、荘厳ささえ、感じさせる。感動。

私は知らなかったが、彼の生前はドキュメンタリーとしてテレビ放映されたらしく、また、近々「天国で君に逢えたら」として映画化されるらしい。

同名の本は、手紙を代筆することによって、がん患者の本当の声を聞こうとする精神科医とがん患者たちの真実。「ガンに生かされて」を読んだあと、彼の自伝のようなものかと思って読み始めたが、そうではなかった。でも、作中の精神科医の中、ガン患者の中に、飯島夏樹という人物を彷彿させる背景、境遇、考え方が埋め込まれている。

トラックバックを付けていただいた中に飯島夏樹公式blogがあり、現在の飯島家の様子が垣間見ることができた。ご家族の中に夏樹さんが確かに存在してる姿を見て、さらに感動させられている。

飯島夏樹公認ブログ
映画『Life 天国で君に逢えたら』公式サイト

「永遠の途中」唯川恵

2007-08-19 10:22:40 | 本 コミック


 読み終わってすぐしたこと、作者は何歳?ということでカバーを確認。1955生まれで納得。やっぱり同じ50代(笑)。二人の女性の適齢期から中年、50代、60代の心情をリアルに描いていたので、若い人にはかけないだろうなぁっと思ったから。

 見てはいないが今テレビでやっている「肩ごしの恋人」の原作者であることも知った。ああ、だから不倫の話も出てくるんだわぁ。二人が同じ人を好きになってしまうところと、不倫話もあるのが気に入らな~い。内容や展開は少し軽いかもしれないけれど、それぞれの世代の、それぞれの立場の心情はとてもよく描かれていると思う。

 同期入社で仲良しでありライバル、能力も負けず劣らずの微妙な関係の薫と乃梨子。片や、あっさりと専業主婦へ、片や望むと望まざるにかかわらず、独身でキャリアウーマンの道へ。

 自分は専業主婦だけれど、そちら側からだけでは決して読まなかった。専業主婦から見たキャリアウーマン、彼女たちから見た専業主婦、それぞれの気持ちの想像がつく。実際、娘は有職者だし、息子は多分専業主婦と結婚するらしいから。

 仕事をやめ、家庭に入った女性の充実感や喪失感、キャリアウーマンを選んだ女性の優越感と苦しさなどをストレートに描写。家庭を守ることも、仕事に生きることもそれぞれの立場と大変さがある。このなかの二人は、お互い違う立場をうらやましく思い、虚勢を張り合うってしまう。隣の芝生はよく見えるもの。

 しかし、両方いいことも悪いこともあるわけで、、。

 今はよくばりな時代で、仕事も家庭も手に入れることは可能? 私としての結論、自分の選んだ道が、自分に一番あった道なのだと思うよ。

「若き数学者のアメリカ」 藤原正彦

2007-08-18 17:49:59 | 本 コミック

 御気楽に留学生活ってどんなもの?という興味で、読んで見たいと思っていた本。でもこれは、研究者の世界の厳しさを垣間見せるものだった。娘もその端くれなので、なお更興味を持って読むことができた。

 しかし、これはおよそ30年近く前の留学? 今とは悲愴感が違うと思う。でも、語学力不足からくる劣等感と、疎外感、ホームシックなどは共通。そして、いかにして自分をアピールして行かなければならないか、研究者たることに重きを置くのか、教育者たることに重きを置くのかなどは、今も同じだと思う。つくづく大変な世界だ。

 彼の場合、そこに複雑に絡んでくる優越感と理屈っぽさ。自分の行動の何にでも、理由づけが必要。そうそう、彼の本はこんなだった。でも、そんな気質って、嫌いじゃない。

「探偵ガリレオ」東野圭吾

2007-08-16 20:06:40 | 本 コミック
 容疑者Xの献身で、湯川を知る。圭吾の作品の既出重要人物というのはわかっていた。帝都大学理工学部物理学科の助教授で頭脳明晰、自意識過剰?、しかもかなり個性的でお茶目らしかったが、容疑者Xでは、そういう部分はあんまり出ていなかったような記憶が。彼を知るには圭吾の初期の作品を読まなくてはと思っていたところ、福山雅治でドラマ化と聞く。

 慌てて読もうとするも、品切れ状態。私みたいなミーハーが世間にはおおいということか(笑)。

 短編の集まり。読みやすい。普通なら鼻持ちならない言動の天才湯川。人を驚かしたり、じらしたり。でも、これがいやみに感じないのが不思議。そして、これを福山がやるとなったら、そりゃテレビも視聴率稼ぐかも。

 一方、理系オンチを自認する盟友、警視庁捜査一課の草薙は、彼に翻弄されながらも、事件解決に導かれている。もっと理系オンチの私も、これが何かのヒントになるのだろうとは思いながらも、種明かしまで待つしかない。気持ちよく、作者の意図にはまるしかないのだ。電気工学科出身の作者の真骨頂。

 追加:巻末の佐野史郎の解説で、作者が、彼を頭に描いてこの作品を書いたといういきさつを知る。う~ん、ぴったりかも。でも、ドラマ化は福山雅治というのは? それと、柴崎コウ、彼女が該当する役もない? 本とは別ものになる可能性大。今、同じく湯川が活躍する短編集「予知夢」も読み始めている。

「無名」沢木耕太郎

2007-06-12 14:37:16 | 本 コミック


 作者の亡き父への鎮魂歌と言うべき作品。

 義母の入院以来、癌に関して神経質になっています。インターネットや本で調べたり、抗がん剤治療に疑問を感じたり。毎晩インターネットで病気になられたご本人やご家族のblogを読んで参考にしたり、涙したりとちょっとわれながら暗いです。

 この本もリアルな闘病生活が書かれていると思い手に取りました。在宅介護との項目があったので。でも具体的な闘病テクニック云々というより、やはり鎮魂歌。病床の父の傍らでさまざまな父を思い出し、父の句集を出すことに思い至り、奔走する様。父の句に触れることにより、より父を理解しようとする作者の思いにうたれる。



「変身」東野圭吾

2007-06-12 14:35:58 | 本 コミック


 地道に平凡に暮らしていた成瀬は不動産屋襲撃事件に巻き込まれ、頭をピストルで打たれてしまう。本人が意識を取り戻したときは、十万分の一の確率で奇跡的適合したドナーの出現により、世界初の脳移植が施されていた。それはラッキーだったのか? 次第に移植された脳に支配されていく成瀬。

 設定は衝撃的。でも、人間とは、自分とは何かと考えさせられる作品。これも、ほかの東野作品と同様、自分では動かしがたい状況下、そこでどう行動していくかがテーマ。どんなひねりがあるかと想像しながら読むが、思ったよりは単純だった。




輪違屋糸里(上下)浅田次郎

2007-05-30 10:40:21 | 本 コミック
 新撰組も浅田次郎が書くとこうなるのか。糸里の生まれた小浜の海辺の描写から、島原の太夫の華やかな道中の描写。一転、生々しい侍たちの苦悩と殺し合いが描かれていく。

 新撰組内部の対立と陰謀は、いろいろな隊士の視点から描かれてきている。侍たちは江戸から京へ、壬生の浪士から新撰組へと世の中の大きなうねりの中に身を任せている。この新撰組内の大事件、芹沢鴨の暗殺事件を女性の視点(自宅を屯所として提供した壬生の八木、前川家のおまさとお勝、土方の愛人?糸里、芹沢鴨の愛人お梅、平山五郎の愛人吉栄)から描いていく。事件を目の当たりにしただけでなく、意に沿おうが沿うまいが、積極的に関わりを持ってしまうのだ。

 すべてが終わり、天神から太夫になった糸里の初道中、穏やかな小浜にいる吉栄の描写で終わる。善人も悪人も、必死に生きた末の結果。光の当て方が違えば善人も悪人、悪人も善人に。悪人にならざるを得なかったと言うことか。

 どうしようもない立場に置かれた女性たちなのだが、それを受け止めて真っ当していく姿はいつも浅田氏が描く、人間の愚直さ。作者の「壬生義士伝」の愚直さにも通じるものを、天下の大悪役、芹沢鴨にさえ感じてしまった。

 巻末、末國善巳氏の解説が興味深かった。