como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

塚原卜伝 第3話「将軍暗殺」

2011-10-16 22:16:39 | 過去作倉庫11~14
 いやーっ、今週は良かったですね。1話より2話、2話より3話と鰻登りによくなっていく「卜伝」ですが、先週もいいましたけど、一番よろしいのはこの、懐かしくもフツーなとこですよ。決して変なキワモノに走らず、正攻法の古きよき時代劇の体裁で、安心して見られ、でも時々晩御飯の箸をとめて見入ってしまう、みたいな。これは嬉しい。
 てなことで久しぶりにリアルタイム、夕飯時に「卜伝」見たんですけど、前作や前々作のように、家族が一緒の茶の間じゃ居心地が悪いみたいな、微妙な空気が折々流れることもなく、非常にこう、安心して見られました。これって、長き時代劇の歴史で培ったフォーマットを全面的に信頼しているという、作る側も見る側も共通の地盤に立ってる安定感が、きっと大きいのでょうね。
 まあ、そこにどっぷり浸っているだけじゃ眠くなってしまいそうなもんだけど、そうでもないみたい。そのへんについては、おいおい考察してみるとして、では参ります、
 
第3話 「将軍暗殺」

ところで新右衛門(堺雅人)って何歳の設定なのでしょうか。今週冒頭で、「京に来て1年」とゆってましたが、初回、18歳だかで鹿島を出たはずですので、パンダうさぎ(中尾彬)のところいた期間も足して、19とかハタチとかそのくらい?まあ、その年で前髪もどうかと思うが、なんか3年前くらいにやってました?変な大河ドラマの主人公の人みたいな、ふざけた感じはしませんね。
 京都に来て1年たって、平賀丹後守(風間杜夫)のおやしきで剣術教師なんかやってて、けっこう忙しいわけです。で、ある夜の出張教授の帰り、新右衛門と左門(平岳大)は、夜道で刺客におそわれます。
 この刺客というのが(当然2秒で粉砕されるんだけど)、どうも、先週清水寺の御前試合で新右衛門に破れた、自称・海内無双の弟子で、師匠が惨敗して死んだ後、弟子もまとめて細川管領家をリストラされた。それで生活苦から新右衛門を怨みに思い…とゆー事情なんですが、その手の苦労をしたことがない新右衛門は、試合に負けた遺恨とか意趣返しとかってことが、よく理解できません。
 このへんの、素でポカーンとした感じってのが、まさに、まだ19ハタチで穢れを知らない、まあ要するに人情の機微に鈍感でもあるという…そういう若さゆえ感が違和感なく(3年前の前髪にーちゃんと違って)出てて、実にいいですよね。そこそこ殺陣のうまい若いイケメンの役者は他にもいるでしょうけど、この素の天然感は他にないぞ。まさに堺雅人じゃないと塚原卜伝の若い頃は務まらなかったんじゃないかな、と。

 問題は、新右衛門が襲われたていどのことではすまず、将軍の暗殺事件に発展します。就寝していた将軍・足利義尹(本田博太郎)が襲われるんですね。
 ここのツボは、お歯黒将軍が、夜寝るときもメイクを落とさず、お歯黒も落とさず、烏帽子もかぶったままという異様なスタイルだったことですね。ほお!そういうもんなんだ、と、博太郎さんが演じると思わず納得しちゃうな。しかもこの将軍は、お歯黒してても武家の棟梁としてのDNAは保持しているみたいで、槍をとって刺客に応戦したりするの。
 んで、家来を皆殺しにされても将軍は辛くも無事で、ズダボロになりながら、血走った目をして「麿を襲った者を必ず見つけ出して殺すのじゃ~~!!」と檄をとばします。この姿もまっことスゴかったです。
 ですが、復讐ったってそう簡単にいかなくて、というのはその刺客は、手引きをした者を捕まえて拷問かなんかしたところ、前の将軍が放ったらしいことが判明。前の将軍は畿内岡山に隠棲して、兵力を蓄えてクーデターを狙っており、変に刺激するとまた戦乱を誘発する、とかなんとか。。
 そんなわけなので、根本問題には目をつぶり、サクッと実行犯を殺して将軍を納得させるのが一番、とゆーことで、御前試合で金メダルを取った新右衛門に白羽の矢が立つわけですね。大内のお殿様も、自分が戦うわけじゃないので実に無責任。
 
 さらに無責任なのが教官で、ひとつ刺客を見つけて討ってくれ、とか、すごいホイホイ簡単に新右衛門に頼んじゃう。ゴルゴ30かよ(笑)。
 で、さらに面倒なのが鹿乃姫(京野ことみ)で。先週にひきつづいて、どーしてそんなに簡単に命をすてるのですか!!みんなみんな生きているから~1人にひとつずつ大切ないのち、環境破壊・地球温暖化・商業捕鯨断固反対!!(違)…っとまあピースボートのヒトかなんかみたいに、涙目でさわいで新右衛門の戦いを妨害します。そこも時代劇の安心パターンで、このお姫様は、おさない頃に戦乱に巻き込まれて一族郎党皆殺し、ひとり生き残ったというトラウマがあって…みたいな。 ま、いいけどね…。
 まあそれで、いろいろフクザツな思いにとらわれた新右衛門は、街中の茶店でぼーっと串団子を食ったりなんかして、とおりかかった片平なぎさ…ちゃう有森也美に、団子ならうちでご馳走しますとか言われて、家に連れ込まれ、月餅もごちそうしてもらい、すわ食い物で釣られて熟女のマンションに上がって、なにを…と思いきや、なにもヤバイことは起こらず、「きれいな目をしていますね」「あなたを見ていると心がスーッとして云々」とか、意味不明のことを言われただけでした。何なんでしょうか、この女は。
 まあ、それよりこの場面では、串団子がツボで。これ狙ってるよね。ない??新右衛門が串団子を、さいごの1個を逆さにして「こうすれば」とか言って食ったりなんかしないか…と妄想に駆られましたけど。山南さん…(涙)

 ここからの展開は速いです。刺客は円珍(辻本一樹)という坊主で、都のはずれの廃屋を根城に、徒党を組んで悪逆三昧をはたらいている悪名高いボス、ということがわかります。さらに、教官の忍びの六平太…じゃない次郎三郎…じゃない六郎次郎??とかいう忍びの者が、円珍の顔を知ってるので…ということで、討伐計画が着々とすすみ、じゃあとりあえずその根城を下見にいこうか、ということになります。
 で、また鹿乃姫に、命を粗末にしないでどーたらこーたらとか言われますけど、めんどくさいので省略ね。それよか、この悪党討伐の計画じたい、どうも教官が仕込んだ臭く、ってことは将軍暗殺も教官が仕掛けているのかも??みたいな微妙な伏線が張られますが、それについては、次週以降ね。

 さて、左門と、六郎次郎とかいう忍びと一緒に悪党の根城を下見にいった新右衛門は、そこで、円珍の暗い過去の話を聞くんですね。その坊主はもとは普通の百姓だったのですが、ある日、たった一人の妹を、悪党にさらわれ惨殺されてしまい、怒りのあまり犯人を殺害。悔いて仏門に入るも、その仏門が俗世に輪をかけて淫らで乱脈な世界で、そこですっかり人間のココロを捨ててしまい、一個の殺戮マシーンとなってしまった…とゆう。
 まあ、そういう、人によっては暗い過去とか悲惨な体験というものがあり、怨みがこうじて非道な行いに走ることもあり、ヒステリックな平和主義者になるケースもあり…というような世の中の暗部を、天然新右衛門がその若いココロに刻み付ける…というのが、今週のテーマではありましょう。
 残念なのは、この話、2話くらい続けてみっちりやって欲しかったなってことですね。悪党円珍の話なんかは、ピカレスクロマンみたいでなかなか渋くて良いし、室町時代の末法思想なんかとからめて、もっと長ければ見ごたえもあったと思うんですけど。イケメン剣豪がサクッと3分で片付ける相手としては、ボリュームがありすぎて勿体無いよ。
 
 はい、ではお楽しみ・今週の殺陣。
 先週のが長まわしでスタイリッシュでよかったので、今週はちょっとアッサリして感じましたけど、今週もよかったです。
 円珍がかえってきて、悪党たちの酒宴もたけなわ、都からさらわれてきた娘たちが、酒の肴に殺されたり陵辱されたり…という地獄絵を見てしまった新右衛門は、その夜は下見のはずが、つい怒りに任せて飛び出して、円珍に勝負をいどみます。で、悪党連中も巻き込んでの乱闘になるのですが、雑魚はわりとバタバタ簡単に、左門が処理して、新右衛門は古式ゆかしい一対一の真剣勝負。
 今週は、あんまりケッタイな映像処理とかはしなくて、やっぱりスロー&スピードの緩急が主なんですけど、円珍の獲物が杖に仕込んだ分銅付き手裏剣というイロモノで、それを受ける新右衛門の視点で表現するので、何が起こっているのかなかなかわからないということと、あと何より新右衛門の流血がツボで(ヲイ)
 あ、いや、今週良かったのは、相手が外道の極みの悪党であり、勝負の最中に「殺し合いに良いも悪いも無いわ」みたいなことをいうわけですよ。命のやり取りをする瞬間に、正義であるとか悪であるとか、正義はかならず勝つう!!とか、そういうの関係ないんだというね。これはカッチョエえったですね、悪党のほうが。新右衛門だって別に、その場で義憤に駆られただけで、主張できるだけの正義感とか、正義感の根拠とか、何もないじゃないですか。ようは命のやりとりの瞬間にそんな議論は無用のもので、そこにただ、二個の獣が居るというだけの…。これは良いな。カッコいいよ。
 で、勝ったほうの権利に、その命のやり取りの瞬間から、なにかを掴み学び取る、ということがあるわけね。まあ新右衛門が勝つんだけど、彼はまたこれで学習し、一皮むけるというわけです。まだ3回だけど、ちゃんと一皮ずつむけていってる感がある。それも見ごたえあります。

 で、また名を上げた新右衛門ですが、なんかすっきりしない幕切れですね。例の、教官がこの件でどこまで糸引いているのかってこともあるし。あと、鹿乃姫が、新右衛門にだきついて「決して死なないと約束してくださいまし」とか言うんですが…どーすんだろうね。決して死ななかったらバンパイヤだよ。
 まあ、塚原卜伝が「トワイライト」の世界になることも…ないでしょうけど…。でも言っていい?すげえこの女めんどくさいわ。悪いけど。

 考えると、このドラマ見ていて最も気持ちが良いのは、まあお姫様の「命を大切に」とか多少うざいくらいのことはあるけど…あれです、「武士道とは」「漢の道とは」みたいなことを眉間にシワ寄せて主張している鬱陶しさが皆無なことだと思います。
 まあ武士の美学も漢の道も良いけど、そーゆーのって口に出して言うほど安っぽくなるもんでねえ…。あんまりそんなこと言わず、ノンシャランとかまえて、天然自然と武士の美意識とか死生観みたいなのが立ち上ってくるのが理想だね。そーしてみると、今のところこのドラマ、かなり理想の時代劇の地平を行っているのではないでしょーか。
 んで、来週あたりからもう後半戦に入っていくんだけど、早いですね。毎週、新右衛門さんが着実に目の感じとか、表情とか変わっていくので、成長ぶりを見るのも楽しみですよね。って親戚のおばさん目線で(爆)
 では、また来週。


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。